自らが土地を持っている場合、その土地を有効活用する方法のひとつとして挙げられるのがアパート経営などの不動産投資です。所有している土地でアパート経営を行うことが相続税対策につながります。さらにアパート経営を法人化することで相続税対策はさらに有効になる場合があるのです。こちらでは、土地をアパート経営で活用して節税対策を行うための方法を紹介しています。

☆所有している土地の売却はダメ!?売らずに法人化で相続税対策

自分が土地を所有している場合、その土地には固定資産税が課せられます。特に用途がないのにそのままにした状態で税金がかかってしまうのは無駄になりますから、その土地を何とかしたいと考えている人もいるでしょう。

このとき、土地をそのまま売却するとそこで得た利益は譲渡所得となり、所得税が課せられることになります。これを回避するためには、土地を売らずにアパート経営などで土地活用を行うのがおすすめです。

土地は個人所有としておいた上で、不動産所管理会社を設立して法人化し、土地の上に建てるアパートなどの建物のみをその会社に売却するという形をとれば、個人が土地を売ることなく、法人がアパート経営しているという図が成り立つのです。そしてアパート経営を行う法人の役員を家族とすれば、不動産所得を贈与ではなく役員報酬として家族に分散できるため、相続税の課税対象額を抑えることにつながります

ちなみにこの場合、土地には底地権と借地権が発生し、土地を借りている法人が所有者である個人に権利金を支払う必要が出てきます。しかし、土地の所有者自らが設立した法人ではそのお金の流れを作るのは難しいでしょう。そのため、法人が土地を立ち退く際に無償で地主に返還することを約束する「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出すれば、権利金を個人に支払う必要がなくなり、最低限の地代の支払いのみで済みます。

☆アパートを建てれば節税に!?評価額を下げるという対策

相続税の課税を考えるとき、何もない更地の場合はその土地の評価額がそのまま相続税の課税対象になります。

しかしここにアパートなどの建物を建てた場合、その土地は貸家建付地としての評価を受けることになり、本来の土地の評価額のおよそ8割程度になるのです。

アパートなどの建物は固定資産税評価額から価値が算定されますが、その評価額はアパートの建設費用のおよそ

4割程度になるとされています。ここからさらに借家権の割合で3割が減額されるため、アパートが建てられている場合の土地と建物の評価額を大幅に抑えることになり、相続税の課税対象額がぐんと下がるのです。

また、一定の条件を満たせば面積200平方メートルまでの小規模な賃貸事業用地に関して評価が半分になる特例もあり、相続税対策に大きな効果をもたらすことになるでしょう。

☆相続財産の置き換え!生前贈与で大幅に相続税を減らせる?

通常、個人でアパート経営を行う場合はそこで得た不動産所得は相続財産となり、家族に相続する際には不動産所得から相続税を支払う必要があります。また生前に財産を与えるときには贈与税がかかります。

しかし、アパート経営を法人化することによって、生前贈与を別の形にすることができるのです。

不動産管理会社を設立してアパート経営を法人で行うとき、その会社の役員に家族を就任させると家族には役員報酬が発生し、その金額は不動産所得から支払われることとなります。本来であれば財産の生前贈与となるところを役員報酬として支払うことによって、その金額は会社の経費に計上することができます。

こうして相続財産を役員報酬に置き換えることで不動産所得から経費分として削減でき、結果的に相続税の課税対象額を大幅に減らすことにつながるのです。アパート経営を法人化することは、相続税対策にさまざまな効果をもたらすというわけです。