不動産投資をする際、物件の管理もすべて自分の手で行うとなると大変なものです。複数の物件を所有している場合や、遠方の物件に投資している場合などは特に自分だけで管理をするのは難しくなります。そこで頼りになるのが管理会社の存在です。しかし、不動産の管理にはさまざまな形態があり、どこまで任せるかによっても適した管理会社が異なります。そこで、不動産投資の強い味方になり得る上手な管理会社の選び方について解説します。

まずは一般管理契約とサブリース契約の違いを知ろう!


不動産管理の契約には一般管理契約とサブリース契約があります。一般管理契約とは、オーナーが管理手数料を支払うことで、入居者の募集や日常の管理業務などを管理業者に委託できる契約です。ですから、この場合の管理会社は、賃料を徴収したり、住民からのクレーム対応をしたりする、オーナーの代理人的な役割です。ですから、入居者との賃貸契約はオーナーが直接結ぶことになります。それに対して、サブリース契約とは、管理会社がオーナーの持つ物件を一括借り上げして、入居者には管理会社が貸主となって転貸する契約を言います。つまり、オーナーと管理会社間の賃貸契約と、管理会社と入居者間の賃貸契約の2種類が存在する状態になります。空室があっても確実に毎月管理会社から賃料が支払われる点が魅力です。

☆世間が考える不動産管理会社を選ぶ基準
ここで、どんな点を基準に不動産管理会社を選ぶ人が多いのか、街の声を聞いてみましょう。不動産投資をするなら、どんな点を重視して管理会社絵を選ぶかアンケートを取って聞いてみました。

【質問】
不動産投資で管理会社を選ぶときは、どんなことを重視しますか?

【回答結果】


これまでの実績:47名
サポート体制:42名
厳正な入居審査基準:18名
豊富なノウハウ:14名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:121サンプル

★重視するのは実績とサポート体制
今回のアンケートの結果、管理会社選定の際、最も多くの人が重視すると答えたのは「これまでの実績」でした。

・大きな額を運用しますので、実績がある会社に任せたほうが安心できると思います。(40代/会社員/男性)
・すべて重視したいですが、確かな実績があるということは、ノウハウやサポート体制もあるということだと思うので選びました。(20代/会社員/女性)

「これまでの実績を重視する」と答えた人のコメントを見ると、「実績がないと信頼できない」「実績があるところなら安心して任せられる」という意見が目立ちます。また、実績のある管理会社を選べば、他の選択肢もカバーできるという声も多く聞かれました。これまでの実績と僅差で2位になったのが「サポート体制」でした。

・こちらの知識不足をしっかりカバーしてくれるところがいい(30代/専業主婦・主夫/女性)
・不動産投資では何が起こるか分かりません。専門家のアドバイスは必須条件になるはずです。(70代/無職/男性)

サポート体制を重視する人は、不動産投資に対して的確なアドバイスをしてくれたり、認識の足りない部分を埋めてくれたりする存在として管理会社を見ているようです。次に多かったのは「厳格な入居審査基準」でした。

・部屋を貸す上で、長く綺麗に使用してくれる、きちんと月々の家賃が支払えるなど基本的なことですが、入居者の審査はとても大事なことですが審査はとても難しいと思うので。(40代/専業主婦・主夫/女性)
・厳正な入居者基準を設定しておかないと、家賃の滞納や退去時の費用等の滞納が考えられるから。(20代/会社員/男性)

審査基準を重視する人は、入居時の審査を厳しくすることがリスク管理に繋がり、資産としての価値を落とさずに済む方法だと考えていることがうかがえます。最後に「豊富なノウハウ」を選んだ人のコメントです。

・実績はあくまで実績だし、ノウハウさえあれば素人でもそこそこやれるもの。経験豊富でノウハウがある会社が一番良い。(30代/会社員/男性)
・ノウハウが豊富だと、困難な時にも対処しやすいからです。(40代/専業主婦・主夫/女性)

