資産を保有することで得られる利益を“インカムゲイン”と言います。インカムゲインにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、また、インカムゲインがメインの資産運用やインカムゲイン以外の利益が期待できる資産運用についてまとめました。

インカムゲインとキャピタルゲイン

資産運用によって得られる利益は、“インカムゲイン”と“キャピタルゲイン”の2つに分けることができます。それぞれの利益のメリットとデメリットについて探っていきましょう。

インカムゲインとは

インカムゲインとは、資産を保有することで得られる利益のことです。もっとも身近な例として、普通預金や定期預金の“利息”を挙げることができます。また、その他にも債券の利息や株式の配当金、不動産投資での家賃収入もインカムゲインにあたります。積極的に資産を動かさなくても、「金融機関に預ける」という行為を続けることで、定期的に利息という利益を得られます。

メリット

インカムゲインのもっとも大きなメリットは、積極的な投資活動をしなくても良い点にあります。普通預金や定期預金を利用し続けること、株式や債券を保有し続けることだけで、利息や配当金などの利益を手に入れることができるのです。また、利益が定期的に入るというメリットもあります。国債や定期預金の中には制限年数があるものもありますが、通常は、預けておくだけであるいは保有するだけで、安定した利益が継続的に入る仕組みになっています。

デメリット

インカムゲインのもっとも大きなデメリットは、利益が大きくはないという点です。例えば普通預金の金利は、都市銀行の場合、年0.001%であることが多いのですが、この金利では1,000万円を1年間預けても利息は100円にしかなりません。しかも、利息に対しては20.315%の税金がかかりますので、実際に受け取れる金額は80円弱です。預けるだけで安定した利益を得られることは事実ですが、あまりにも少ないのが現実なのです。

また、インカムゲインは常にプラスとは限らないというデメリットもあります。例えば家賃収入はインカムゲインの1つですが、家賃として収入を得ていても、固定資産税や管理費、不動産を購入するための借金の返済等をトータルで見ると、マイナスになってしまうことがあります。

キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは、金融商品や不動産などの資産を売買することで得られる利益のことを指します。インカムゲインのように定期的に継続して利益が入って来るのではなく、売却したときに1度のみ利益が入って来ることが特徴です。

メリット

キャピタルゲインのもっとも大きなメリットは、大きな利益が期待できるという点です。例えば不動産投資におけるインカムゲインとして“家賃収入”が挙げられます。毎月入って来るという点はメリットですが、土地代や建物代と比べると家賃収入はわずかですので、融資を受けて不動産を入手している場合は、長期に渡って賃貸物件を運営しないと利益を上げることができません。

一方、不動産投資におけるキャピタルゲインとしては“不動産売却益”が挙げられます。再開発などで土地代が高騰しているときは、購入価格の数倍もの価値がつくこともありますので、手放すだけで瞬時に多大な利益を得られる可能性も充分にあります。

デメリット

大きな利益を期待できるということは、損失が大きくなる可能性もあるということです。不動産価格は高騰することもありますが、急落することもありますので、短期間で莫大な損失を被ることがあるのです。

また、利益が得られるのが1回だけという点も、キャピタルゲインのデメリットと言えます。インカムゲインには反復性のあるものが多いのですが、キャピタルゲインには反復性はなく、最大の利益を上げるためにも最良の売り時を見極めなくてはいけません。

インカムゲインがメインの資産運用

インカムゲインがメインの資産運用は、数多くの種類があります。その中でも特に人気の資産運用を4つ紹介します。

やっぱり債券投資

インカムゲインがメインの資産運用の中でも特に安定性が高い投資商品として、“債券”を挙げることができます。証券会社や銀行などで、気軽に購入できる点も魅力です。

国債

個人向けの日本国債は預け入れ期間によって固定金利3年・5年、変動金利型10年の商品がありますが、いずれも最低金利が保証されていますので、元本割れのリスクがなく、安心して購入できる投資商品です。また、最低10,000円から購入することができ、「資産運用をしたいけれども、資金に余裕がない」という方も気軽に利用できます。

社債

企業が発行する債券“社債”も、最低金利が保証されているものもあり、株式よりも元本割れのリスクは低くなります。定期預金の何十倍もの高金利の社債もあり、販売開始と同時に完売してしまうことも珍しくありません。しかし、企業の経営破綻時のリスクがあることを忘れてはいけません。

外国債券

債券を販売しているのは日本だけではありません。海外の政府や企業も債権を販売していますので、気になる国の債券を購入してみるのはいかがでしょうか。海外の債券は債券自体の金利による利益も期待できますが、為替による差益も期待できます。

