こんにちは。元3メガ系証券会社でFXのスポットディーラーをしていたスイーツ大好きの中島 翔です。

仮想通貨という言葉を最近聞くようになった方も多いと思いますが、その歴史の変遷はご存知の方は少ないかもしれません。
まだ仮想通貨の歴史は10年程度であるものの、その変遷は大きなものであり、今後ブロックチェーンの技術が大きく発展しつつある中、理解しておいて損はないと思います。今回は、そんな仮想通貨の10年間の変遷について振り返ってみましょう。

仮想通貨の歴史

2008年10月 サトシ・ナカモトが論文を公表

サトシ・ナカモトはビットコインの生みの親とも言われている方で、その存在は明確に誰なのかいまだに不明な状態です。
しかしながら、下記リンクの論文からビットコインのロジックが作られたと言われています。
【参考】https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

2010年 ピザの売買で初のビットコイン取引が成立

2009年にはトランザクション報酬としてサトシ・ナカモトと思われる人物が10BTCをとあるエンジニアに送金したのが最初のビットコイン取引と言われていますが、物の売買で一般的に初めてと認識されているのが「ピザの代金」です。

フロリダで、1人のプログラマーがビットコインに目をつけ、マイニングをして貯まったビットコインを実際に使えないかと考え、インターネット上のオンラインフォーラムでピザを二つ買いたいと依頼をしたそうです。その中のユーザーが引き受け、10,000BTCでオーダーして自宅にピザを届けたそうで、この取引が最初の商品で使われた取引と言われています。

ちなみに当時のピザの価格は2枚2,600円で、10,000BTCは現在(2019年2月時点)1BTC400,000円と考えると時価40億円相当でとても大きな買い物になったようです。

2010年2月 世界で初めて仮想通貨取引所「ビットコインセンター」が設立

2010年に、これまでどこにもなかった仮想通貨取引所が世界で初めてニューヨーク証券取引所の横に設立されました。そして法定通貨との交換も必要になってくることから、この流れで法定通貨と仮想通貨の交換用として「ビットインスタント」(取引所)が続いて設立されています。

また日本では、マウントゴックス社が6月に日本で初めて仮想通貨取引所を開設しました。
マウントゴックス社は日本でも話題になったため名前は聞いたことがある方も多いでしょう。マウントゴックス社は2013年にはビットコインの取引高が海外含めて7割を占めており、最大の仮想通貨取引所となりました。

しかし2011年にハッキング事件が発生し、ビットコインの価格操作が行われ、マウントゴックス社は875万ドル相当の損が発生し、2014年に破綻することなります。

2011年6月 違法薬物購入にビットコインが利用され話題に

違法の薬物購入サイト「silkroad」が話題になり、ビットコインが認知され始めました。ここでは匿名性という言葉が話題となり、ビットコインは悪い意味で利便性が高いという印象が付いたきっかけにもなっています。

2013年 キプロス危機を受けてビットコインが急上昇

ギリシャ国債を保有していたキプロス共和国が、ギリシャ国債の元本減免により不渡りとなり、EUから資金援助を受けたことが発端となっています。EUの資金援助の条件として、キプロスの預金者から58億ユーロの支払いを求めるという内容に国民が怒り、混乱する事態が発生しました。

その際に安全資産と思われていたビットコインが急上昇することとなります。理由としては「ビットコインは中央集権的な管理がされていないこと」、「発行数に上限があることからリスク回避の手段の一つとして選ばれたこと」が挙げられます。

2013年12月 中国が金融機関の事業でビットコイン取り扱い禁止を公表

中国は現在でも仮想通貨取引を禁止していますが、この年から一気に規制が始まりました。
中国は取扱高が世界でも大きかったこともあり、その後中国の動向が与えるビットコイン相場への影響は大きいものとなりました。