豊富なノウハウを選んだ人の回答からは、管理会社のノウハウに収益を上げることやトラブルが起こったときの対処を期待しつつ、いずれはそのノウハウを自分のものにしたいと考えている様子がうかがえました。

以上のような結果になりましたが、今回の選択肢はいずれも不動産投資では必要なものばかりです。ここからはそれぞれの項目について具体的に見ていきましょう。

選び方のポイント1:管理戸数に注目

管理会社を選ぶ際、過去の実績だけですべてを推し量ることはできないものの、信頼性を見るひとつの指標にはなります。その際、重視したいのは管理を任されている物件の入居率です。ただし、不動産会社や管理会社が公表する入居率はそのまま鵜呑みにできない場合もあります。例えば、ピーク時の入居率だけを公表したり管理物件を除く自社ブランドマンションの入居率だけを公表したりしているケースもあります。ですから、管理戸数に対する空室の割合を見るようにしましょう。空室を管理戸数で割ったものが空室の割合ですから、1から空室の割合を引いて100をかければ正確な入居率を計算できます。

選び方のポイント2:提案力に注目

不動産投資で長期間収益を上げようと思うと、入居者募集だけでなく、集金管理やリフォームなどトータルな賃貸経営が重要になってきます。これらについて多くのノウハウを持っている管理会社を選ぶのが理想なのですが、ノウハウがある管理会社とそうでない管理会社は提案力を比べればわかります。

例えば、いくつか管理会社の候補があるのであれば、同じ質問をぶつけてどういう提案をしてくるかを見比べてみましょう。「自分の物件はどんな空室対策が必要だと思うか」「将来的に必要になると考えられるのはどんな対策か」「物件をさらに魅力的にするためにはどんなリフォームをするとよいか」などを質問すれば、提案力があるかないかの区別がつくはずです。このとき、予算を度外視するような提案を持ち掛けてきたり、地域的な特徴や入居者心理を無視した提案をしたりするような管理会社は、避けたほうが無難です。

選び方のポイント3:入居審査の基準に注目

入居審査の基準に関しては、厳しいと優良な入居者が集まりやすい反面、空室になる期間が長引くおそれがあります。一方、審査基準がゆるいと入居率は高まりますが、入居者の間でトラブルが起こる可能性も高まります。つまり、オーナーとしての理想の入居審査基準と不動産投資においての理想の入居審査基準には多少ずれがあるということです。ですから、投資物件としてある程度の利回りをキープしなければならない以上は、入居審査の基準をどの程度まで厳しくするかが重要になります。管理会社ごとに入居審査の基準が設けられているため、それぞれの基準と実際の入居率の関係を調べ、物件の価値を損ねずに空室リスクも最小限にできるラインを見極めましょう。

選び方のポイント4:サポート体制に注目

経営管理をすべて管理会社に任せる場合でも、サポート体制には注目が必要です。オーナーに対するサポート体制だけでなく、入居者に対するサポート体制についてもチェックしましょう。入居者が気持ちよく住めない物件では、入居率が下がってしまい、コンスタントに収益が上がらなくなってしまいます。入居者はいつ何時トラブルに遭うか分かりません。そのため、条件が同等であればトラブル時に素早い対応をしてくれる物件を選ぶ傾向があります。ですから、経営管理を任せる際には365日24時間体制でサポートできる管理会社を選ぶのが理想です。もし、そこまでのサポート体制は無理でも、入居者の生活時間帯を考えた場合、夜間や土日に連絡が付きやすい管理会社であることは最低限必要でしょう。

最後に


不動産投資を行ううえで、管理会社はとても重要な役割を担います。不動産の価値を高い状態でキープできれば収益は上がりますし、空室リスクや滞納リスクに対する対応力があれば高い利回りを維持することができます。管理会社にオーナーとしての知識不足をカバーしてもらうなら、提案力のある管理会社を選ぶことも大事です。本来は大家として投資家本人が行わなければならない経営管理を代理してもらうのですから、納得のいく管理会社を選べるようにしっかり比較しましょう。”

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