不動産投資は、将来の資産形成のために行うものなので、資産運用の知識も必要になります。そのため資産運用に関連した資格の中にも、不動産投資に役立つものが少なくありません。そこでどのような資格があるのか、紹介していくことにしましょう。

☆DCプランナー2級

この資格名のDCとは確定拠出年金制度のことで、個人ごとに拠出された掛金を管理し、掛け金に運用収益を加えた額をもとに年金額が決められる制度です。しかしDCプランナー資格では、確定拠出年金などの年金制度にとどまらず、資産運用やライフプランの立て方などの知識も求められています。そのため不動産投資も資産運用の一種であり、DCプランナー資格を取得した時に得られる知識を活かすことが可能です。
DCプランナーは、日本商工会議所と一般社団法人金融財政事情研究会が共同で実施している試験で、1級~3級まであります。2級を取得するためには、確定拠出年金などの年金制度や投資に関する知識を、一般企業の福利厚生担当者に説明できる程度まで身につけなければなりません。合格するには、基本的事項をしっかり勉強することが大切になります。DCプランナー2級の試験は、毎年1回、9月に実施され、受験資格は特にありません。問題形式は、四肢択一式の45問程度となっており、試験時間は150分です。合格するためには、100点満点中、70点以上の正解が求められるので、決して易しくありません。試験の出題範囲は、日本の年金制度や退職給付制度、確定拠出年金制度、投資に関する知識、ライフプランニングとリタイアに関するプランニングです。勉強方法は基本的に独学で構いません。市販のテキストと問題集を利用して、300時間程度勉強すれば、合格できるでしょう。

☆証券外務員一種及び二種

証券外務員を取得すると投資商品などの金融商品取引業務を行うことができます。銀行や証券会社で働いている人が取得する資格の1つです。この資格を取得すると投資信託の知識を身につけることができます。不動産投資信託であるリートの理解にもつながるので、不動産投資にも役立つのです。
証券外務員の試験は、日本証券業協会が取り扱っており、一種と二種があります。一種を取得すると株式、債券、投資信託の他、信用取引やデリバティブ取引に関する商品も取り扱えるようになります。試験日は原則として祝祭日を除く月曜から金曜までの毎日となっており、受験資格はありません。オンラインで受験の予約をできるので、便利に手続きできます。
出題形式は○×形式と五肢択一で、解答はパソコン内への入力によって行います。問題数と試験時間は、一種が合計100問で2時間40分、二種が合計70問で2時間となっており、一種のほうが多いです。合格するためには一種、二種共に7割以上正解が必要です。しかし合格率は一種が約40%、二種が約60%と高めであることから、決して難しいわけではありません。40時間から60時間程度、しっかり勉強すれば、十分合格可能です。しかし受験料は一種、二種共に8,704円と安くないので、合格できる実力を身につけてから受験するとよいでしょう。試験勉強は、二種の場合、独学でも問題ありませんが、一種の場合、受験指導機関を利用したほうがよいかもしれません。

☆投資信託3級

投資信託3級とは、銀行業務検定協会が取り扱う検定試験の1つです。投資信託を人へ販売するに際して、その基本知識や販売技能を測定するために行われています。投資信託3級では、投資信託の仕組みや運用方法など基礎的な知識が問われます。投資信託について学ぶことでリートの知識も深まり、不動産投資の理解にもつながるのです。不動産投資の幅を広げたい人は取得を考えてもよい資格だと言えるのではないでしょうか。
投資信託3級は毎年3月、6月、10月の3回行われています。受験料は4,320円となっており、それほど高額ではありません。受験の申込は、試験日の約2か月前から受付するので、忘れないようにしましょう。投資信託3級の試験問題は、基礎知識と技能・応用からなり、前者からは知識を問う四肢択一30問、後者からは事例付の四肢択一形式20問出題されます。合格するためには、満点中60%以上正解しなければなりません。合格率が20~30%台であることを考えると、合格するためには、投資信託に関する知識をしっかり身につけたいところです。ただ受験勉強自体は、市販のテキストや問題集を利用することで対応できるでしょう。勉強時間も3カ月程度あれば、合格圏内に達することが可能です。ただ仕事で勉強時間があまり取れない人は、少し余裕を持たせて、半年前から始めたほうがよいでしょう。

☆FP2級

FPとは、ファイナンシャルプランニング技能検定のことで、日本FP協会及び一般社団法人金融財政事情研究会が取り扱っている検定試験です。1級、2級、3級があり、2級は中程度の難易度になります。FP2級の試験範囲内には、不動産も含まれているので、その知識を活かして不動産投資に役立てることができるでしょう。特に不動産の賃貸や有効活用、不動産の取得、保有にかかる税金などは、不動産投資に直結する分野です。FP2級を取得することで、より効率的な不動産投資の実践が可能となります。
FP2級の試験は、学科試験と実技試験にあり、両方合格すると資格を取得できます。合格するには、学科試験の場合、60点満点中36点以上必要です。これに対して実技試験の場合、試験取り扱い機関によって違います。日本FP協会の場合、60点満点中36点以上、一般社団法人金融財政事情研究会の場合、50点満点中30点以上です。しかし共に6割以上正解しなければならないという点は共通しています。また一般社団法人金融財政事情研究会で実技試験の場合、複数の科目の中から1つ選択して受験することになります。試験は5月、9月、1月の年3回実施しており、受験料は、学科試験が4,200円、実技試験が4,500円です。FP2級の試験は、実技試験が記述式となっており、正確な理解が求められます。そのためしっかり勉強しなければ、合格するのは難しいでしょう。勉強時間は3カ月から半年程度必要となりますが、独学での対応も可能です。

☆証券アナリスト

証券アナリストの資格を取得すると、証券投資に関する専門知識や分析の技術を身につけることができます。この試験は、証券分析とポートフォリオマネジメント、財務分析、経済の分野から出題され、不動産からの出題はありません。そのため不動産投資とこの資格はあまり関係性がないようにも見えます。しかし不動産投資をする場合、より効率的に収益を上げるために、分析してから物件を購入します。証券アナリストでは、投資に関する分析の技術が問われるので、この部分が活かされてくるのです。
証券アナリストは日本証券アナリスト協会が実施する講座を1回受講することで、3年間の受験機会が与えられます。証券アナリストの1次レベル試験は、毎年4月と9月の2回実施しているので、合計6回の受験が可能です。受験期間内に3科目の試験に合格すれば、2次レベル試験へ進むことができます。2次レベル試験の実施は、毎年1回、6月に行われています。2次レベル試験に合格できれば、証券アナリストの資格を得ることができるのです。受験料は、1次レベル試験は1万2,000円、2次試験レベルは8,200円となっており、合格まで2万円強の費用が必要になります。証券アナリストの合格率は例年50%前後を推移しており、それほど難易度は高くありません。ただ講座受講を始め、1次レベル試験と2次レベル試験に合格しなければならないので、2000時間程度の勉強が必要になります。