不動産投資をするとよく『節税対策になる』と聞くと思います。実際に節税効果がありますので、よく不動産会社のセールストークにも使われます。しかし、言われるがままよく分からずに購入するのではなく、それがどのようなものなのかを把握しておきましょう。今回は、個人で会社勤めをしている方をメインに記事にしていきたいと思います。

節税の対象は個人or法人

まず、節税についてですが個人、あるいは法人によって変わってきます。給料と家賃収入の合算額がだいたい1300万以上で、かつ単体の家賃収入が500万以上であれば、法人化するといいかもしれません。その場合、個人

よりも税率が低くなります。

所得税・住民税対策

個人の所得税の場合は、会社から天引きされた分の源泉徴収税額の中から、不動産投資で赤字計上されていた場合は赤字の分が戻ってきます。不動産購入の初年度は物件代金以外にも、仲介手数料、印紙代、登録免許税、損害保険料(火災保険、地震保険など)、不動産取得税、司法書士手数料、固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立金等、ローン利用の諸費用など様々な経費がかかるので、大きな節税効果が見込めます。また、所得税を節税できれば住民税の節税にもなります。

減価償却費による節税

不動産運営において、固定資産税減価償却費借入金利が不動産経費の中の大きな割合を占めます。

減価償却費とは、長年にわたって使うものであれば、年数に応じて少しずつ小分けにして費用とするべきだとしたものです。税法に基づくと構造別により減価償却費の計算方法がかわってきます。基準となるのは、耐用年数であり建物の構造によって差があるので比較してみましょう。

~新築物件による減価償却費の計算方法~

 

構造 耐用年数 償却率
軽量鉄骨造 19年 0.052
木造 22年 0.046
重量鉄骨 34年 0.030
鉄筋コンクリート 47年 0.022

物件価格 × 償却率 = 減価償却費

 

経費として換算できるのは耐用年数の分となるので、木造は耐用年数が低く、償却率は高くなります。そうすると、利益が減るということになりますが、その分税金が減って最終的にはお金が多く入ってきます。しかし、耐用年数が少ないものほど、借入金の期間が短くなりますので、月々の返済額が多くなり手元にお金が残らなくなります。どちらがいいかは、個人の収支や借り入れの期間と減価償却費のバランスなどで判断するのがいいでしょう。

相続税対策

相続税は相続した財産が一定額を超えると発生いたします。平成27年1月1日以後から基礎控除額や税率等が改定されました。基礎控除額の計算方法は以下になります。

 

「3,000万円+600万円×相続人数=基礎控除額」

 

相続財産が仮に1億円として計算すると、

 

「1億円-(3,000万円+600万円×1)=6,400万円」

 

 

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

 

相続税額

「6,400万円×30%—700万円=1,220万円」

 

1220万円という結果になります。

 

これを不動産で計算してみましょう。

まず、土地建物の評価額が変わります。土地は路線価の80%程度、建物は建築費用の50~60%程度で評価されます。更に、第三者に賃貸するような投資用不動産であればそこから30%控除され、もし事業用の敷地が200㎡の場合であれば、小規模宅地の特例により土地の評価が5割評価となります。

 

時価1億円で評価額5000万円の物件で計算した場合、

 

建物評価額 2500万円

土地評価額 2500万円

 

建物          2500×0.7=1750万円

土地(小規模宅地の場合) 2500×0.8×0.5=1000万円

評価額 2750万円

 

2750万円×15%-50万円=362万5000円

 

不動産にした場合

1220万円-362万円5000円=857万5000円

 

差額857万5000円になりますので、大きな節税効果が期待できます。

このように不動産投資は、様々な節税方法があるので、自身に置き換えてシミュレーションすると良いでしょう。