サラリーマンや主婦の資産運用手段として昨今注目を集めているのが不動産投資です。しかし、不動産投資という言葉を耳にする機会はあっても、詳しい内容を知る機会は案外少ないかもしれません。いくら興味があっても、詳しい内容がわからなければ実際には始めることはできないという人もいるはずです。そこで、これから不動産投資を始めたい人のために、不動産投資とは何なのか、どういう仕組みで行われるのかという点について詳しく解説します。

不動産投資はどれだけ認知されている?

まずは、不動産投資について知っている人がどれくらいいるのかを調べてみました。

【質問】
不動産投資についてどれだけの知識がありますか?

【回答結果】


まだまだ知らない:109名
少し知っている:39名
結構知っている:9名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:157サンプル

★知っていると胸を張って言える人はほんのわずか
今回のアンケートの結果、まだまだ知らないと答えた人が約7割を占めました。

・不動産投資には多額の資金が要るというイメージがあり、少額から始められる(と思われる)投資を優先してしまう。(40代/会社員/男性)
・最近、不動産投資はわりと簡単にできてリスクが少なく、儲かりやすいと聞くが本当に?と疑っている段階。(30代/専業主婦・主夫/女性)

まだまだ知らないと答えた人の中には、何となく輪郭はわかっているけれども詳しくは知らないという人と、全く想像もつかないという人がいました。特に、不動産投資自体には関心があるけれど、あまりよくわからないから、どこから手を付けたらよいかわからず始められないという答えが目立ちました。分からないながらも、興味を持っている人が多いことがわかります。次に多かったのが少し知っているという答えでした。

・老後の安定収入として、具体的に調べた経験がある。(60代/会社役員/男性)
・一時期、貯金を有効活用できないかと調べたことがある。(30代/自営業(個人事業主)/女性)

少し知っていると答えた人は、実際に調べた経験があるという人ばかりです。本で読んで知ったという人が多く、きっかけとしては預貯金の金利が低いからというコメントが目立ちました。最後に最も少なかった「結構知っている」と答えた人のコメントは次の通りです。

・空家を民泊経営するために勉強した。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・実際にやっているので結構知っています。(40代/無職/男性)

「結構知っている」と自信をもって答えられるだけの知識を持っている人は、実際に不動産投資をしている人や、不動産投資をするために勉強した人であることがコメントから分かります。

不動産投資に興味を持って本などを読んでいる段階の人は「少し知っている」と答え、実際に不動産投資をしたり、始める準備をしたりしている人は「結構知っている」と答える傾向があるようです。では、少しでも関心を持った人が実査に不動産投資に乗り出せるように、ここからは不動産投資の基礎について学んでいきましょう

不動産投資の仕組み

基礎知識としてまず知っておきたいのは不動産投資の仕組みです。不動産投資には、賃貸目的で不動産を購入し、第三者に賃貸することで家賃収入を得るインカムゲイン方式と、不動産を安く購入して価格が上昇したときに購入価格よりも高く売ることで差益を得るキャピタルゲイン方式があります。初心者でも手を出しやすい不動産投資はインカムゲインの方式です。インカムゲイン方式であれば、立地や物件を慎重に選べば、景気の動向を細かく読み取ることに慣れていない初心者でも成功の可能性があります。それに対してキャピタルゲイン方式の不動産投資は、景気の動きを細かく読み取れれば大きな儲けを期待できますが、必要に応じてリフォームなどを施す必要があるため、手間がかかるうえに初期投資の金額が大きくなります。いずれにしても、初期投資の金額が大きい不動産投資では、家賃収入などをローン返済に充てるため、本当の意味で利益が出始めるまで時間差があります。

不動産投資の種類


一般的に不動産投資と呼ばれるものには次のような種類があります。

・不動産投資信託(REIT:リート)

たくさんの投資家から資金を募り、大規模マンションやオフィスビル、商業施設など、ひとりの投資家では経営が難しい物件を複数購入し、それらを貸し出すことで得た賃料収入や売り出すことで得た売却益を出資した投資家に配当として分配する方法です。不動産投資の一種ですが、法律上は投資信託として扱われます。

・マンション投資(一戸)

1室単位でマンションを購入し、入居者と賃貸契約を結ぶことで家賃収入を得る方法です。初期投資の金額が小さく、対象戸数も少ないため、管理しやすく初心者でも始めやすいのが特徴です。

・アパート経営(一棟)

集合住宅を丸ごと1棟購入して経営管理する方法です。もともと土地を持っている人がその土地にアパートを新築したり、中古のアパートを土地とセットで購入したりして始めるのが一般的です。

