近年、給与収入の伸び悩みや、相続税対策などからサラリーマンとして働きながら不動産投資をする方が増えています。さらに、超低金利が続いていることも、サラリーマンの方が不動産投資に興味を持つきっかけとなっているようです。

そこで今回は、不動産投資にとって欠かせない不動産投資ローンの仕組みやメリット・デメリットについてご紹介します。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、収益物件用にマンションやアパートを一棟買いするために、購入する不動産を担保に金融機関から融資を受けることです。不動産投資ローンの特徴を、一般的になじみのある住宅ローンと比較しながらご紹介します。

 

住宅ローンよりも審査基準が厳しい

不動産投資ローンが住宅ローンと異なる点は、貸付の目的や審査基準にあります。

 

住宅ローンの貸付の目的は、居住用の戸建てやマンションの購入です。

不動産投資ローンの貸付の目的は、賃貸ビジネスとして使用する収益物件の購入となります。

 

また、住宅ローンの融資審査の場合、購入する不動産の担保価値に加え、借主の収入や仕事などといった借主本人の属性を中心に返済能力が判断されます。

一方で不動産投資ローンの場合は、不動産担保価値や借主の収入などの属性だけでなく、購入対象となる収益物件の空室率や、立地から判断される収益性や事業性から判断されるため、住宅ローンよりも審査は厳しくなります。

 

住宅ローンとの金利の違い

不動産ビジネスは住宅ローンよりも返済リスクが高いと考えられているため、適用される貸出金利も、不動産投資ローンのほうが住宅ローンよりも高い傾向にあります。

 

不動産投資ローンの適用金利は、住宅ローンと同様で、変動金利型と固定金利型の2種類です。一般的な変動金利は、現行では2%台から7%超と幅があります。住宅ローンは日銀の実質ゼロ金利政策の影響もあり、史上最低の0%台のものがほとんどです。

 

不動産投資ローンを組むメリット

レバレッジを効かせた投資効率の高さ

不動産投資ローンを組むメリットは、レバレッジを効かせた投資効率の高さです。

レバレッジとは「テコの原理」を意味します。金融機関から受ける融資をテコにして、少ない自己資金で大きな投資を可能にしたのが不動産投資ローンです。

不動産投資は、株や投資信託といった他の投資に比べて、必要とされる資金は多くなります。そのため、不動産投資では少ない資金を有効に活用して、投資効率を最大化することが重要です。

 

ニーズに応じてさまざまなローン設計が可能

不動産投資ローンには、さまざまなタイプの商品があります。適用される金利も、変動金利と固定金利の2種類から選べます。固定金利の場合、多くの金融機関でその適用期間を3年、5年、7年、10年から選ぶことが可能です。

 

また、マンションやアパートに特化したローンの中には、金融機関で指定した一定の条件を満たすと、優遇金利の適用を受けられる場合もあるため、資金ニーズや希望の借入期間などに応じたローン設計を行えます。

 

 

不動産投資ローンを組むデメリット

空室率上昇に伴い、返済が厳しくなるリスク

不動産投資ローンを組むデメリットとして、空室率が上昇した場合に、返済が厳しくなるリスクがあります。

 

不動産投資物件は、時間の経過とともに空室率が上昇する傾向にあります。

空室率が上昇する主な原因は、競合物件の増加や、物件周辺の環境変化などの外部的要因と、物件が古くなり客付けが悪くなるなどの内部的要因です。

ローンの返済を家賃収入に頼る不動産投資の場合、空室が続けばローンの返済が苦しくなるでしょう。

 

金利上昇リスクとキャッシュフローへの影響

不動産投資ローンの多くが、変動金利型のローンです。

現在は超低金利でローンを組めますが、今後も超低金利が続くとは限りません。もし、金利が上昇した場合、総返済額の上昇も避けられないため、キャッシュフローへ影響が出ます。

さらに、物件が古くなって客付けが悪くなれば、資金繰りも厳しい状況になるでしょう。

費用をかけずに客付けを改善する仕組みを考えたり、場合によっては物件の処分を検討したりする必要も出てきます。

 

おわりに

不動産投資ローンは、住宅ローンよりも審査が厳しく、貸付金利も高い傾向があります。また、レバレッジを効かせた投資効率が高く、ニーズに応じてさまざまなローン設計が可能です。

不動産投資ローンを利用する際は、不動産投資ローンのメリット・デメリットをよく理解して利用するようにしましょう。