不動産投資信託への投資を検討している人の中には、J-REITの値動きにどんな特徴があるかを把握できずに投資に踏み切ることをためらっている人もいるでしょう。そこで、リート指数の値動きの特徴や投資のタイミングについてご紹介します。

☆リート指数のチャートと値動きの特徴

J-REITと呼ばれる上場不動産投資信託の取引をする場合、リート指数に注目することが大切です。

J-REITの売買をするためには50を超える各投資法人の投資口を売買することになりますが、各投資法人の値動きだけ見ていると市場の大きなトレンドを見失う可能性があります。リート市場全体の動きが把握できていないと、買うべきタイミングを逃したり、まだ値上がりする可能性が高いにもかかわらず売却したりするなどの失敗をしがちです。

リート指数は、各投資法人の取引価格と投資口数をかけた時価総額を全銘柄について合計したJ-REIT全体の時価総額の変化を表す指標です。リート指数の変化をグラフ化したものをチャートと呼びますが、このチャートを分析することでリート指数の値動きの特徴が把握できます。

特徴をつかむおすすめの方法は、日経平均などの株価チャートを重ねた上で分析することです。

リートへの投資は、現物への不動産投資と違い、リスクマネーもかなり含まれています。そのため、株式市場にリスクオフの兆しが見えて株価が下落すると、リート指数も同様に下落する傾向があります。また、リートは借入金でレバレッジをかけているため金利の変動にも敏感という特徴があります。

☆金利や経済指標によるトレンド変化を捉える

J-REITの売買で利益を上げ安定した分配金を受け取りたいと思ったら、適切なタイミングで売買取引を行うことが重要です。リート指数の変化から売買のタイミングを知るためには、指数の変化が起きやすいイベントに注目しておく必要があります。

例えば、日本銀行の金融政策決定会合やGDP統計の発表、さらには国土交通省が定期的に発表している住宅着工件数発表などのイベントです。金利の変化によってリートの各投資法人の借入利息の負担が変化し、将来の利益に影響を与えます。また、GDPが成長していることが統計からわかれば景気が良くなっていることになりますので、将来の賃貸オフィスの需要が高まることが考えられます。

さらに、住宅着工件数の増加は、不動産取引が活発になってきていることを示しますので、不動産取引市場の需給が引き締まり、不動産価格の上昇につながる可能性があります。

こういったイベントのタイミングでリート市場のトレンドが変わることがありますので、関連性の高いイベントに狙いを定めて情報収集することが大切です。

 

☆買いのタイミングとポートフォリオ戦略

金融政策決定会合や経済指標発表のイベント情報を正しく理解し市場の動きを予測できるようになれば、リートの買いのタイミングがわかってくるはずです。

金利の低下はリートの利益の増加につながりリートの価格は上昇する、経済活動が好転している指標が発表されれば空室率の低下や賃料アップにより利益が増加する期待が高まり、リートの価格は上昇するといった予想ができるようになるでしょう。価格が上昇するタイミングで逃さず買うことができれば、リートへの投資を有利に進めることができるようになるはずです。

また、自分の投資可能資金に対してどれぐらいをリート投資に振り向けるかといったポートフォリオ戦略も考える必要があります。値上がり益はあまり期待せずに分配金を長期間受け取ることで投資回収を狙う場合は、ある程度投資比率を上げても問題ないでしょう。

しかし、売買益狙いの場合は、リート投資の比率はある程度抑えておく方が賢明です。株式投資も行っている場合、株式市場とリート市場の両方が下げて両方で損失が発生する展開がよく起きます。そのため、一般的にはリートと株式にほとんどの資金を投下するポートフォリオはリスクが高いといわれています。投資目的に合わせて最適な金額をリートに投資することをおすすめします。