最近は多くの人が投資に興味を持つようになり、今では若い人も将来のことを考えて投資を始める方が増えてきました。しかし投資の意味を正しく説明できる人はどれほどいるでしょうか。

投資と聞くと株式や最近では仮想通貨などがよく挙げられますが、果たして本当にそれらは投資ということができるのでしょうか。そこで今回は、投資はなぜするのか、投資の意味とはなにかについて解説していきたいと思います。

投資とは

投資に似た言葉に投機、消費があります。この3つの言葉は、実はそれぞれ意味が違います。今まで自分が投資という意味で使っていた言葉が、実は投機だったり、単なる消費だったりするということもよくあります。そのため投資とはどのような意味なのかを正しく理解する必要があります。

そもそも投資って何?

投資は以下のように定義されています。

1 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。

2 経済学で、一定期間における実物資本の増加分。

出典:goo辞書(https://dictionary.goo.ne.jp/jn/155798/meaning/m0u/

少し言い方が難しいかもしれませんが、わかりやすく言い換えると、中長期的に資金を増やすことを目的に行う資金投下を投資と言います。

投資の意味

この投資の意味を正しく把握していることは、投資をする上で非常に重要な価値観になります。なぜなら投資は増えるか減るかわからないマネーゲームやギャンブルではないからです。

投機と投資の違い

日本語には投資(investment)に似た言葉で、投機(speculation)という言葉があります。投機は短期的な勝ち負けの土俵にいますが、投資は中長期的に育てるという土俵にいます。

株式市場でいえば、頻繁に売買する人が「投機家(トレーダー)」で長期保有している株主が「投資家」です。また、最近話題の仮想通貨でいえば、短期間で不確実な一攫千金を狙うのは投機になり、仮想通貨の将来の可能性と社会的意義を信じて現物取引で長期間保有し続けるつもりであるのなら投資になるのでしょう。

消費と投資の違い

消費と投資の違いは、投下資金の将来的な価値の違いと言い換えることができます。人間は生きていく上で必ず消費を行います。しかし消費をするということは、消費した金額がそのまま投下金額の価値ということになります。

つまり100万円のものを購入する場合、その投下資金の価値は100万円ということです。一方で投資は、100万円の投下資金が100万円が200万円、300万円という価値に変わる可能性があります。投資は将来的には投下金額以上の価値になる可能性あり、これが両者の明確な違いです。

投資の種類

それでは投資にはどのような種類があるのでしょうか。実は投資には大きく分けると以下の2つの視点から考えることができます。

・経済学からみた投資

・金融からみた投資

また直接的な金額の投資だけでなく、モノへの投資、時間の投資によっても中・長期的に収益を上げることが可能です。まずは一つ一つ詳しく解説していきます。

経済学からみた投資

経済学における投資は、資本ストックの増加を指しています。簡単にいうと、投資とはモノを増やすことを指しており、資産形成のことを指しているということです。経済学における投資は以下の3種類に分けられています。

・設備投資

・住宅投資

・在庫投資

設備投資は建物や機械設備、住宅投資は住宅、在庫投資は在庫という資本が増えることで投資として成立しています。

例えばAから500万円をBが借りたとします。このときはAとBの資産は500万円です。そしてBはそのお金で500万円の住宅をCに発注します(住宅投資)。Cは500万円の住宅を建てて、Bから500万円を受け取ります。購入した場合、AとBとCの資産を合計すると当初より500万円分の資本ストック(住宅)が増加しているので、経済学における投資に該当するということです。

金融からみた投資

金融における投資とは、金融資本を経済・経営活動を通じてリスクのある投資対象に投下することを指しています。簡単にいうと、リスクを取りながらより収益性の高い事業にお金を移していき、お金に働いてもらうことで資本を増加させていくということです。

例えば、株式を購入することで会社にお金が入り、会社は事業を拡大することができます。

モノへの投資

モノへの投資も投資の一つとして捉えることができます。分かりやすい例がパソコンです。パソコンは使えない人にとっては不必要な浪費になりますし、ただ動画をみるだけではそれ以上の価値を生まない消費になります。しかしパソコンを購入したことで専門的な知識を身につけ、莫大な利益につながれば、それは投資だということができます。

他にはサッカーボールでも、モノへの投資と定義することができます。遊ぶためだけに購入しただけであれば消費になってしまいますが、小さな子供がプロのサッカー選手になれば、サッカーボール以上の価値が返ってきます。現在の投下資金よりも、中期的・長期的に価値が上がっているのであれば、それは投資と定義することができます。

時間の投資

投資には時間の投資もあります。これは自己投資だと考えるとわかりやすくなります。つまり現在の自分の時間を、何に投資するのかということです。「時は金なり」という言葉がありますが、時間は有限なので何に時間を使うかが重要であり、時間の使い方次第でその後の人生が大きく変わってきます。

投資の社会的な意味とは?

仮想通貨や株式、投資信託、外貨、不動産など様々な投資対象がありますが、投資の本来の意味とはなんでしょうか。おそらくほとんどの人は、投資は自分の為に行うものだと思っていますが、実は投資の社会的な意味は非常に大きなものなのです。

投資は社会貢献につながる

投資は個人の資金を増やすことが目的ですが、個人が投資をすることで社会貢献にもつながっています。例えば株式投資では、企業は投資された資金で、事業を拡大していきます。
また不動産を購入して、賃貸物件として提供している場合も、住宅の提供という形で社会に貢献しています。企業支援やインフラ整備の為の資金として使用されることで、自分でも意図しない間に社会貢献をしているのです。

投資によって経済活動を活発に

一人の投資によって企業が成長していき、それが重なれば経済全体の活性化につながります。また、最初に言いましたが、投資とは中長期的に資金を増やすことを目的に行う資金投下です。今年の100万円の投資は、10年後に1000万円の資産を築いている可能性もあります。

最後に

いかがでしょうか。投資は中長期的に自分の資金を増やす為には、非常に効果的な手段です。
そして個人の利益に注目されがちな投資ですが、実は社会貢献にもつながっており、社会的な観点からしても非常に重要な意味を持っています。将来のご自身のためにも、早い段階で取り掛かりましょう。

監修:杉浦 恵祐(CFP)