不動産投資をするにあたって、個人で賃貸物件を経営するより会社を設立した方が有利になるケースがあります。不動産管理会社として運営していくことで、大きな節税が実現する場合も存在するのです。会社設立によって、よりお得に不動産経営を進めていくことができるケースや会社設立のタイミング、会社設立の方法を説明します。
不動産投資と会社設立の関係性は?どんなメリットがあるの?
不動産管理会社を設立することによって得られるメリットはいくつかあります。いずれも節税対策につながるもので、個人経営の場合よりも課税対象額を抑えられることがあるのです。
まず、会社を設立して法人化することで税率が下がるケースが出てきます。所得税の場合は累進課税として所得が多ければ多いほど税率が上がりますが法人税の税率はほぼ一律となります。所得税と法人税の税率を比較したときに、法人税の方が税率が低くなる場合があるのです。
また、会社設立することによって不動産経営で得られる所得は会社が支給する給与所得とみなされます。
そのため、課税される際に給与所得控除を受けることができるのです。経費の面で見ると役員の生命保険などの保険料や小規模企業共済、中小企業倒産防止共済の掛け金を経費として計上することができ、所得から差し引くことが可能になります。さらに赤字になった場合も法人経営なら土地を取得した借入金の利息や、物件が遠方にある場合の交通費も経費として計上できるようになるのもメリットです。
その他、確定申告で青色申告を行う場合、赤字が出たときには法人なら9年まで繰り越せるため、次年度からの所得と相殺できるようになり、課税対象額を抑えることにつながります。相続税対策としては、法人として家族を役員とすることでそれぞれに給与を支払う形となり、不動産所得を分散させることになります。これによって相続税の課税対象額を抑えることができるほか、役員を退職するときに小規模企業共済および中小企業倒産防止共済の掛け金を退職金とし、それを相続税の納税資金に利用するといった方法もあります。
不動産投資のための会社なら!設立するベストなタイミングって?
では、不動産投資のための会社設立はどのようなタイミングで行うべきなのでしょうか。一般的には年間2,000万円以上の課税所得があれば節税に関して大きな効果が得られるため、その頃に法人化するのがよいとされていました。ただし、個人経営の場合にかかる税金は増加傾向にある一方、法人税は減税の傾向にあるといわれています。その結果、かかる税率が個人よりも法人の方が下回るラインが引き下がってきているのです。
個人の税率と法人の税率が逆転し法人の税率の方が低くなるラインはだいたい700万円くらいとされています。もしサラリーマンを本業にしていて不動産投資を副業で行っている場合、不動産経営を法人化するコストを考慮して、本業と副業の所得を合計した金額が900万~1000万円くらいになる頃が会社設立のタイミングと考えてよいでしょう。サラリーマンとしての所得が高い場合は、不動産投資を始める当初から会社設立を考えてもよいかもしれません。
会社設立をするには?必要書類とその手順
不動産投資にあたって会社を設立する際には、必要となる書類がいくつかあります。
会社を登記するために必要な書類
・登記申請書
・商号、事業目的
・本店所在地などを詳細に記した定款
・出資金の払込証明書
・代表社員就任承諾書
・印鑑届出書
商号や事業目的、本店所在地など定款に必要な事項を決める
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代表者印と社印、そして銀行印の3つを用意します。
このときに印鑑届出を行っておきましょう。
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そして、
会社経営の根幹となる定款を作成する。
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公証役場に提出して認証を受ける。
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銀行口座を開設して出資金の入金を行う。
このときの払込証明書が登記時に必要です。
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役員になる人の就任承諾書を作る。
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これらがそろったら
本店所在地の管轄の法務局で登記申請を行う。
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ここまでの流れがスムーズにいけばだいたい2週間くらいで晴れて会社設立です。
さらにこの後、税務署に法人設立届出書や青色申告の承認申請書などの必要書類を提出することが今後の税制上重要となるため、忘れずに手続きを行うようにしましょう。