不動産投資にはリスクが付きものです。しかし、物件を購入する際や、経営管理を行う際にリスクを無視することはできないという話で、リスクを正しく理解して対策を取ることによって軽減したり回避したりすることが可能です。車の運転には事故のリスクがあるものの、便利だからやめようという話にならないのと同様、不動産投資にもリスクを超えるメリットがあります。そこで、不動産投資における効果的なリスク対策について解説します。

☆不動産投資で物件購入!その考えられるリスクとは?

まずは、一般の人が不動産投資用の物件を購入するなら、どんなリスクを想定するのか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
不動産投資で物件を購入する際のリスクはどのようなことがあると思いますか?

【回答結果】

★想定できるリスクは少なくない
・物件の瑕疵があるかもしれない。(40代/自営業(個人事業主)/男性)
・実際に購入した物件と、入居者などのニーズが合っていなかったなど「こんなはずではなかった」といったこと。(30代/会社員/女性)
・地震などで建物が破損してしまい、一気に価値がなくなってしまうことです。(30代/会社員/男性)
・価格の下落や周辺環境の劇的な変化。(40代/会社員/男性)
・税金や後々必要となってくるメンテナンスの費用。(30代/パート・アルバイト/女性)
・日当たりや近隣の騒音など一目見るだけではわからないリスクが潜在しているということ。(20代/会社員/男性)

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:121サンプル

一口に不動産投資用の物件を購入するときのリスクと言っても、人によって想定するリスクが異なります。借りる人に着目するか、物件自体に着目するか、周辺環境に着目するかによって、リスクと感じる部分がわかれたようです。しかし、いずれの場合も、予想していた収入が得られなくなる可能性があるという点では共通しています。では、実際にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

☆購入費用の借入はリスクを伴う

不動産投資は投資金額が大きいことから、ほとんどの場合、投資物件の購入時にローンを組みます。つまり、借金リスクがあるということです。借金をするということはスタート時点がマイナスです。そのため、そこからゼロに戻して、その後に初めてリターンがあるということになります。ですから、できるだけマイナス部分を小さくしたうえで、返済やリフォーム、売却のタイミングなども含めた長期的な計画が必要です。購入前に、ローン返済のシミュレーションがしっかりできていないと、途中で返済ができなくなる危険性があります。生活資金とは別に資金を用意できるか、返済可能な金額かなど、さまざまな方向から適正なローンが組めているかしっかり考える必要性があるでしょう。また、ローンには返済のときに上乗せされる金利があります。この金利が固定であるか変動であるかという点でリスクが大きく変わってきます。変動金利は金利が下がれば返済金額が少なくて済みますが、上昇すると、予想していたよりも返済する金額が大きくなります。元の借入金の額が大きい分1%変動するだけでも数万円単位で月々の返済額が変わりますから、その点もきちんと考えたうえで借入を行うことが大事です。

☆物件価格が下落するリスク

投資物件を選ぶときに、自分が住む家を選ぶ感覚で立地や建物の設備をチェックする人がいますが、投資物件を利用するのは投資家本人ではなく入居者であるということを忘れてはいけません。不動産投資用の物件を購入する際は、自宅を購入するときとは目線が若干異なります。自分にとって住みやすい場所かどうかではなく、一般的に見てよい立地かどうかという点が重要です。立地条件が悪いと物件の価値は次第に下落してしまいます。そうなると、家賃を当初より安くしても入居者が決まらないという可能性が出てきます。それでは投資物件としての価値はありません。不動産投資の物件を選ぶ際には、長期的に高い価値をキープできる立地条件であることが重要です。特に、最寄駅から徒歩10分圏内であることは投資物件として大事な条件と言えます。家賃収入を安定して得るためにも、将来的に物件を手放すときまで価値をできるだけ下げずに保つためにも、将来にわたって賃貸需要のある立地の物件を見極める目が必要です。建物自体は建て替えが可能でも、立地は選んだ後では変えられません。その点も踏まえて選ぶようにしましょう。

☆欠陥・瑕疵物件のリスク

不動産投資をする際、実物を見ずに投資先を決めてしまうという人もいるようですが、それでは失敗する可能性が高くなります。図面ではわからないことがたくさんあるからです。立地的なものももちろんですが、建物をよく見れば気が付くことができた欠陥や瑕疵を見落とす可能性もあります。逆に、たとえ実物の建物を確認したとしても、必要な書類に目を通さずに投資することを決めてしまうと、後で物件に欠陥や瑕疵が見つかっても文句が言えなくなってしまいます。つまり、図面と実物どちらかだけのチェックでは不十分と言うことです。万が一物件に欠陥や瑕疵があった場合には、物件自体の価値が下がってしまううえに、入居率も下がってしまい、投資物件としての意味がなくなってしまいます。不動産投資は物件を十分に活かして収益を上げることを目的としていますから、物件の投資先としての価値を確認するためにも「物件状況確認書」の確認が欠かせません。しっかり自分の目で細かいところまで確認し、納得できる状態の物件を購入するようにすれば、欠陥や瑕疵のリスクは減らすことが可能です。

☆天災・人災リスク

地震が多い日本では、不動産投資をするうえで地震のリスクは避けられません。他にも、台風による風水害や、雪国なら雪害も想定に入れておく必要があります。天災のリスクは避けることができないものですが、だからと言って何もせずに諦めていたのでは投資することもままならなくなります。不動産投資を行うのであれば、きちんとリスクに見合った保険に加入しておくことが大事です。不動産投資家の中には稀に保険料がもったいないという理由で火災保険にも加入していない人がいるようです。天災では保険が下りないからという理由でかけていないという人もいます。しかし、天災以外にも放火や車が建物に突っ込んでくるような人災もあり得ます。もし保険に加入していなかったら、そんなとき、建物や入居者を失ったうえにローンだけが残ることになってしまいます。金額の大きい投資をするのですから、目先の金額にこだわってリスク管理を怠るのは大問題です。他人に物件を貸し出して収益を上げるのですから、リスクの想定と保険加入は忘れないようにしましょう。

☆まとめ

不動産投資にはリスクがありますが、どんなリスクがあるのかを事前にチェックし、必要な対策を取るようにすることで最小限にまで減らすことが可能です。しかも不動段投資は長期的に行うものですから、どのような場面でどのようなリスクが発生しうるのかを考えて、対応策を準備しておけば、安心して行うことができます。副業としても、老後の年金対策としても有効な不動産投資ですから、リスク管理をしっかりと行って、安心して行えるようにしましょう。”

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