賃貸住宅の場合、気軽に壁に棚を取り付けたりできません。壁に穴を開けた場合、退去時に原状回復費を請求されることもありますので、できれば壁などに傷をつけずに過ごしたいものです。しかし、壁に棚がないのは不便なものです。賃貸だけど壁に棚を取り付ける方法について解説します。

ディアウォール

壁に棚を作りたいとき、時計やカレンダーを掛けたいときに、「自由に釘を打てる柱があれば良いのに」と考えることはありませんか?そんなときは、ディアウォール🄬が役立ちます。ディアウォール🄬を使うと、賃貸住宅の壁や天井、床を傷つけずに柱や棚を作ることができるのです。

出典:若井産業株式会社「ディアウォール」

ディアウォール🄬って何?

ディアウォール🄬とは、簡単に言えば突っ張り棒の両端部分です。突っ張り棒は、壁や天井と接する面が少なく不安定になりがちですが、ディアウォール🄬は壁や天井と接する面が10センチ×5センチほどと大きいため、しっかりと固定できるのが特徴です。

仕組み

2X4の角材とディアウォールを使って天井と床の間に柱を立てます。柱を2本立てて間に角材を渡して棚にすることもできますし、柱だけを立てて時計やカレンダーを掛けることもできます。ディアウォール🄬の内部には「ばね」が入っていますので、柱の中心部から両端に向かって押す力が働き、柱や棚が倒れないようにしっかりと固定されるのです。

施工方法

  1. 床から天井までの距離から40~45mm短い角材を準備し、両端にディアウォール🄬を取り付けます。
  2. 天井方向に角材を押すように柱を取り付けます。ぐらつくような感覚があるときは、ディアウォール🄬内部のパッドの下に付属のスペーサーを挿入します。
  3. 棚受けと板を使って、棚部分を作ります。棚受けは、ディアウォールを使って立てた柱にしっかりとネジで取り付けます。

出典:若井産業株式会社「ディアウォール」

ディアウォールのメリット

ディアウォール🄬の最大のメリットとしては、ばねの力で突っ張るので施工が簡単であること、また、床天井が傷つきにくいことがメリットとして挙げられます。しかし、床がクッション素材のように柔らかいフローリングの場合は、跡が若干残ってしまう可能性があるので注意して下さい。その他にも、カラーラインナップが多いというメリットがあります。タイプごとにホワイトとライトブラウン、ダークブラウン、ブラックの4種類の色がありますので、お部屋のイメージに合った棚や柱を作ることができます。

無印良品の「壁に付けられる家具」シリーズ

いわずと知れた無印良品の大ヒット商品「壁に付けられる家具」シリーズも、賃貸住宅に適した棚です。専用のピンを使うことで壁に負担なく設置することが可能ですので、ディアウォールのように柱を立てるといった大掛かりな作業が不要な点も人気の秘密と言えるでしょう。

出典:株式会社良品計画「壁に付けられる家具」

施工方法

  1. 付属品の専用フックを専用固定ピンで壁に付けます。固定ピンは押しピンと同じく手で強く押し込むだけで壁に入ります。
  2. フックに棚をかけて出来上がりです。

メリット

専用フックで壁に掛けられるのは棚だけではありません。ボックス型の収納庫や鏡の他、カバンやコートなどが掛けられるフック、洋服ハンガーを引っ掛けるのに使える長押しなど非常にバリエーションが多く、使い勝手が良いのが無印良品の壁に付けられる家具シリーズなのです。また、工具が一切いらないこと、石膏ボードの壁ならどこでも取り付けられるというのが、メリットとして挙げられます。

石膏ボードしか取り付けられない

石膏ボード以外の素材の壁の場合、壁に付けられる家具シリーズを使うことはできません。また、壁に押しピンの跡が付きますので、禁止されている賃貸住宅は、利用することができないので注意が必要です。

出典:株式会社良品計画「壁に付けられる家具」

壁美人

お手持ちの棚や時計、テレビなど、金具で引っ掛けられるものなら何でも壁に取り付けることができるのが「壁美人🄬」です。しかも、特別な工具も不要ですので、気軽に壁に家具やテレビを取り付けたい人におすすめのアイテムです。

出典:スタープラチナ株式会社「壁美人ネット」

壁美人とは?

壁に釘を打つと直径1mm以上の穴が開いてしまいますので、賃貸マンションや賃貸アパートでは使用はむずかしいでしょう。また、白っぽい壁なら、押しピンの穴でも目立ってしまうでしょう。しかし、ホッチキスのピンの穴は非常に小さく、目立ちません。壁美人はホッチキスを使って壁に取り付ける金具ですので、壁に押しピンの穴すら開けたくない人でも気にせず使える便利なアイテムです。

仕組み

壁美人は“壁側金具”と“フィルム”、“受け金具”の3つのパーツから成り立っています。フィルムをホッチキスで壁に留め、壁側金具を固定し、家具やテレビ、スピーカーなど壁に掛けたいものに受け金具を取り付け、壁側金具に受け金具を引っ掛けて固定する仕組みです。

ホッチキスの耐久性は大丈夫?

