日本には上場REIT市場があります。REITへの投資を考えている人は、REIT市場の現状や今後どうなるのかについて興味があるでしょう。そこで、J-REIT市場の規模や世界における位置付け、将来性などについて銘柄数に注目してお伝えします。

☆銘柄数から見る!リート市場規模の現状はどうなっている?

J-REITの市場規模の現状を把握するためには、リート市場の時価総額や上場銘柄数に注目するとよいでしょう。特に、上場銘柄数の変化はリート市場に勢いがあるかどうかを判断する上で役に立ちます。J-REITがスタートした時点では2銘柄でしたがその後銘柄数は増加を続け、50銘柄を超える数にまで増えています。しかし、一本調子で増加してきたわけではなく、初期はj-reit市場の拡大スピードが遅く銘柄数の増加も緩やかでした。

また、リーマンショック直後からの数年間は投資法人の合併や清算によって一時的に減少した時期もありました。大胆な金融緩和政策が導入されリーマンショックの影響を脱した時期からは、市場規模の拡大と歩調を合わせてハイペースで銘柄数の増加が続いています。

☆世界規模で見た上場銘柄数!J-REITの位置付けは?

J-REITの銘柄数は、世界各国の市場に上場されている不動産投資信託の銘柄数と比較した場合、どのような位置付けになるのでしょう?時価総額ベースでは世界の3分の2程度を占めるアメリカに対し、日本のJ-REIT市場の時価総額は10%弱程度で、オーストラリアやイギリスと並んで世界シェアの2位を争っています。

銘柄数についてS& Pリート指数に組み込まれている銘柄数で比較すると、アメリカは150銘柄を超えていて別格といえますが、オーストラリアは約30銘柄イギリスは約20銘柄に対して日本は約50銘柄と大きく上回っていて世界単独2位です。日本のJ-REIT銘柄数が時価総額と比較して多いのは、新しく上場されたばかりで規模が大きくない銘柄も多く含まれていることが影響しています。投資家の立場から見ると、銘柄数の多さは投資の選択肢が増えることになりますのでメリットといえます。

☆経済の混乱で減少することもある!過去の影響

J-REITへの投資の魅力は、株式や債券と比較して高い利回りの分配金を長期間にわたって安定して得られることにあります。しかし、投資した銘柄の価格が下がってしまう価格変動リスクがあることも忘れてはいけないでしょう。価格変動リスクの大きさは株式の場合と同様に大きく、経済が混乱した場合は価格が急落することもあり得ます。

リーマンショック前後では、J-REITの時価総額は3分の1まで減少した例もありました。需要の減少によって価格が急落したことが原因ですが、投資の継続ができず合併されたり精算したりする銘柄も発生し銘柄数の減少も発生しました。REIT市場の好不調を見極める方法の1つとして、銘柄数の増減を注意深く観察することは有効だといえるでしょう。

☆今後の推移はどうなる?上場銘柄数は増えていくの?

J-REITの上場銘柄数が今後増えるのか減少するのかを断言することはできません。それがわかれば先回りして投資するか売却することで確実に利益が得られることになってしまいます。しかし、今後の推移を予想する材料にどんなものがあるかを理解して自分なりに分析することはできます。景気が悪くなれば空室が増加し賃貸料が減少します。景気が良くなり需要が高まればその逆が起こります。

また、地価上昇や開発案件の増加によって物件価格が上昇すると評価益や売却益を期待して需要が高まりますし、地価が下落すればREIT市場が縮小する可能性が高いです。そのため、今後の景気動向がREIT市場の将来、上場銘柄数の増減を決めることになるといえるでしょう。世界でも有数の銘柄数を誇るJ-REIT市場の現状や将来性を判断するためにも、銘柄数の推移を注意して見ていく必要があるでしょう。