例えば年2%の利益が期待できる外国債券を、10,000アメリカドル分購入したとします。購入時に1アメリカドル=100円なら、単純に計算すれば、1年で2円×10,000=20,000円の利益を得られるはずです。しかし、1年後の為替相場が1アメリカドル=120円になっているなら、税金と手数料を度外視すると、120×1.02×10,000-100×10,000=224,000円もの利益を得られることになります。

高配当株の長期保有

株式によっては配当率が高い銘柄もあります。年に数%もの配当がある株式を長期に保有するなら、ただ保有しているだけで高額なインカムゲインを得られます。ただし、企業の業績は常に上り調子とは限りません。業績が悪化すると配当が打ち切られてインカムゲインが得られなくなるだけでなく、株価自体も下がって売却益(=キャピタルゲイン)も得られない可能性があります。

分配金が高めなREIT

多くの出資者をから集めた資金で不動産を運用するREIT。不動産投資信託と呼ぶこともあります。REITは複数の不動産に投資するため、リスクも分散されるというメリットがあります。REITの中には分配金が高めのものもあります。不動産を保有していない方や融資を受けて不動産投資することに抵抗がある方は、REITを活用して少額から不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。

不動産投資の家賃収入

賃貸マンションやアパートを経営して、家賃収入を得るのも、インカムゲインの一例です。現在は低金利で融資を受けられますので、不動産を持っている方だけでなく不動産を持っていない方も、気軽に不動産投資を始めることができるでしょう。不動産投資において重要な点はいくつもありますが、その中でも“不動産の立地”は慎重に選ぶべきと言えます。立地が良いと空き部屋率が低くなり、安定したインカムゲインを得やすくなります。

インカム・キャピタル両方を得られる資産運用

インカムゲインとキャピタルゲインの両方が得られる資産運用としては、“不動産投資”と“株式投資”の2つがよく知られています。それぞれの利益の仕組みは以下の通りです。

不動産投資

賃貸マンションやアパート、駐車場などを経営することで、長期的に安定した家賃(賃料)収入(=インカムゲイン)を得ることができます。空き部屋や空き駐車スペースをなくすための営業活動や管理業務は必要ですが、不動産会社や管理会社を活用すれば、サラリーマンのように本業が別にある方でも充分に実施することは可能です。

また、再開発などで不動産価値が上昇したときに売却すれば、売却益(=キャピタルゲイン)を得ることも可能です。

株式投資

株式を保有することで、年に1~2回、配当金(=インカムゲイン)を得ることができます。業績によっては配当金が出ない企業もありますが、ほとんどの株式では配当金が設定されていますので、年に1~2回、定期的に利益を得ることが可能です。また、株式によっては、配当金に加えて“株主優待”のサービスを提供していることがあります。配当金よりも高額な株主優待を提供している企業も珍しくありません。

株価が充分に上がったときに株式を売却すれば、売却益(=キャピタルゲイン)を得ることが可能です。新商品の発売やヒット商品の誕生など、様々なタイミングで株価が急上昇することがありますので、株価の変動をこまめにチェックして、最適な売却タイミングを逃さないようにしましょう。

最終的にどちらがいい?

インカムゲインをメインとした投資とキャピタルゲインをメインとした投資。最終的に利益を得られるのはどちらの投資方法なのでしょうか。

自分に合った投資のスタンスで選択

定期的かつ長期的に継続して少額の利益を得られるインカムゲイン。1回のみの利益ではあるものの、タイミングを上手に見極めれば大きな利益を得られる可能性があるキャピタルゲイン。いずれも一長一短がありますので、どちらの利益が良いかは断定することができません。

短期的に利益を得たいのか、それとも活用していない資産があって、長期的なスパンで利益を期待しているのか、ご自身の投資に対するスタンスに合わせて最適な投資方法を実践して下さい。

資産運用の基本は「長期分散投資」

資産運用の基本は、長期かつ分散投資です。短期で利益を得ようとするとどうしてもリスクが高くなりますので、売り時・買い時を見誤ると損失が多大になる可能性もあります。また、1つの銘柄に集中して投資することも、リスクを高める行為です。複数の銘柄、複数の投資商品に資産を分散させて、リスクを軽減するようにしてください。

まとめ

インカムゲインとキャピタルゲインの特徴をしっかりと把握し、ご自身に最適な投資方法を選んでいきましょう。また、銘柄と投資商品を分散させて、リスクを軽減させることも重要なことです。大切な資産を積極的かつ慎重に運用していきましょう。