こんにちは。元3メガ系証券会社でFXのスポットディーラーをしていたスイーツ大好きの中島 翔です。前回は、「FXって何?」という初歩的なところから、取引を始める際にすべき事、FX会社の選定方法、取引を行うにあたっての注意点を解説いたしました。今回は、投資をする際の「メンタルコントロール」の方法についてご紹介いたします。

みなさんは投資をするにあたって、「メンタルコントロール」という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。ではその「メンタルコントロール」をどのような理解や認識でいるのかを聞いてみることで、投資家として成功するかしないかがわかるとも言われている程、重要なものになります。

ここでは、どのような方法で「メンタルコントロール」の力を鍛えることが出来るのかを解説していきます。

メンタルコントロールの重要性

冒頭でも記載しましたが、結論は「メンタルコントロール」が出来ない投資家はいずれ淘汰される運命になるということです。

色々考えた末、投資を始めると決心した時に、多くの方が最初に行うことは本を読んで知識をつけることだと思います。もちろん本を読んで、基礎知識と呼ばれるものは勉強しないといけません。

そして次にデモトレードを行なって、少し利益が上がったりするとその自信から実際にお金を入金してトレードを行なってみるのが通常の動きでしょう。

しかしデモトレードと違って、実際に入金したお金を使って行なったトレードで負けてくると「何故負けているんだろう」と悩み始めると思います。

ここが最初の勝負の分かれ目だと思ってください。

どうしても人間は自分のお金を投資すると負けたくないという気持ちが強くなります。そのため利益が出ていると、早めに利益を確定させたいがあまりに、なんとなく利益確定の注文をしてしまい、一旦心を安心させようという心理的バイアスが生まれます。

しかし、もしも負けていると、「評価損だからいずれ戻ってくるだろう」という気持ちが働き、そのまま評価損を放置した結果、予想以上に負けてしまうトレードを行なってしまいます。

人間は弱い生き物なので、このような精神的バイアスがかかって当然のことです。全くおかしいことではありません。しかし普通の人の感情のまま、投資の世界で勝てるほど甘い世界ではないとも思ってください。

このため、FXでも2割が勝者で8割が敗者という構図が出来てしまうんですね。

「普通の人」では負けてしまうということをこの章では理解してもらえたらOKです。

メンタルコントロールを鍛えるためには

メンタルコントロールを鍛えるための方法は色々ありますが、私自身が証券会社のトレーダー時代、最初に教わったことをご紹介します。

ご紹介した方法を行う過程の中で、自分というものの弱さや、何がトレードで大事なのかという本質を理解することができると思います。

今後色々勉強していくことで、自分の性格と照らし合わせてどのようなトレード手法が性格と一致しているのか、負担がないのか等考えていく大事なプロセスとなります。「メンタルコントロール」を簡単に考えず、ここはきちんと取り組むようにしましょう。

まず、ルールを定めず自分の感情や思ったままにトレードをして記録すること

これは自分がどのようなタイミングでポジションをとって、どのようなタイミングで利益確定or損失確定をして、一旦トレードを終わらせたかを記録していきます。

これを行うことで、何故最初にポジションを取ったのか、そして何故利益確定や損失確定をそのタイミングでしたのか、その時自分の感情はどんな感情が背景にあってその行動に移したのかをセルフチェックします。こうすることで自身を客観的に分析することができ、自分がどんな性格で、どんな時に精神的に追い込まれてしまうのかを把握することが出来ます。

「自身を客観的に分析して理解すること」がこのメンタルコントロールの目的であり、とても重要なことなので必ず行なってください。

次はルールを決めてトレードを行う

次は自身を理解したところで、ルールを決めて(エントリーのレートや損切りの位置、利益確定の目処等)、そのルールに沿ったトレードを繰り返してみましょう。もちろん最初に決めたルールをメモする必要もありますので必ず行なってください。そして再度ポジションを取ったタイミング、利益確定 or 損失確定を行なったタイミングやレートを記録していきます。

これを1ヶ月くらい繰り返し、後程、最初に決めたルール(エントリーの位置、損切りの目処、利益確定の位置等)通りにトレードは出来ているかチェックしてみてください。おそらく、かなりの方は決めたルール通りに出来ていないことでしょう。

ではその後に「何故決めた通りに出来なかったのか?」をしっかり考え抜いてみてください。

この振り返りを行うことで、ルール自体に問題があったのか、しっかり目処となるレートまで決めてはいたが、そこまでに色々なニュースや、価格の急騰、急落の動きを見てしまい我慢できなくなってポジションを外してしまった等、行動に移した要因が一つ一つトレードにはあるはずです。それをきちんとメモして残しておきましょう。

最後にルール通り行うための自分に対しての対策を考える

きちんと上記のプロセスを行うことで、ある程度自分という人間の性格や考え方、弱さを理解できたと思います。弱さを認めることもトレードで勝つために必要なことなので、傲らずしっかり認めてどう付き合っていくか考えるようにしましょう。

私はどうしても途中の値動きを見てしまうことで精神的な負担が強くなることに気付きました。

そのため必ずポジションをとる時には、一定の相場のシナリオを予想しておき、そのシナリオに対しての利益確定や損失が出た場合には、どこで一度撤退するのか等決め、ポジションを取った瞬間に、利益確定と損失確定の注文をOCO注文で出してしまいます。

そして途中価格が動いた場合でも絶対手はつけずに我慢することを徹底させることで、自身の課題を克服するような対応策を講じ、利益が安定的に上がるようになりました。

これは一例ですが、自分の課題が見つかったら、その課題に対してどう対策するのか自分で考えてみましょう。

対策を講じた後のトレード利益を再度残しておく

対策をきちんと設定した後は、再度その対策を講じたトレードの結果を履歴で残し、上手く機能しているのかチェックするようにしましょう。

またルールを守るというのは、人によっては精神的に大きな負担に感じる方もいるため、ルール通り行なえているか、再度前項の内容も踏まえてチェックすることで、ご自身のトレーディングが向上しているか振り返る癖をつけることが大事です。

ここまでのプロセスで、繰り返しできないところをできるように改善することが最初の一歩だと思ってください。

まとめ

ここまで読んで頂ければメンタルコントロールがどれだけ重要で、メンタルコントロールを鍛えることがどれだけ大変か理解して頂けたかと思います。

メンタルコントロールが出来ない限りは、どれだけニュースを分析出来ても、テクニカル分析が歩く辞書のように頭に入っていても、投資の世界で勝者にはなれません。

メンタルコントロールは最初に取り組むべき課題であり、かつ最重要事項であるため、最初はつまらないことだと思ったとしても、必ず自己分析を行い、ご自身の性格や陥りやすい精神的な感覚、悪いトレードパターンを把握するように努めましょう。

逆にここが出来るようになれば、物知りなアナリスト等よりも利益は出しやすくなり、その後知識をつける過程の中で、何が自分のトレーディングスタイルに応用できるかというベースの考え方にもなります。

今後数十年投資を続けていくようになる方も多いと思いますので、最初の数ヶ月は基礎固めと思ってしっかり取り組み、ご自身の弱さをトレードへの強みと変えるように出来れば、今後の強い味方となりますので頑張ってみてください。

【記事筆者】

中島翔
中島翔
学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行に入行し、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト