こんにちは。元3メガ系証券会社でFXのスポットディーラーをしていたスイーツ大好きの中島 翔です。
みなさん、トレード手法で何がいいのか結構迷われている方も多いのではないでしょうか?ここでは実際に筆者が利用しているトレード手法をどのような理由で作成し、利用しているのかご説明していきたいと思います。

重要視しているのは「トレンドには忠実に」です。トレンドを見誤ると勝率が大きく低下し、結果的に負ける可能性が高くなります。
この点は重々注意すべきこととして認識した方がいいでしょう。

指数平滑移動平均線とMACDを利用したトレード手法

指数移動平滑移動平均線とは?

「指数移動平滑移動平均線」とはまず何なのかをご説明していきます。
指数平滑移動平均線(EMA)とは累積加重平均となっており、値動きされていた価格にそれぞれウエートがつけられているものです。つまり直近で動いているプライスアクションが今後の値動きを予測するためには重要なので、そちらにウエートを置いて計算し出来上がっている移動平均線です。

この指数平滑移動平均線の特徴は、単純移動平均線よりも直近の価格にウエートが大きくなっていることで、早めにサインが出やすいと言われています。この指数移動平滑移動平均線の日数の設定は、後ほどトレードの仕方でご説明します。

MACDとは?

MACDは、「Moving Average Convergence Divergence(移動平均収束拡散法)」を略した言い方となります。これは期間の違う移動平均線を利用した二本ラインからトレンドを把握するものになります。ただし、この移動平均は単純に一定期間の価格を平均した単純移動平均線ではないというのがMACDの特徴となります。

ちなみにMACDで利用する移動平均線は上記で説明した「指数平滑移動平均線」となっています。これをMACDで利用するメリットは、上記で記載した通り、早めにサインが出やすいことです。

トレードの方法

下記は実際に筆者が利用しているチャート画面になります。端末はbloombergというものを利用して行なっています。

実際はこの画面を利用できない個人の方も多いと思いますが、利用する指数平滑移動平均線とMACDは定番の指標でもあるため、大体のツールには組み込まれているでしょう。

まず移動平均線を設定します。必ず必要なのは2本となります。(下記は3本ついていますが、ここではトレンドの方向性を参考程度につけている程度のため割愛します。)

指数平滑移動平均線の赤のラインは「62日」、黄色のラインは「200日」となっています。
この日数を間違えると機能しなくなるので、別の日数を設定しないように気をつけてください。
MACDは最初から設定されている状態で合わせて表示をしてください。

トレード方法は

①2本の指数平滑移動平均線のデットクロス、ゴールデンクロスを確認する

②MACDのデットクロス、ゴールデンクロスを確認する

③MACDの位置が真ん中のラインよりも上にいるか、下にいるかチェックし、その位置が移動平均線の動きと合致しているか確認する

④もし指数平滑移動平均線が下記のチャートのようにゴールデンクロスし、ローソク足が62日指数平滑移動平均線にタッチしてくれば、ロングでエントリー。(デットクロスの場合は逆にショートでエントリー)

※下記が該当番号となり、その下はMACDのみ切り取ったものになります。

エントリーの条件は上記のようになります。

利益確定の位置と損切りを行なう位置というのも決めておかないといけません。
まず利益確定の位置は「ダウ理論」を利用して行なうようにしています。
特に利益確定の位置を考える上で重要なものがダウ理論6つの基本法則の中にあります。
それは「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」というものです。
これはかなり大事なの事でありトレードする上でとても重要な法則なので併せて覚えておくと便利でしょう。

では下記の場合、どのように利益確定の位置を決めるべきかを解説します。
下記のチャートはドル円の日足チャートになります。

① まず赤のラインが黄色のラインを超え、MACDもゴールデンクロス、かつ真ん中の位置よりも上に位置している時点でエントリーチャンスを考えます。そして62日タッチしたところでエントリーします。

エントリーした後は必ず、損切りの注文を入れるようにしましょう。損切りの位置は200日指数平滑移動平均線を明確に下回ったと言える水準でおきます。(200日指数平滑移動平均線を維持している間はトレンドが続いていると判断します。)

③ 次に注目すべきポイントは62日と200日の移動平均線の間の差に注目します。ここが縮小するとトレンドが弱まっていることになります。

④ そして高値を超えてトレンドが続いていたにも関わらず、途中で越えることが難しくなり、急落し200日を割れている部分があるのがご覧頂けるかと思いますが、この位置が利益確定の目処となります。

この間はポジションを保有し続けると言うのが鉄則なのですが、一つ注意しないといけないのは「損切り注文は引き上げていくことが必要」と言うことです。これを忘れると、上手くトレンドに乗り利益が上がっていたポジションも一気に吹き飛ぶこともあるため、これは忘れないようにしてください。

この手法の大事な要素と考え方

この手法の大事な要素は「トレンドフォロー型に徹し、大きく勝つトレードではなく、負けないトレードをすること」、そして「利大損小を機械的に行えるようにルール作りをすること」です。

やはり私も含めて人間はとても弱い生き物であり、損を出したくないという感情が強い生き物でもあります。また大きな利益が上がってくると恐怖心や、目の前の利益の大きさから、その利益を確定させたいという衝動に駆られてしまいます。

しかし、トレーダーで結果的に勝者となるのは「利益を伸ばせる時は伸ばし、負けるときはあっさり負けを認め撤退すること」です。これが安定して利益を上げる条件とも言えるでしょう。

負けトレーダーが陥りやすいパターン

まず理解するべきは、この相場という世界でトレードを行うと必ず最初に陥る感情や感覚はどのようなものかということです。
下記で簡単に解説していきます。

① 上昇途中でエントリーすべき場面で躊躇する

まず相場を見ていて、上昇している途中でエントリーするのは、視覚的に上昇を見てしまっている以上、少しでも安く買いたいと言う意志が働き、感覚的にエントリーしにくいといった感情が生まれます。

しかし結果的に、トレンドフォローの形で上昇したタイミングをチェックしてエントリーする方が利益が上がりやすいのは誰でも勉強すれば理解できることですが、実際に行動に起こせないというのが負けトレーダーが陥りやすい感情であり、最初に陥る感情の動き方となります。

② 上昇したタイミングで逆張りするも、そのまま上がり続けて損失拡大

そしてそのようなトレーダーが投資行動として起こしやすい動きは大きく上昇したタイミングで、少し戻ってくるだろうという予測からショートで入るも、上昇し続けた結果負けてしまうこと。そして大きく下落したタイミングで少し反発すると思い、ロングでエントリーするも、底なし沼で塩漬けになる等です。

負けパターンを回避するためのトレンドフォロー

これは逆張りといってエントリーしやすいものの、負けやすいパターンであるため、筆者はこの行動をとりたくないと思った理由から、上記の指数平滑移動平均線とMACDというトレンドフォローで使われる指標を組み合わせたトレード手法を考えました。

特にこのトレード手法で一番いいポイントは、損切りラインが明確なため、注文を先に出しておくことで感情移入を防ぎ、機械的にトレードができるという事です。利益確定はチャートを見ながら設定することもありますが、ある意味損切り注文が利益確定の位置にもなるため、感情のコントロールをする必要がない点が、トレードにいい結果をもたらします。

この手法を活用して、ご自身に合った負けないトレードを見つけていただければと思います。

【記事筆者】

中島翔
中島翔
学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行に入行し、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト