マンションや商業ビルなど複数の不動産を購入して得た賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品がREITです。投資信託や株と同様、利益を出すための金融商品なので、利回りが重要になってきます。そこで、REITの利回りの計算方法やそれに関連する事項について見ていくことにしましょう。

分配金利回りはこう考える

REITの分配金利回りは、相対的に株式や債券に比べて高くなっていますが、その理由として投資対象が不動産だということがあげられます。不動産の賃料収入は比較的安定しているので、その分多くの利益が投資家に還元されます。また、空き室が出たり、滞納があったりして、賃料収入が少なくなる場合もあるのではないかとも考えられますが、複数の不動産に投資して、リスクを分散しているので、うまく安定性を維持できているのです。

また、J-REITは投資で得た利益の90%を超える分配を投資家に行うことを件に法人税が免除されるようになっているのも、分配金利回りが高くなっている大きな理由です。ただ、分配金利回りが高いのは、様々なリスクが存在する前提でそのようになっているので、一概にいいというわけではありません。

一般的な利回り計算方法とは

REITの一般的な利回りは年間に予想される分配金を預入年数で割った額をさらに年間に投資した額で割り、それに100をかけることで計算できます。例えば年間予想分配金が4万円で1年間に80万円を投資した場合、年5%の利回りということになります。基本的に不動産の市場価格が上昇すれば利回りは低くなり、不動産の市場価格が下落すれば利回りは高くなる図式です。

また、不動産市況は変化しやすいので、それに伴って得られる賃料収入や売却益も変わってきてしまいます。そのため、当初想定していた利回りよりも高かったり、低かったりすることはよくある話です。

長期金利との差を考えることも大切

REITはマンションや商業ビルなど複数の不動産に投資して運用する金融商品なので、長期金利の変化が与える影響は少ないように思えます。確かに投資した不動産の収益性だけに着目すると、長期金利が上昇したからといって収益が上がるわけでもなく、逆に下落したからといって収益が下がるわけでもありません。しかし、REITが不動産に投資をする場合、投資家から集めた資金だけでなく、銀行などの金融機関から借入をした資金も利用して投資しています。

長期金利が上昇すると借入した時の金利も高くなり、発生する利息も高くなります。そのため、支払いの負担が増えて収益が少なくなり、利回りが低くなってしまうのです。また、REITの利回りは長期金利よりも高いですが、不動産価格の下落リスクや長期金利の上昇で、その差が縮まることも十分考えられます。このようなことからREITの利回りは長期金利との差を考えることが大切です。

投資家が注目するNAV倍率

不動産にはそれぞれ価格がありますが、必ずしもそれが適正な額というわけではありません。例えば、不動産バブルの状態で、実勢価格よりも高い価格の状態になっていることもよくあります。しかし、これではREITの投資をする際、その不動産に対して適正な評価をすることができません。そこでREITの投資家が注目するようになったのがNAV倍率です。

NAVとは純資産価値のことでREITの場合は、投資不動産の総資産から負債を控除したものがそれに当たります。さらにREITは口数で購入することになるのですが、純資産から購入した口数を割ったものが1口当たりの純資産です。そして投資不動産の現在の値段から1口当たりの純資産を割って出した数値がNAV倍率です。NAV倍率の見方として1より上の数値が出た場合、適正よりも価格が高く、下の場合は割安と見ることができます。NAV倍率を出すことで、投資不動産の適正価値を把握できるので、多くの投資家が注目するようになっています。

REITで重要なポイントはコレ!

REITでは利回りの計算やNAV倍率を出して、適正な不動産価格を把握することが大切ですが、それ以外にも重要な点が2つあります。まず時価総額で投資するリートを選ぶことです。

一般的にREITは時価総額に応じて投資をするので、時価総額が大きいほど投資する額も増えていくからです。それから、投資している複数の不動産のポートフォリオの状況です。REITは収益の安定性が大切なので、特定の不動産に依存して投資されていないかを確認しましょう。