投資を始める際やローンを利用する際に「金利」が関わってきます。また、似たような言葉として、「利率」「利息」「利子」などが使われていることもあるでしょう。「金利」とは何なのか、似たような言葉とどのような違いがあるのか、また、金利の種類やタイプについて解説します。

金利とは

金利とは、お金の貸し借りの際に発生する、受け取ったり支払ったりするお金の割合のことです。例えば、1万円が1年間で11,000円になるときは、1万円に対して1,000円が生まれましたので、「1年当たりの金利が10%である」と表現します。尚、金利は1年で計算することが多いため、「年間に生まれる金利」という意味で「年利」と記すこともあります。

お金を借りる時にかかる

金利はお金を借りるときに発生します。例えば、10万円を借りるときの1年間の金利が18%なら、1年後には118,000円を貸主に返済しなくてはなりません。ただし、金利は手数料とは別ですので、返済するときに別途手数料を請求されることもあります。

お金を貸す時に貰える

反対にお金を貸すときにも金利は発生します。例えば、1年間の金利を10%として100万円を友人に貸すと仮定します。1年後には金利によって発生したお金も含めて、110万円を受け取ることができます。また、1日当たりの金利は10/365%(うるう年のときは10/366%)になりますので、100日貸したときは1,027,397円(うるう年のときは1,027,322円)を受け取ることになります。

 金利・利率・利息・利子の違い

金利と同様に頻繁に使われる言葉として、「利率」と「利息」、「利子」の3つがあります。それぞれ金利と関係のある言葉ですので、関連付けて覚えておきましょう。

利率

利率とは、金利の割合(%)のことです。金利も%で表示しますので、実際には、金利と利率は同じ意味で利用されます。

利息

利息とは、金利によって発生するお金のことです。例えば、100万円を1年間の金利が3%の金融商品に預けた場合は、1年間で3万円の利息が発生することになります。利息と言う言葉は主に借りる側が使いますので、お金を借りた人が「10万円を借りたら、1ヶ月間の利息が1,500円だった」などと表現します。

利子

利子は、利息と同じ意味で使われます。しかし、利息とは異なり貸主が使うことが多いですので、貸した人が「利子をつけて返済して欲しい」や「利子は1年で3,000円です」などと表現します。

金利の計算

元金に金利をかけると利息を求めることができます。例えば、10万円を1年間の金利が5%の金融商品に預けた場合は、1年間の利息は10万円×5%=5,000円になります。日割りで利息を計算するときは元金×金利/365(うるう年のときは元金×金利/366)で計算し、月ごとの利息を計算するときは元金×その月の日数×金利/365(うるう年のときは元金×その月の日数×金利/366)、あるいは大ざっぱに元金×金利/12で求めることもあります。

金利の種類

金利には、いくつか種類があります。それぞれの金利を利用する場面とセットで覚えておきましょう。

固定金利と変動金利

住宅ローンなどの長期ローンで使われる言葉に、「固定金利」「変動金利」があります。固定金利とはローン期間中同じ金利が利用されることを意味し、例えば、「固定金利1.5%」のときは、選択した固定期間中ずっと年利1.5%が適用されます。

一方、変動金利とは、ローン期間中に金利が変動するタイプの金利で、各金融機関で定めている基準金利に準じて設定されます。基準金利は基本的に短期プライムレートに連動します。変動金利制の住宅ローンには、最初の5~10年は固定金利で、固定金利期間終了後に変動金利になるタイプのものもあります。例えば最初の10年は0.5%の固定金利で、固定金利期間終了後は変動金利が適用されるといったプランもあります。

名目金利とインフレ率で分かる実質金利

また、「名目金利」「実質金利」という概念もあります。名目金利はその名の通り、名目上の金利です。例えば、「1年間に金利3.0%の社債」であれば、名目金利は3.0%です。名目金利は単に金利だけに注目しますので、物価の上昇率(=インフレ率)を考慮しないため、実質どの程度の価値が増えたかを知ることができません。

現金の価値は変動する

現金で100万円を持っていても、1年後も100万円は100万円でしかありません。しかし、1年間に金利3.0%の社債として保有するならば、1年後には103万円の現金(手数料などは考慮しないと仮定します)を受け取ることができますので、3万円の利益を得ることになります。

ですが、インフレ率が5.0%ならどうでしょうか?現金100万円を持っていたら100万円の軽自動車を購入することができますが、1年後には軽自動車の価格は105万円になっていますので、100万円でも社債投資で増やした103万円でも購入できません。つまり、インフレ率5.0%における金利3.0%の金融商品の実質金利は-2.0%となりますので、実際に使える資金を増やしたいなら、インフレ率を上回る高金利の商品に投資をしなくてはならないのです。

