最近は不動産投資を行うサラリーマンが増えてきましたが、投資をはじめるには資金の調達が必要です。自己資金で調達できる人はほとんどいないため、多くの人が不動産投資ローンを利用することとなります。今回は、不動産投資ローンの審査基準や審査がおりやすい物件、ローンの借り方などを解説していきます。

不動産投資ローンの審査基準と金利設定

住宅ローンと比較して、不動産投資ローンの審査基準は厳しく設けられています。住宅ローンは借主の年収が400万円未満の場合でも、定職に就き勤続年数が3年以上で過去のローンなどの支払いに問題がなければ、審査に通ることがあります。

しかし、不動産投資ローンの場合は、上場企業もしくはその子会社の社員と限定している金融機関も少なくありません。自営業の場合も医師、弁護士など士業の場合は審査に通るケースは多いですが、そのほかの自営業の場合は審査に通る可能性は低いようです。勤務先、職業の審査基準を満たしていても、年収も450万円以上なければほとんどの金融機関で審査に通らないのが現状です。

また、金利も住宅ローンの変動金利の平均が0.5%から1.075%、固定金利が0.5%から2%に対して、不動産投資ローンの金利は変動金利固定金利ともに2.5%以上と高くなっています。借主自身も厳しく審査されますが、それ以上に投資する不動産の収益力と担保力が重視されます。

いくら借主自身の社会的地位や年収が高くても、安定した家賃収入が見込めない不動産では金融機関が融資することはありません。

不動産投資ローンで借りられる物件の特徴

金融機関が不動産を審査する際に、主に積算評価と収益評価と2種類の方法で審査します。

積算評価とは土地と物件のそれぞれの担保価値を算出して、その価格をもとに融資額を決める方法です。

収益評価とは投資する物件で見込める家賃収入を算出して融資額を決定します。

金融機関によってどちらの評価を重視するかは異なるため、事前に融資を申し込む金融機関がどちらを重視するかを調べておくと良いでしょう。しかし、どちらの評価法を重視しても、片方の評価法を一切考慮しないわけではありません。

そのため、積算評価と収益評価のどちらも高い物件を見つけることが重要です。新築・中古にかかわらず、最寄り駅から徒歩10分以内で、複数路線が乗り入れているターミナル駅はスーパーや飲食店、病院などの住環境に必要な施設が充実しているため、人が多く集まります。

路線価も高い傾向になるため、積算評価と収益評価の高い物件といえます。

また、審査の際に建物の耐用年数構造も重視されます。

可能であれば新築物件を購入するのがベストですが自己資金額が多くなるため、中古物件でもなるべく築浅で耐用年数が長く頑丈なRC/SRC構造の物件を選ぶと良いでしょう。

収益を確保するためのローンの借り方とテクニック

不動産投資ローンを借りる際は、手元にいくらのキャッシュフローが入るかが重要です。不動産購入後にすぐにキャッシュフローが欲しい場合は、新築物件をできるだけ長いローンで資金調達して購入します。新築物件は融資期間が30年超と長くとれるうえ、購入してから約10年は修繕費などの支出が発生しません。そのため、投資期間全体をみたときに初期の段階でキャッシュフローが多く発生します。

また、老後のためにキャッシュフローを準備したい場合は、築浅物件を定年までにローン返済が完了するように資金調達を行います。中古物件であるため、投資金額もそれほど高くなく、築年数も浅いため投資期間中と建て替え時期がかぶることがないからです。定年後に修繕費が発生してもそれほど支出が発生しません。一般的に不動産投資では、借主が支払う家賃でローン返済を行うため、年収返済比率を意識せずにローンを組む人も少なくありません。

しかし、空き室のリスクをゼロにすることは容易ではありません。そのため、空き室になった場合に家賃を何ヵ月分自己負担可能であるか考慮したうえで、返済計画をシミュレーションして、余剰資金を準備しておきましょう。