・戸建て経営

一戸建て住宅を賃貸経営する方法です。もともと自分の土地があってそこに戸建て住宅を建てて貸し出す場合と、中古住宅を土地ごと購入して貸し出す場合があります。

不動産投資のメリットとリスク

不動産投資の基礎知識として正しく知っておきたいことにメリットとリスクがあります。メリットをひとつ挙げるなら、代表的なのは不労所得を得られる点でしょう。株式投資などの金融商品は、常に相場の変動をチェックしたり、銘柄や業界について研究をしたりしなければ利益を上げることができません。しかし、不動産投資は最初の選定を誤らなければ、日々の管理を業者に委託しても利益を上げることが可能です。日々の手間が少なく、自分自身が病気などで働けなくなったときにも、家族の介護で仕事をセーブしなければならなくなったときにも安定した収入を得られるという点は魅力的です。また、若い世代の人にとっては、老後の年金代わりとしてもメリットがあります。年金の額が減った分を埋める収入として定期的な家賃収入が入ってくるようにしておくと、老後の安心に繋がります。住宅ローンを組むと万が一に備えて団体信用生命保険に入ることになるため、生命保険代わりにもなります。もちろん、メリットを活かすためには、リスクを正しく理解することが欠かせません。空室ができたり滞納する入居者が現れたりすると家賃収入が入らなくなりますし、物件が古くなったら大規模な修繕が必要になります。入居率を高い水準で保たなければ高い利回りを維持できないという点はリスクとして認識して、対策を取る必要があるでしょう。

不動産投資に向いている人・向いていない人

メリットが多い不動産投資ですが、向いている人と向いていない人がいます。ですから、いくら良い物件を選べても向いていない人が不動産投資に手を出すと失敗する可能性があることは事実です。不動産投資に向いているか向いていないかのチェックポイントは次の通りです。

<向いている人>
・人とのコミュニケーションが苦にならない人
・リスクを理解しつつも思い切ってチャレンジできる人
・自分の考えがはっきりしていてブレない人

<向いていない人>
・自分では行動せずすべて人任せにする人
・楽天的すぎるまたは悲観的すぎる人
・目先の利益に固執する人

自分で正しい情報を得ようと努力し、周りの人と円滑にコミュニケーションを取ることを怠らず、さらに情報のやり取りをしてリスクに備えられる人が不動産投資で成功しやすいと言えるでしょう。リスクを甘く見る人が失敗しやすいのは当然ですが、リスクを理解できても一歩前へ踏み出すことを躊躇する人は不動産投資を始めることすらできません。自分の考えをしっかり持っていて、周りの信頼を得られる人が不動産投資に向いていると言えます。

知っておきたい税金のこと

「節税対策として不動産投資を始めたのに、実際はあまり節税にならなかった」という人は少なくありません。実は、儲かるような不動産投資をすると、利益には税金がかかるので、もし還付金が戻ってくるのを節税と考えるのであれば間違っています。還付金があるのは不動産投資で損失が出ている証拠だからです。例えば、税率が40%の場合を想定して、税金を納めずに済むように利益を修繕費に回した場合と、そのまま税金を納めた場合で比較してみましょう。

・税金を発生させないために100万円の利益をそのまま修繕費に回した場合

100万円(利益)-100万円(修繕費)=0円(最終的な利益)
0円(最終的な利益)×40%(税率)=0円(税金)
0円(最終的な利益)-0円(税金)=0円(実質的な収入)

・細工をせず普通に税金を支払った場合

100万円(利益)-0円(修繕費)=100万円(最終的な利益)
100万円(最終的な利益)×40%(税率)=40万円(税金)
100万円(最終的な利益)-40万円(税金)=60万円(実質的な収入)
このように、目先の節税を狙っても収入が得られないのでは意味がありません。ただし、不動産投資が相続税対策になるのは確かです。不動産を第三者に貸している場合は、自由には使えない部分として相続税評価額から差し引かれるため、実勢価格よりも低くなり、かかる相続税は安くなります。
不動産投資をしていればサラリーマンでも節税できる

まとめ


不動産投資には多くのメリットがありますが、リスクも伴います。ですから、リスクを正しく理解して、あらかじめ対策をしておくことが大事です。他人とのコミュニケーションを取りながら自ら動ける人は不動産投資に向いていますし、周りとうまく情報交換できる人は成功します。面倒な管理をプロに任せることもでき、副業としても成功しやすい不動産投資です。広い視野で長期的に投資を続けられるよう、基礎知識からしっかり勉強しておきましょう。”

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