長期金利と短期金利

取引期間が1年以上の金融商品の金利を「長期金利」と呼びます。固定金利で期間10年の新規で発行される長期国債の利回りが長期金利の指標になっており、長期金利が住宅ローンの固定金利に影響を与えています。国債の価格と長期金利は反対に動くという特徴があるため、国債の価格が上昇すると長期金利は低くなり、反対に国債の価格が下落すると長期金利は高くなります。

一方、取引期間が1年未満の金融商品の金利を「短期金利」と呼びます。短期金利は、日銀の金融政策によってコントロールされるもので、主な短期金利としては「短期金融市場金利」「定期預金金利(1年未満)」「普通預金金利」などがあります。

金利の決め方

同じ金融機関のローン商品を利用する場合でも、契約者によって適用される金利が異なります。さまざまな要素を複合して金利を決定しますが、主に次の2つの要素から適用金利を決定します。

借り手の信用力

借り手の信用力でも金利は変わります。例えば、安定した大手企業に長期にわたって勤務しており、今までクレジットカードやローンの返済を滞納したことがない人なら、お金を貸しても返済が滞るというリスクは非常に低いと見ることができます。そのため、そのような信用力の高い人に対しては、低金利で融資が提供されることが多いのです。

反対に、勤務形態が非正規のため、いつ給与が止まってしまうか分からない状態で、しかも今までに返済を滞納したことがある人なら、お金を貸した場合でも返済されない可能性が非常に高いと見ることができます。そのため、貸し倒れになるリスクをカバーするためにも高金利で融資が提供されることが多いのです。

返済までの期間

すぐにお金を返す場合にはスムーズに返済できても、1年、2年と期間が長引くと、途中で返済しなくなってしまう人もいるかもしれません。そのため、通常は、返済期間が長引けば長引くほど高金利が適用されます。

しかし、年収500万円の人が1年で100万円を返済することは難しくても、2年なら月々の負担が約半分(利息を考慮しなかった場合)になりますので、返済期間が長引くことで返済しやすくなると見ることもできます。そのため、通常とは反対に、返済期間が長引けば長引くほど低金利が適用されることもあります。

3つの住宅ローン金利タイプ

人生においてもっとも高額な買い物とも言われる「住宅」。多くの人が住宅ローンを利用して購入するのではないでしょうか。住宅ローンでは、変動金利型と固定金利特約型、超長期固定金利型の3つの金利タイプから選択することが一般的です。それぞれのタイプのメリットとデメリットを見ていきましょう。

変動金利型

現在、もっとも低金利で紹介されているタイプの金利は「変動金利型」です。しかし、良い点だけではありません。デメリットもしっかりと把握してから選択するようにしてください。

メリット

変動金利型は低金利で紹介されていることが多いですので、最初のうちは低い金利で融資を受けることができます。また、変動後の金利がかならずしも高くなるとは限りませんので、長期にわたって低金利が適用される可能性もあります。

デメリット

半年に1回(年に2回)、金利の見直しが行われます。見直しにより金利が高く設定されると、当然ですが利息も高くなりますので、支払総額が増えてしまいます。

固定金利特約型(固定金利期間選択型)

最初の一定期間だけ固定金利になっているタイプの変動金利制住宅ローンを「固定金利特約型」と呼びます。一定期間終了後も、変動金利ではなく固定金利を選択できるものもあります。

メリット

全期間固定金利型は金利の見直しができませんが、固定金利特約型は固定金利特定期間の終了後に金利を見直すことができるというメリットがあります。一定期間終了後にさらに金利が低くなっている場合は、再度固定金利をを選択してお得にローンを借り続けることができます。

デメリット

固定金利特約型は、一定期間終了後に固定金利か変動金利が選択することができるものが一般的ですが、固定金利を選択したとしても、契約時の金利が適用されるのではなく金利見直し時に提供される固定金利が適用されます。そのため、全期間固定金利型と比べると、高い金利が適用される可能性があるというデメリットがあります。

超長期固定金利型(全期間固定金利型)

完済するまですべての期間同じ金利が適用されるタイプのものを、「超長期固定金利型」と呼びます。

メリット

インフレになっても金融機関の適用金利が高くなっても関係なく常に同じ金利で支払うことができるというメリットがあります。金利が変動しませんので、返済計画も立てやすくなります。

デメリット

金融機関の適用金利が低くなった場合は、世間一般よりも高金利でローンを支払い続けなくてはならないというデメリットがあります。

最後に

ローンを組むときは、名目上の金利だけでなく、インフレ率や基準となる金利の変動も考慮した実質の金利で検討する必要があります。固定金利と変動金利のそれぞれのメリット・デメリットを把握し、納得できる住宅ローンを組むようにしましょう。