ホッチキスと言えば、紙をまとめるための文房具です。壁に何キログラムもの家具やテレビなどを引っ掛けられる程の強度があるのかと不安になるかもしれません。

しかし、金具によって荷重量が決まっており、ホッチキスの針を何本打てば良いかのガイドラインも決まっていますので、引っ掛けた家具やテレビが落ちてしまうことはないのです。

ただし、錆びている針やプラスティックなどの脆い針は使わないでください。壁美人🄬の強度を発揮するためにも、ステンレスの新しい針をホッチキスに入れるようにしましょう。

施工方法

  1. 取り付ける家具やテレビなどの重さを計り、重さに適した種類と個数の壁側金具を選択する。
  2. 壁側金具を壁の取り付けたい部分に当て、フィルムを壁側金具の上に当てる。
  3. ホッチキスを180度に開き、フィルムの上から針を差し込む。
  4. 取り付けたい家具やテレビに受け金具を固定する。
  5. 壁側金具に受け金具を引っ掛ける。

出典:スタープラチナ株式会社「壁美人ネット」

メリット

180度に開けられるホッチキスさえあれば、壁美人🄬を利用することができます。そのため、工具をお持ちでない方も気軽にDIYができるというメリットがあります。

また、商品ラインナップが多く、さまざまな大きさの壁側金具や受け金具、フィルムがあるだけでなく、壁美人と相性の良い道具です。もちろん、お手持ちの棚やテレビも受け金具さえ取り付けることができれば、壁美人を使って壁に固定することが可能です。

また、取り外しが簡単なことも壁美人の特徴です。引越すときや別の場所に家具を異動したいときも、工具不要で手でフィルムをまっすぐに引っ張るだけで取り外すことができます。

取り付けられるのは石膏ボードの壁のみ

ただし、壁美人を取り付けられるのは石膏ボードの壁のみです。コンクリートの壁や木材を貼った壁ではホッチキスの針が刺さりませんので注意して下さい。

ピクチャーレール

絵を掛けるためのレール「ピクチャーレール」を使って壁に棚を取り付けることもできます。ピクチャーレールはさまざまなメーカーから販売されていますので、お好きなタイプやデザインのものを選んでみてはいかがでしょうか。

ピクチャーレールとは?

ピクチャーレールとは、その名前の通り、絵を吊るためのレールです。ピクチャーレールには、天井に取り付けるタイプと壁に取り付けるタイプの2つのタイプがあります。ピクチャーレールは基本的にはネジで壁や天井に取り付けますので、ネジの穴が開いてしまうというデメリットがあります。しかし、天井や壁の最上部に取り付けますので、目立ちにくく、賃貸住宅でも利用が可能な場合もあります。

なお、カーテンレールとピクチャーレールは基本的には同じ構造です。そのため、カーテンを吊るさない人やカーテンレールにかかっているフックが余っている人は、カーテンレールを代用して吊り戸棚などを引っ掛けることができます。しかし、ピクチャーレールと比べるとカーテンレールは細く、耐荷重量も小さいことが多いため、かならずカーテンレールの耐荷重量を確認してから使用するようにしてください。

出典:株式会社福井金属工芸

施工方法

  1. レール本体をネジで壁もしくは天井に取り付ける。
  2. レールに必要な数だけフックを通す。
  3. レールの両端をキャップで覆う。
  4. フックに吊り戸棚や絵、時計などを引っ掛ける。

出典:株式会社福井金属工芸

ピクチャーレールを収納にする方法

ピクチャーレールを使って棚を吊るすためには、棚自体が吊るせる形状のものであることが必要になります。また、レールに引っ掛けるフックも、棚と棚に入れるものの合計重量に耐えられる強度が必要です。

レールとフックの強度に問題がないようであれば、同じ長さかつ同じ形状のフックを2個以上準備し、棚をひっかけましょう。ぐらつきが気になるときは、フックの数を増やすことで問題を解決できます。また、複数のフックでアクリル板をひっかけ、その上に飾りたいものを置くのもおしゃれですね。

耐久性は大丈夫?

レールやフックの強度にもよりますが、15キログラム程度まで耐えられるものもあります。必ず購入する前にレールやフックの強度をチェックしておきましょう。

最後に

賃貸住宅であっても、壁に棚や絵、時計などを取り付けることは可能です。もっとも適した方法を選択し、退出時に余計な費用を払わずに済むよう心がけましょう。