マイナス金利の導入やインフレ対策としてリートに注目している人は多いでしょう。実際に投資をする前にはリートについて正しく理解しておくことが大切です。リートの概要についてご紹介します。
☆リートの仕組みと日本における歴史
リートとは、不動産投資信託のことです。
不動産を表すリアル・エステートと投資信託を意味するインベストメント・トラストの頭文字をとってREITと書きます。
リートは、投資家から集めた資金で賃貸不動産を購入し、
賃貸不動産が生み出す家賃などから経費を引いた残りの利益を投資家に分配する仕組みになっています。
投資家が実物不動産の所有者になるわけではなくリートが所有者になりますので、投資家は不動産を管理する必要がありません。分配金などを受け取る権利を所有するだけです。
また、不動産投資は多額な資金が必要になるのが一般的ですが、
リートは賃貸不動産の権利を証券化の仕組みを使い小口化しています。そのため、少額でも投資できる特徴があります。
日本では、戦後不動産取引が盛んになり、バブルの頃には証券化も行われるようになりましたが、
現在J-REITと呼ばれている上場不動産投資信託が登場したのは2000年です。2銘柄でスタートしたJ-REITは、
途中リーマンショックなどの伸び悩み時期を乗り越えてながら上場銘柄数を順調に増やし、現在では世界の中でも有数の規模の時価総額を誇る市場に成長しています。
☆リート投資法人の種類と投資対象
上場している50以上のJ-REITの銘柄はすべて最後に投資法人という名称が付きます。
これはリートに関して定めた法律で決められているからです。投資法人は法人格がありますが、投資する不動産の選定や管理などはすべて外部に委託することになっています。
リートが投資対象としている不動産は多岐にわたります。
オフィスビルや賃貸マンションに投資をして賃料を得るタイプの投資法人が比較的多いですが、近年は賃貸倉庫に投資するロジスティックタイプの投資法人や、ショッピングセンターやホテルを運営している会社が、自社の建物をリートとして設定するケースも出てきています。
また、リート投資法人は銘柄ごとに投資対象に特徴があります。
ある銘柄はオフィスビル中心、ある銘柄は賃貸マンションも含まれるなどそれぞれ違っています。
自分がどんな賃貸物件で運用したいかによって銘柄を選ぶことができます。また、銘柄によっては投資対象不動産の所在する地域に特徴があるものもあります。
例えば、関東中心に投資をしている投資法人もあれば、関西中心、福岡中心などの銘柄もあります。銘柄の選び方によって地域分散投資を実現することもできます。
☆リート投資法人選びのポイントと利回り
J-REITに投資をしてみようと考える場合、まず悩むのがどの銘柄に投資するかです。
もちろん、ほぼすべてのJ-REITの銘柄を組み込んだ投資信託もありますが、できれば個別に銘柄を選んで安定的な分配金収入を得ながら大きな値上がり益を狙いたいと思うものでしょう。
50以上の銘柄の中から自分が投資すべき投資法人を見つけたい場合は、
いくつかのポイントに注目して選ぶといいでしょう。
まず、投資法人の時価総額です。その銘柄の規模だと考えるといいでしょう。
時価総額が大きなものは、投資物件数も多く分散投資効果が効いていますので、建物1つの空室リスクなどの影響が少なくなります。また、急に解散されるリスクも小さいでしょう。
投資初心者は時価総額が大きめの投資法人を選ぶことをおすすめします。
その他のポイントとしては、借入金の比率が全財産の半分を超えていたり、利回りが極端に高かったりする投資法人は避けるべきでしょう。
投資法人の利回りとは、1年間の1口あたりの分配金を投資口の価格で割ったものです。
株式の利回りなどと考え方は同じで、J-REITの投資効率を表します。
リートの事業が好調であれば利回りは上昇しますが、リートの事業内容にリスクがあると投資家が判断して売り込まれ価格が下がっても利回りは上昇しますので、その点は見極めが必要です。
【記事筆者】
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