こんにちは。元3メガ系証券会社でFXのスポットディーラーをしていたスイーツ大好きの中島 翔です。

仮想通貨は2017年末バブルの様相を呈し、ビットコインは対円で220万円付近まで上昇し、1年で数十倍の高騰を見せました。その後、1年で価格が5分の1の40万円台まで下落する等、価格の変動幅が大き過ぎることにより、投資家から敬遠される雰囲気となりました。

しかし、現在の仮想通貨のボラティリティーは、その他の株やFX等の投資商品の値動き幅と比較して特段小さくなったわけではなく、これが正常なマーケットであると考えた方がいいかもしれません。

ここでは現在の環境下における資産運用としての仮想通貨の利用方法についてご説明していきたいと思います。

資産運用の為の仮想通貨投資とは

仮想通貨の特性について

仮想通貨は元々0円に近い価値から一気に10年程度で価値が上昇してきたものであり、仮想通貨には各国が発行している通貨を保有することで得られる金利もないため、理論的に公正価値の算定というのは難しいと考えられています。

だからこそ、220万円だったものが現在40万円だから大きく下落して低く感じるかもしれませんが、価値としては常にフェアバリューであり、安過ぎるとか下落し過ぎているという感覚は持たない方がいいということを意識してください。

40万円が4万円になったとしても特に不思議なことでもなく、下落し過ぎに見えますが、理論価値を考えると、下がり過ぎとも言えないということになります。
また仮想通貨の特性でもう一つ理解しないといけないのは、「大きな金額の取引がどこかで行われると一気に動き始める」という値動きの特徴があります。

これは「流動性」というものが原因で発生するものです。「流動性」とは、その通貨の売買がどれだけされているかの量を示すものであり、この「流動性」が低くなるいうことは、売り手も買い手もいなくなっていることになります。つまり、注文がでている価格のところまで、すぐに価格が調整されるため、その結果大きな値動きに繋がるということになります。

ドルコスト平均法とは

投資方法を解説する前に、その方法を理解する基礎知識として「ドルコスト平均法」と呼ばれる、資産運用の教科書でよく見る投資方法をご紹介します。

「ドルコスト平均法」とは、定期的に同じ金額で淡々と買っていくという投資方法です。
一般的に利用されているのは積立投信です。これは事前に設定した金額、日付で、決めた投信を自動的に購入していくという方法です。こうすることによって、価格が上昇した時には購入できる量が減少し、価格が下落した時には購入できる量が増加するため、平均取得単価を下げる効果が期待できるとされています。

ドルコスト平均法の考え方を利用した方法

「ドルコスト平均法」は仮想通貨のマーケットではかなり危険であると個人的に感じています。

なぜなら、伝統的な投資商品である、為替や株(投資信託含む)は景気のサイクルが昔からある程度範囲が決まっており、良くも悪くも同じレンジで動く可能性が高いというアノマリーのようなものが期待出来るため、「ドルコスト平均法」は結果的に実を結びやすいと感じます。

しかしながら、仮想通貨はまだ歴史が10年足らずであり、現在の水準が今後数十年を考えた時に、ビットコインが対円で1,000円や100円程度まで下落しても特におかしくない動きとも言えます。
そのため仮想通貨に投資する上で考えるべきは「値動きがそのほかの投資商品よりも上下ともに大きい」ということを利用しなければなりません。

値動きの幅で言えば、2017年と比較すると低くなってきましたが、それでも値動きが大きいのが特徴です。ではそれを利用する投資法とは一体どうすればいいかをここから解説します。

まず「ドルコスト平均法」の特徴はなんだったかを思い出してください。購入金額を一定にすることで、購入数量が調整され、平均取得単価が下がるということでした。
しかし「ドルコスト平均法」は一定の期間を決めて淡々と買って行くため、上昇した時でも買ってしまうことから、少なからず平均取得単価が上昇することもあります。

そのため下記の条件を決めて投資することをおすすめします。

①一定の下落幅が達成されたら買う
②購入金額は最初の金額から10%程度大きくする

この2つが条件となります。
個人的には①の下落幅は5%程度が目安と考えています。それは20%程度下落すると10%程度下落したラインまで戻すことが多く、また50%程度下落すると30%程度下落したラインまで戻しています。

その戻したところで売却して利益が出るような方針で戦略的に利益をあげていきたいからです。
そのため②で下落したタイミングで購入金額を10%ずつ増やすことで、戻した時に3-5%程度利益が出ていることとなり、機械的な運用が行えるため、精神的な負担なく資産運用を行うことが出来ると思います。

運用方法その2

上記の方法に加えて、より安全に安定的に資産運用として利用してもらえる方法があります。

上記のルールはそのまま適用しますが、下記を追加してもらえると、より評価損益の上下の動き方が落ち着いた動きになると思います。

①投資する通貨は3通貨以上(可能であれば5通貨程度)
②メジャーな通貨2通貨、マイナーな通貨3通貨がベスト

上記のルールを設定した背景をご説明します。
まず仮想通貨の世界では、ビットコイン(BTC)と呼ばれるものが、外国為替の世界の基軸通貨と呼ばれる米ドル(USD)のようなもので動いています。(現在ステーブルコインというものも誕生しており、基軸通貨も様々で、まだ仮想通貨の世界では基軸通貨というものが定まっていない状況です。)

そのため海外の取引所では、ビットコインが担保として、アルトコインと呼ばれるリップルやイーサリアム、ライトコイン等他の通貨を購入したり売却したりする決済通貨として利用されています。

つまりここでお伝えしたいのは、海外ではビットコイン以外を購入する注文が入った時や、アルトコインの相場が上昇しているときは、ビットコインは決済通貨のため売られている(ビットコイン売り、アルトコイン買いの注文が出ている)ため、アルトコインが上昇しているときはビットコインが上昇しないことが起きるということです。

また投資の世界で「分散投資」という言葉を聞かれたことがあるかと思います。

仮想通貨の世界でも、種類が何千とある現状では、仮想通貨一括りにして値動きを考えるべきではなく、ある程度分散して投資しておくことで、他の通貨が下落していても、別の通貨が上昇していて、ポートフォリオ効果が生まれることになります。

そのため上記の2つのルールを意識してもらうことで、安定的に利益が生まれやすく、精神的な負担もない資産運用が仮想通貨でも行うことができるというわけです。

仮想通貨の利用方法は十人十色

ここでは値動きが以前より小さくなり、正常なボラティリティーに戻り始めている仮想通貨を資産運用として利用するにはという観点で運用手法をご紹介しました。

仮想通貨は現在バブルがはじけた環境下、個人投資家が大損を出して敬遠されているのが現状となっています。

しかしこの動きは仮想通貨の市場ではあるべき姿であり、今後の発展を考えると通るべき道の一つでもあります。
海外では仮想通貨の取引量は、2017年あたりの取引量まで実は戻ってきており、法人やファンド等大きな取引を行う投資家の仮想通貨の残高は戻ってきています。つまり決して仮想通貨の取引が衰退しているわけではありません。

相場もいつかは戻ると言われていますが、上記で説明したようにいつになるかわからないことから、ある程度リスク管理は徹底しないといけません。そのため上記のような手法で資産運用に取り組み、仮想通貨について触れながら勉強してみるといいかもしれません。

【記事筆者】

中島翔
中島翔
学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行に入行し、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト