日本銀行はリーマンショック以降さまざまな金融緩和政策を行ってきました。量的緩和や質的緩和と呼ばれる金融緩和政策がその代表例ですが、当時ゼロ金利政策を取っていた日銀が更なる金利変動で金融緩和を行うと決定し打ち出されたのがマイナス金利です。このマイナス金利によって銀行は直接的に大きな影響を受けていますが、我々銀行の利用者側にとってはどのような影響があるのでしょうか。また、不動産投資などにはどのような影響があるのでしょうか。

☆銀行の融資条件はマイナス金利でゆるくなった?

日銀が金融緩和政策として打ち出したマイナス金利ですが、これによって銀行は新たな資産運用先を見つけるのに躍起になっています。しかも金利は超低金利状態が今後も続くことが予想されているため、融資を受ける側にとってはとてもいい絶好の機会だといえるでしょう。

融資条件に関しても、劇的にゆるくなったとまではいえませんが、それでも融資はマイナス金利導入前よりも下りやすくなっているのは確かです。

ただし、この流れが加速した場合、つまりマイナス金利がさらに進んだ場合、メガバンクや都市銀行などの市中銀行は収益源がなくなり、経営が苦しくなることは必至です。こうなれば残高を一定に保つために、銀行は融資の引き上げに走ることも十分に考えられます。これは最悪のシナリオではありますが、こうなることも十分に考えておかなければなりません。

☆都銀・地銀・ノンバンク・政府系金融機関の金利相場

まず、これらの金融機関の金利は都市銀行>地方銀行>ノンバンク>政府系金融機関の順に小さくなっていきます。都市銀行の金利相場はだいたい1%~3.5%程度ですので、これを基準に地方銀行、ノンバンク、政府系金融機関の順に小さくなると思っておくとよいでしょう。

ただし、都市銀行と地方銀行の金利に関してはこの順番が成り立ちますが、ノンバンクと地方銀行は逆転する可能性もあります。ノンバンクでも近年は銀行にも負けない低金利を導入しているところが増えてきてはいますが、それでもまだまだ地方銀行の方が低いところもありますので、一概にはいえません。

また、政府系金融機関に関しては、特定の目的や事業などを行うことを条件に融資が受けられる特利という制度を利用すればかなりの低金利で融資を受けられますので、どこよりもお得に借り入れを行うことができます。

☆不動産投資ローンの3種類の金利

不動産投資の対象となる物件を担保にして融資を受ける不動産投資ローンには、大きく分けて3種類の金利があります。

まず1つ目は変動金利。この変動金利は金利が低いことが最大のメリットではありますが、一方で金利の変動リスクがありますので、長期の場合にはリスクが大きくなる傾向にあります。

2つ目は固定金利期間選択型です。このタイプはもっとも中間的な位置づけということができ、金利もある程度の期間固定できますし、金利も変動金利より若干高めです。

最後は全期間固定型です。このタイプは全期間金利が固定されるのが最大のメリットですが、金利は3つのなかでももっとも高くなります。また、仮に金利が下落したとしても固定のため何のいい影響も受けられないという点もデメリットです。

☆もしも金利上昇に傾いた際の対応策

不動産投資ではさまざまなリスクが考えられますが、その中でも大きなものに金利変動リスクがあります。不動産投資ローンの変動型を組んでいる場合には、金利が下がれば当然ありがいたいことなのですが、逆に上昇した場合には大きなリスクとなります。これに対処するためにはあらかじめ固定金利を組んでおくなどの対策が必要です。

しかし、既に変動金利を組んでしまっている場合には、金利の種類を変更することはできませんので、取れる対応策としては税務関係になってきます。建物部分にかかる金利は経費に計上することが認められていますので、しっかりと経費計上をして節税対策をしましょう。

また、金利が上昇するということは間接的には物価の上昇やインフレも起こります。そのため金利が上昇したからといって一概に損をするというわけではないのです。このように、不動産投資では表面的な金利変動だけにとらわれず、金利変動によって影響を受ける本質的な部分を見極められるようにしたいですね。