こんにちは。
東京都内でワンルームマンション投資をしている、個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの川井えりかです。

最近、「リノベーション」をした賃貸物件が人気を集めています。

リノベーション物件専用の不動産仲介サイトも多くあり、部屋はシンプルでおしゃれ、
広々した内装の写真が多く掲載されていて非常に魅力的です。

ところが物件情報を詳しく見てみると築30年、40年、50年超の物件も多いです。
綺麗にリノベーションされ、最新の設備を整えた部屋の写真からは想像できません。

地価の上昇で都心の不動産価格は上昇していますが、築年数の古い物件は比較的安く取引されています。

現在、港区の築40年のマンションと、同じ間取りの八王子の新築タワーマンションは、同じくらいの価格で購入することができます。
あなたならどちらを選びますか?

マンション建て替えルールが緩和

「鉄筋コンクリート(マンション)の寿命は100年以上」
とも言われますが、実際には100年を待たずに建て替えされることが予想されます。

理由は、築年数の古いマンションは耐震基準が現在の建物と異なり、大規模な地震で倒壊のリスクがあるためです。

そのため居住者が安心して生活できるよう、建て替えを検討するマンションも多いです。

部屋の中の設備を新しくするリノベーションは、その部屋の所有権を持っていれば独断ですることができますが、
建物を一度取り壊して新築マンションを建てる「建て替え」は、所有者一人の希望だけでできる簡単なものではありません。

建て替えには所有者の8割以上の賛成が必要です。

「耐震性が不足した物件且つ8割以上の賛成」という現在のルールが緩和されることが決まりました。

【耐震性不足】の要件に加え、【外壁の劣化】【配管の劣化】も建て替えの対象に加わります。
※耐震性不足と同様、所有者の8割以上の賛成が必要です。

もし、所有しているマンションの建て替えが決定したらどうなるのでしょうか?

建て替えは一等地のマンションほど有利

建て替えが決定すると、そのマンションがあった土地を不動産会社などに売却することになります。
売却して得たお金は所有割合に合わせて所有者一人一人に分配されます。

そのお金を元に、新しく建て替えられたマンションを購入して住むこともできますし、
他のところへ引っ越すこともできます。
所有者一人一人が自由に選択することができます。

土地を売却したお金が手元にあるわけですから、建物代金だけを支払えば
同じ場所の新築マンションに住み替えることができるという事になります。
建て替えは、地価の高いエリアほど所有者にはメリットがあります。

不動産の価格は、都心が高く郊外が安いのが基本ですが、
これは地価がそのまま反映しているためです。

建物を建設するのにかかる材料費や人件費などのコストは、
日本国内であれば殆ど変わりませんから、港区でも八王子でも建物代金は変わりません。

部屋の広さにもよりますが、港区築40年のマンションが将来、
プラス数百万円で新築に生まれ変わる可能性はあります。

資産価値を重視するなら築年数より立地

将来売却する可能性がゼロでないなら、
投資用不動産もマイホームも、資産価値の落ちない物件を選ぶことが大切です。

資産価値の落ちない物件とは、どのような物件のことをいうのでしょうか。

新築マンションは建物が新しく、設備も最新で非常に価値が高く見えますが、
その物件は10年後には「新築マンション」と呼ばれることはありません。
つまり、「新築」の価値には期限があります

それよりも、立地を重視しましょう。
建物は年数が経つと劣化しますが、土地は劣化しませんし、
「麻布十番駅徒歩5分」の物件が、将来「麻布十番駅徒歩10分」に変わることはありません。

戸建ての住宅を購入する方と同じように、
「この物件の土地を買う」という気持ちで物件探しをすることをお勧めします。

余談ですが、私が東京23区内に所有しているワンルームマンションは、
購入価格のうち、土地が占める割合は約6割を超えていて、
建物よりも土地の方が高いことがわかります。
ワンルームなので、床面積はたったの20㎡です。

そう考えると、築年数が古く安値で取引される一等地のマンションは、
「土地を買う」という観点で見ると魅力的かもしれません。

そして冒頭でお伝えした通り、今は築年数が古くても、リノベーションして綺麗な部屋に生まれ変わることが可能です。
リノベーションした物件は人気があり賃貸が付きやすく、賃料水準も高いです。

投資用なら間取りはコンパクトに

マイホームではなく、投資用で資産価値の落ちない物件を探すなら、立地に加え「コンパクトな間取り」を選択することをお勧めします。

仮に、予算がたくさんあって高額物件を購入できるという場合でも、
4LDKを1部屋ではなく、ワンルーム2部屋+1LDKを1部屋と、
コンパクトな間取りで複数所有することが望ましいです。

理由は、世帯の変化にあります。
日本は人口が減少し、都心でも今後は人が減っていくことが予想されています。

ところが、単身世帯は増加していくのです。高齢化、未婚、晩婚化等の理由で、
一人暮らし世帯は今後圧倒的に多くなります。

つまり、コンパクトな間取りの物件の方が、賃貸需要が高いのです。
不動産価格が今後どうなるかを確実に当てることはできませんが、
人口動態は、出生数や死亡率からかなり正確に予測することが可能です。

この正確な情報を投資に活かすことをお勧めします。

また、コンパクトな間取りを選ぶ理由はもう一つあります。
それは、「売却しやすい」ことです。

あなたが1億円の不動産を買うための資金力や信用力があったとしても、
あなたが購入した1億円の不動産を購入できる人は多くはいません。

ですが、3,000万円の不動産を購入できる人は沢山います。
コンパクトな間取りの物件を複数持つことで、
物件の単価は下がるため、すべての物件に買い手が付きやすくなります。

建て替えルール緩和は、長期の不動産投資に有利!

今後緩和されることになったマンション建て替えのルール、
不動産投資には非常に追い風です。

不動産投資のリスクの一つに、
築年数が古くなり老朽化による賃料下落リスクや、空室リスクが挙げられます。

物件の老朽化は避けられないことですが、
新築や築浅マンションを選んで投資することで、ある程度リスクを抑えることが可能でした。

ところが建て替えルール緩和により、
老朽化したマンションを所有するオーナーさんたちが同じように
「賃料下落や空室は避けたい」と考えていれば、
資産価値を高めるために【建て替え】という選択肢も生まれます。

新築、築浅ももちろん魅力的ですが、
自分が年金生活になるころに建て替えが検討されるような、
自分と同級生(=年齢と同じ築年数)のマンションを一室保有することで、
将来意外な可能性が高まるかもしません。

【記事筆者】

川井 えりか
川井 えりか
ファイナンシャルプランナー、マネーセミナー講師。
「10年後にお金を2倍にするマネープランニング」
「給料+10万円の副収入を作る」をコンセプトに、お金、投資のご相談を受ける。首都圏と札幌を中心に活動。
我慢を伴う「節約」は苦手。「お得にお金を使う」ことでお金の管理を楽しく簡単にします。