賃貸アパート経営を行う場合、新築アパートだけでなく中古アパート経営という選択肢もあります。そこで、中古アパート経営について新築と比較した場合のメリットやデメリット、そしてリスクなどについてご説明します。また、中古アパート経営に欠かせない資金について、必要資金の額や資金調達方法そして保証人などについてもお伝えします。

☆「中古アパートの経営に興味がありますか?」のアンケート結果

「中古アパートの経営に興味がありますか?」というアンケートを見てみると、55%が「いいえ」、45%が「はい」という結果になりました。中古アパート経営に興味がある人は半数以下とはいえ、世の中には中古アパートに関する需要がそれなりにあるといえるでしょう。「はい」と答えた人の理由としはさまざまなことが考えられます。相続税の改正によって以前の税制であれば相続税がかからない人が、改正により課税対象になりそうな場合は、不動産投資によって資産評価額を減少させて節税する手段として興味がある人もいるでしょう。また、賃貸アパート経営によって安定的に得られる定期収入に魅力を感じて興味を持った人もいるはずです。新築物件は手が届かなくても中古アパートであれば購入できそうだということで興味を持った人も含まれているでしょう。ただ、興味があるだけでは実際に中古アパート経営を始めることはできません。まず、中古アパート経営に必要な基礎知識について理解するところから始める必要があります。

☆新築アパートと比較した場合の中古アパートのメリット・デメリットは?

賃貸アパート経営を行う場合には、新築アパートと中古アパートという選択肢がありますが、中古アパート経営を選択した場合には、新築アパートと比較した場合のメリットとデメリットを理解しておくことが必要です。

メリットを最大化しデメリットを最小化することが中古アパート経営成功の近道となるからです。まずメリットです。中古アパートの主なメリットは3つです。

1つ目は、初期投資が少なくて済むため少額でも始められることです。

2つ目は、空室が多い中古物件の場合を除き、購入直後から一定の家賃収入が確保できる点も新築にはないメリットです。

3つ目は、すでに賃貸経営がスタートしているため、管理状況が良い物件を選ぶことができれば管理体制の構築にかける手間を大幅に省ける点です。

一方、デメリットもあります。主なデメリットは3つです。

1つ目は、物件の評価額が低めになるためローン審査が厳しくなる傾向があるため借入金額は少なくなることです。ただし、自己資金が潤沢にあればこのデメリットは解消できるでしょう。

2つ目は、初期投資は少額で済ますことができたとしても、賃貸経営開始後は修繕費やリフォーム費用が新築の場合より多くなることです。建物は築年数が経過するにつれて修繕費負担は大きくなりますので、物件の魅力を維持するためのリフォーム負担も増えるといわれています。家賃の設定を工夫するなどして対処する必要があるでしょう。

3つ目は、中古アパートは新築と違い購入時点で入居者がいるケースが考えられます。すでに入居している人がどんな人なのかがよくわからない点はデメリットといえるでしょう。家賃滞納が常態化している人や騒音のクレームが絶えない人が入居している可能性もあります。この点については、不動産管理会社などからできるだけ情報を集めることでリスクを低減できるでしょう。

☆アパート経営に最低限必要な資金はどれぐらい?

中古アパート経営を始めるためには、物件取得のための資金を調達する必要があります。不動産投資は金融資産投資などと比較すると物件取得に多額の資金が必要になるのが一般的です。必要な資金のすべてを金融機関などからの借り入れで賄うことができる場合もありますが、返済負担が重くなるため空室などの発生によりキャッシュフローが悪化した場合には資金繰りが上手くいかなくなるリスクが大きくなります。また、手元資金が潤沢にある場合であっても、ある程度借り入れを活用する方が手元に資金を残しつつより有利に賃貸経営を進められることにつながる可能性があります。したがって、物件価格に対して2割から3割は自己資金を入れた方がよいでしょう。国土交通省の不動産取引価格情報などによると、東京都であれば1,000万円以下の価格帯になると物件の絶対数が極端に少なくなり、地方でも1,000万円以下の価格帯は相対的に選べる物件数は少なくなる傾向がありますので、多くの物件候補の中から良い物件を探すという選び方が難しくなるでしょう。最低でも1,000万円から1,500万円以上の価格帯で探す方がよい物件を見つけやすくなります。1,000万円から1,500万円の物件で自己資金として最低限の2割から3割を入れるとすると300万円は必要となります。中古アパート経営を始めたい場合は、少なくとも300万円の自己資金は用意してから始めることをおすすめします。

☆アパート経営に必要な資金を調達する方法

中古アパート経営を行うための物件取得資金について、すべてを自己資金で賄うということは難しいケースが多いため、金融機関の借り入れを活用することになるのが一般的です。自己の居住用部分が一定以上ある場合には、住宅ローンを使うことが可能になるケースもありますが、通常は金融機関が提供するアパートローンを活用することになります。金融機関には、都市銀行、地方銀行、信用金庫そして政府系金融機関などの種類があります。いずれの金融機関からでも賃貸アパート経営の融資を受けることは可能ですが、都市銀行よりも地方銀行や信用金庫の方が融通として利くケースが多いといわれています。アパートローンの審査基準は、住宅ローンと同じように本人の収入や取得する物件の担保価値といった基準も含まれていますが、アパート経営の事業性が重視されるという特徴があります。そのため、購入したい物件が赤字になる可能性が高い場合は審査に通らず融資を受けることができないといったことは十分考えられます。実際に資金調達を行う場合には、直接金融機関に話しを持ち込むという方法もありますが、多くの不動産会社は提携ローンを扱っていますので、中古物件の取得時に不動産会社から提携ローンを紹介してもらうという方法で融資を受けることもできます。

☆アパート経営における借金の保証人の考え方

賃貸アパート経営を行う場合は、家賃収入の確保も重要なポイントとなります。空室数や空室期間を最小限にとどめることも大切ですし、契約者である入居者の家賃未払いに対しても手を打っておく必要があります。家賃の未払いに対しては、入居契約時に連帯保証人を立ててもらうことが有効な対策となります。連帯保証人は債務者と同等の家賃支払いの義務を持つことになりますので、アパートオーナーは入居者だけでなく連帯保証人にも家賃を請求できる権利を確保できるようになります。ただの保証人の場合は、入居者が支払いできない場合に限って請求できるという扱いになりますが、連帯保証人であれば入居者が支払いできない状態にあるかどうかにかかわらず請求できる権利があるという点を知っておくことが大切です。連帯保証人は、入居者の近親者で安定した収入がある人を立ててもらうのが基本ですが、そうでない場合は、入居者との関係や社会的な地位なども考慮して審査する必要があるでしょう。また、連帯保証人の収入を客観的に証明してもらうために住民税の課税証明書や所得税の確定申告書などの書類審査をしっかり行うことも重要です。さらに、本人が連帯保証人になったことを認識しているかどうかの確認も怠らないようにすべきでしょう。