REIT投信から受け取る分配金には2種類あります。その違いを正しく理解しておかないと、REIT投信への投資が上手くいっているのかどうかすらわからなくなってしまうでしょう。そこで、REIT投信の分配金の計算方法についてご紹介します。

☆分配金を計算するべきなのはなぜ?REIT投信での必要性

REIT投信を買ってみようと考える動機のひとつとして、分配金の利回りの高さがあります。REIT投信の分配金の原資は、賃貸不動産から生まれる利益が中心ですが、需給による基準価格の変動、海外REIT投信であれば為替差益も原資となります。

また、信託財産が増加している状態であれば、一定の範囲内で決算期間に生まれたファンドの利益を超えて分配金を支払うことも認められている場合があります。つまり、受け取った分配金は単純に利益とはいえない可能性があるのです。分配金には、投資家にとっての利益である普通分配金と、利益ではなく元本の払い戻しである特別分配金の2種類があります。

普通分配金は所得税や住民税、復興特別所得税が課税されますが、特別分配金は利益ではありませんので非課税です。そのため、REIT投信の実質的な利回りを知りたい場合は、特別分配金を除いて考える必要があります。普通分配金なのか元本払戻金なのかは、分配金の支払いに関する明細書を見ればわかるようになっています。

☆税引前の計算方法

分配金の計算方法を正しく理解するために、まず税引前の分配金の計算方法を知ることが重要です。税引前の分配金は、半年や毎月などのREIT投信の決算期ごとに投資信託委託会社が決算状況を見て決定します。REIT投信の投資単位は1口ですので、1口いくらという形で分配金は決定されます。仮に、1口60円という分配金で100口保有していれば6,000円の分配金が受け取れることになります。

また、分配金はREIT投信の財産から支払われますので、支払後の財産は減少することになります。REIT投信の基準価額は、そのファンドの財産の合計金額を投資口の総数で割ったものですので、分配後、基準価額は1口あたりの分配金の金額だけ下がります。税引前の分配金の計算方法は、ファンド全体の単純な計算になりますので、わかりやすいでしょう。

☆税引後の計算方法

一方、税引後の分配金の計算方法は、各投資家によって違ってきますので少し複雑です。例えば、基準価格が1口9,000円の時に投資をし、その後決算時期に11,000円まで値上がりしたとします。決算の結果、分配金が1,000円となった場合は、値上がり益の2,000円のうち1,000円が分配されたことになるため約20%の税金がかかり受取額は約800円になります。

仮に、同じ条件で分配金が3,000円だった場合、3,000円の内訳は、2,000円の値上がり益に加えて、投資資金として預けていた元本が何も働かずに返ってきた1,000円となります。普通分配金である2,000円の値上がり益には約20%課税、特別分配金である1,000円の元本払い戻し額については、利益ではないため非課税です。

結果として、受取額は2,000円から約20%の税金を引いた約1,600円と非課税の1,000円を合わせた2,600円ということになります。また、特別分配金を受け取った場合は、投資元本が戻ってきたことになりますので、値上がり益計算の基準となる当初投資単価が変わります。1口9,000円で購入した後で、特別分配金1,000円を受け取った場合は、投資額は8,000円に変わるのです。この投資額は個別元本と呼ばれ、投資家それぞれ個別に計算が行われています。REIT投信から分配金を受け取った場合は、2種類の分配金のうちどちらの分配金を受け取ったのか、意識することが大切でしょう。