2014年 新しい仮想通貨の誕生

この年の1月にライトコインが、8月に日本人も大好きなリップルが生まれており、イーサリアムは翌年の2015年に誕生します。
ビットコイン、リップル、イーサリアムと現在の主要3通貨がこの2014年、2015年で揃うことになります。この3通貨で世界の売買高の8割以上を占めており、メインプレーヤーはこの3通貨で勝負する人が増えてきました。

2014年 マウントゴックス社破綻&海外で仮想通貨取引所が様々に設立

2011年にハッキング被害を受けたマウントゴックス社はこの年に破綻する結果となります。
マウントゴックス社の影響は現在も続いており、破産管財人が今でも資産売却のためコインを売却している様子で、相場にこの注文が度々影響を与えていると噂されたりしています。

また2014年は、現在有名となっている取引所が様々に設立された年でもあります。
日本ではビットフライヤーやビットバンク、シンガポールで設立したQUOINEXやレバレッジ100倍で取引できるBitMEX、BittrexやOKEx、Poloniex等、今では世界で有数の取引所がこの年に設立されており、ある意味時代の変わり目にも見える年となっています。

また、この年は東京で国内初のビットコインATMが設置されました。

2015年 Bitstamp社ハッキング事件発生

マウントゴックス社が破綻した翌年、Bitstamp社でも510万ドル相当のハッキングの被害にあっており、ビットコインの価格は急落する動きとなりました。

2017年 仮想通貨のバブル年

この年でいよいよ日本人のほとんどが仮想通貨の存在を知ることになろう相場が訪れます。

この年の前半は、中国当局による取引所の立ち入り検査や規制の公表があり、15万円から8万円まで大きな急落を見せる等、参加者が増えながらも仮想通貨のボラティリティの洗礼を浴びる動きが続いていました。そして中国の規制により、日本がビットコインの主要なプレーヤーと変わっていきます。

4月には改正資金決済法が施行され、仮想通貨はこの法律の下、管理されていくことになりました。つまり日本では金融商品という枠組みではなく、お金という枠組みで管理されるということを意味します。

10月には、金融庁が仮想通貨交換業者11社を公表しました。ここから海外でのETF承認の話題や日本での法整備などのポジティブな話題が続々出たことで、一気に価格が年末にかけて急騰することになりバブルな相場となっています。

12月にはCBOEにビットコイン先物が上場し、機関投資家等も参入するのではという話題も出始めます。
この年に価格が数万円から220万超にも跳ね上がり、様々な個人投資家が参入し「億り人」と呼ばれ、大金を手にした人が出たことで有名になりました。

2018年1月 コインチェック社ハッキング発生、相場は低迷期へ

仮想通貨はバブルな状態が継続していましたが、コインチェック社がXEMのハッキングを受け日本円で580億円という巨額の資産を失いました。
これが直接的な理由ではないものの、上昇ペースが速かったところで事件が起きたため、売りを呼ぶきっかけとなった可能性もあり、その後仮想通貨は下落基調となりました。

8月にはNY証券取引所の親会社ICEが仮想通貨取引所「BAkkt」の開設を発表する等、海外では法整備が進む動きもでてきました。

10月には国内で仮想通貨の自主規制団体「JVCEA」が発足し、ガイドラインも公表。日本の仮想通貨業者は厳しいガイドラインに対して対応に苦慮し、撤退する業者も出始めました。

2018年はICOやSTOについての法整備の議論が進んでおり、今までトークン発行には否定的だった日本でも「どのようにすれば容認できるようになるのか」と前向きな話が進み始めています。

まとめ

以上、仮想通貨の大きなイベントを時系列で記載していきました。
色々ニュースはありますが、今回は値動きに影響を及ぼすものをピックアップしてまとめてみました。
過去の動きは今後を予測する上で知っておくべきことでもあるので、是非参考にして、今後の動きに役立てて頂けると幸甚です。

【記事筆者】

中島翔
中島翔
学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行に入行し、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト