日本の預金金利は世界でも有数の低水準で、感覚的には「金利ゼロ」といえます。退職金を銀行に預けておいてもほとんど増えず、利子収入を頼りに生活するのは事実上不可能です。

しかし、退職後に年金や退職金だけで暮らしていくことは、現実的に厳しい場合もあるでしょう。そのような場合には資産運用を検討してみると良いかもしれません。

そこで今回は、退職金の資産運用についてご紹介します。

資産は銀行に預けるより運用したほうが増える?

退職金を銀行に預けていても資産が増えないのは、利息が期待できないからです。

積極的に資産を増やしたい場合は、資産運用が必要になってきます。

 

資産運用というと、株式投資やFXなどで元本割れを起こして資金が減ってしまうイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし、国債に投資するなど、リスクの低い運用を行えば、堅実に資金を増やすことが可能です。

地方債や社債、保険なども、元本が保証されるものではありませんが、うまく運用することができれば、安全性を保ちながら利益を得られます。

 

銀行に預けていても利息が期待できなければ、タンスにしまっていることと同じですよね。タンス預金で満足ができない方は、リスクとリターンのバランスを考えながら資産運用を行ったほうが建設的だといえるでしょう。

 

退職後に必要な収入はいくら?

退職後にゆとりある老後生活を過ごすために必要な収入は、いくらになるのでしょうか。

ここでは総務省や日本経済団体連合会が発表した調査報告を基に、老後に必要な収入についてご紹介します。

 

年金などの給付だけでは収支が合わない現実

総務省が2016年(平成28年)に発表した「家計調査報告(家計収支編)」では、世代別の平均的な家計収支状況が確認できます。

 

2016年のデータを見ると、高齢単身無職世帯(60歳以上)が1カ月あたりに受け取れる社会給付は約11万円、支出額は約15万円です。仮にこの状況が続くとすれば、年金などの給付金だけを収入源として生活すると毎月約4万円の赤字となります。

同様に、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の社会保険給付は約19万円、支出額は約26万円となっており、年金などの収入だけでは毎月約7万円の赤字が発生してしまうことになるのです。

退職金を割り当ててもゆとりある老後生活は難しい

日本経済団体連合会が発表した「退職金・年金に関する実態調査結果(平成28年9月度)」によると、総合職の60歳で大学卒の平均退職金は約2,300万円です。これに所得税が課税されるため、実際に手元に残る金額はこれより少なくなります。また、勤続年数が少なければ、その分金額は低くなります。

 

退職金の2,000万円で、老後の生活を20年間とすると想定すると、毎月約8万円使うことが可能です。余裕があるように見えるかもしれませんが、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(平成28年度)」では、夫婦のゆとりある老後生活に必要な金額は月34万9,000円という結果が出ています。

 

退職金こそ投資に活用すべきか?

もちろん、若い頃から貯金を積み立てておけば、基本的な生活に困ることはないでしょう。しかし、貯金を趣味や孫のために活用したいという方が多いのも事実です。

 

近年、余裕のある老後生活のために退職金の資産運用を検討するケースが増えています。中でも人気が高まっているのが「不動産投資」です。

では、なぜ不動産投資に注目が集まっているのでしょうか?

不動産投資を退職金の資産運用におすすめする理由をご紹介します。

 

 

資産運用は不動産投資がおすすめ?その理由とは

不動産投資には、不動産の売買をして差額を稼ぐ方法(キャピタルゲイン)と、不動産を賃貸して家賃収入を得る方法(インカムゲイン)があります。

人気が高まっているのはインカムゲインで、大家さんになるという方法です。

退職金を運用して大家さんになる魅力としては、以下の3点が挙げられます。

 

 

 

 

 

自己資金が少なくて済む

賃貸用の不動産を買う際には、多くの場合ローンを組むことになります。不動産は他の投資と違い、投資用物件そのものを担保にすることが可能です。その結果、少ない自己資金でも物件を入手できるシステムになっています。

 

また、金利ゼロ社会の現代では、ローンの金利も安くなっています。低金利時代を上手に利用することで、昔より安い金額で投資用物件を手に入れることができるのです。退職金が多くない場合でも、条件によって投資を始められることはメリットでしょう。

 

家賃収入が定期的に発生する

手に入れた物件に借り手がつけば、定期的に家賃収入を得ることが可能です。

ローンの支払いと相殺されるため手取りの金額は目減りしますが、家賃収入がローンの支払額を上回っていれば利益となり、年金の上積みとしての効果が期待できます。もちろん、ローンを払い終われば家賃収入は全額収益となるため、ゆとりのある老後を過ごすことができるでしょう。

 

 

手間がかからない

老後に身体を動かして働くことは難しいですが、家賃収入を得る不動産投資は外に出て働く必要がありません。物件の管理や家賃の督促などは業者に委託することも可能です。

投資を行う前にしっかりとした目標を掲げ、予算や利益見込みの範囲内で計画を組み立てましょう。

 

おわりに

今回は、退職金の資産運用についてご紹介しました。年金受給開始年齢の引き上げや、年金受給額そのものの減額などが検討されている昨今、貧しい生活を送らざるを得ない高齢者が将来的に増加するという意見もあります。

不動産投資によって家賃収入を得るためには、それなりに準備の時間が必要です。定年退職がまだ先だからと見送らず、人生のゴールを笑顔で迎えるためにも、不動産投資による退職金の資産運用を今から検討してみてはいかがでしょうか。