不動産を購入するためにはまとまったお金が必要なため、ひと昔前の不動産投資は、会社経営者や資産家が、本業以外の余裕資金で行うのが普通でした。しかし、昨今は投資金額が小さくなり、サラリーマンや主婦などでも気軽に始められるようになっています。このような手頃な金額で始められる不動産投資の代表格は、区分マンションへの投資です。そこで、区分マンション投資について、メリットやデメリットなども踏まえて詳しく解説します。

そもそも区分マンションとは?


区分マンションとは、購入単位がマンションの建物1棟丸ごとではなく、1区分ずつになっているものを言います。ですから、一般の人が住宅としてマンションを購入するときの購入単位と同じだと考えるとわかりやすいでしょう。不動産投資を大家さんになって他人に家を貸すことだと考えるとイメージが沸きやすいかもしれません。マンションを1棟丸ごと購入した場合には、複数の人にそれぞれの区分を貸し出す形になりますが、区分マンションを購入した場合には、持っている区分のみを貸し出すという形になります。都心部にある戸数の多いマンションを1棟丸ごと購入して貸し出すとなると、巨額の資金が必要になりますが、その中の1区分だけを購入して貸し出すということになれば、初心者でも手を出しやすくなります。ただし、区分マンションには少額から投資できる気軽さ以外にもメリットがある代わりにデメリットとなる部分もあります。ですから、区分マンションに投資することを決める前に、冷静にメリットとデメリットについて調べ、対策が可能かどうか考えましょう。

区分マンションのメリット

区分マンションを選ぶメリットは、何と言っても初期投資額が小さくて済むという点です。不動産投資に興味があっても最初から大きな金額を投資するのは心配という人は少なくないはずです。自宅を購入する場合でも、マンション1室を購入するのにはまとまったお金が必要なのですから、いきなりマンションを1棟買えるという人はそれほど多くないでしょう。それでも、家賃収入でローンを返済できるなら不動産投資してみようと思うケースが一般的です。1棟丸ごと購入することが難しい立地の良い都心部のマンションでも、区分マンションであれば手が届きやすいという点もメリットと言ってよいでしょう。立地の良い物件はそのものの価値が高い状態でキープされるため、手放すときも高く売れる可能性があります。建物の修繕に関しても、区分マンションなら共益費などの形で支払うため、賃料設定の際に入れて置けば、投資する本人が大家として将来の大規模修繕に備える必要が無くなります。将来的な大規模修繕が不動産投資ではネックになることが少なくないため、初心者が投資する場合には、この点もメリットと言えるでしょう。

区分マンションのデメリット

区分マンションのデメリットとして大きいのは空室リスクです。特に、1区分しか所有していない投資家の場合、入居者が退去してしまった際には収入が無くなり、ローンを自腹で返さなければならなくなります。利回りを計算したうえでローンを組んだとしても、空室の状態が続けば儲けが出ませんから、利回りを大幅に下方修正しなければならなくなります。家賃でローンを返済したうえで儲けが出てこその不動産投資ですから、それがうまくいかなくなるリスクがあるという点はデメリットになるでしょう。同じマンションの中でも、区分によって入居率が異なるのも注意が必要な点です。最初にどの区分を選ぶかによってもリスクが大きく変わってきますから、区分マンションを投資の対象とする場合には、目先の投資金額だけでなく、どの区分を選ぶかを真剣に考えることが大事です。

また、ワンルームマンションなどの場合は、入居率が立地に大きく左右されます。周辺の環境を確認せず、図面だけ見て投資先を決めると失敗しやすいのは区分マンションかもしれません。区分しか所有していなければ、建て替えやリフォームも自分の考えだけではできないため、立地条件を見誤ると手放す際にも苦労しやすいと言えます。では、これらのメリット・デメリットも踏まえて、不動産投資をする際に何を重視しているのか街の声を聞いてみましょう。

不動産投資はリスクとリターンのどちらが重要?

リターン求めて行う不動産投資ですが、少なからずリスクがあることは多くの人が知っています。そこで、不動産投資を行う際にリスクとリターンどちらを重視する人が多いのかを調べてみました。

【質問】
不動産投資を始める上で最も重視したいのはどちらですか?

【回答結果】


リスクが小さいこと:108名
リターンが大きいこと:13名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:121サンプル

★ローリスクを重視する人が圧倒的多数
今回のアンケートでは、リスクが小さいことを重視する人が圧倒的多数を占めました。

・不動産は長く投資するので、低リスクが基本だと思います。(40代/専業主婦・主夫/女性)
・仮にリターンが大きくても、多額の投資が必要なのであれば始められない。リターンが小さくてもリスクが小さければ計画が立つし、資金調達もしやすい。投資に慣れていない初期のうちはリスクの小さいことが重要と感じる。(40代/会社員/男性)
・あくまでも生活の基盤は通常の仕事で立て、プラスアルファーを投資で利益を出したいと考えるため。(30代/会社員/女性)

リスクを最小限に抑えることでマイナスになることを防げれば、儲けはあまり大きくなくてもよいと考えている人が多いようです。余裕資金で不動産投資を行い、長く続けることを目標にしている人が目立ちました。特にまだ投資に慣れていない初めのころは、リターンが小さくてもリスクをできるだけ抑えることが大事だと考える人が多いようです。逆にリターンが大きいことを重視する人のコメントは次の通りです。

・リターンが多くなければ、リスクを負ってもやろうとは思わない。(30代/会社員/男性)
・リスクが少ないと、リターンも少ないのである程度リスクは必要だと思う。(30代/学生/女性)
・リターンが大きくないと不動産投資の意味がない。(40代/専業主婦・主夫/女性)

不動産投資をする以上はある程度のリスクは覚悟して大きく稼がなければやる価値がないという意見が目立ちました。不動産という金額の大きいものを投資の対象にした時点でリスクは覚悟しなければならないと考えている様子がうかがえました。

アンケートの結果、不動産投資をするからには、どんなにリターンが大きくても前提としてリスクが小さいことを考慮する必要があるようです。では一棟投資と比較した際のリスクはどう違うのでしょうか。

一棟投資と比較してみると……

区分投資と一棟投資では、細かい点も含めて比較してみるとリスクが小さいのは区分投資、リターンが大きいのは一棟投資と言うことがわかります。1棟丸ごとだとローンの金額も大きくなるうえに、空室リスクも増えます。将来的な大規模修繕に備える必要もあり、投資初心者がいきなり一棟投資をするにはリスクが大きすぎておすすめできません。不動産投資というものがどういうものか、どのような点に注意すれば儲かるのかということを学ぶ段階では、リターンが小さくてもリスクを小さく抑えることは重要です。区分投資も自分でさまざまなリスクを想定したうえで利回りを計算して、どの段階で区分を増やすか考える必要があります。区分投資も1区分だけの投資を続けていたのでは、投資と言えるほどの儲けが出ませんが、だからといって一足飛びに一棟投資を考えたのでは、リスクが大きすぎます。いずれは一棟投資を考えるとしても、入門編として区分投資から始め、徐々に区分を増やしていくことをおすすめします。賃料収入だけでローン返済ができるようになってからでも、一棟投資は遅くありません。

最後に


リターンのあるところにはリスクが必ずあります。ですから、初心者がハイリターンの投資を行おうとするのはリスクも大きくなり無理があります。区分マンションへの投資はリスクが小さく、初心者が不動産投資を学ぶのには最適な方法です。ただし、区分マンションの投資にもデメリットはあります。ですから、メリットの部分ばかりに注目するのではなく、リスクもしっかり認識して、立地や区分を吟味したうえで投資先を選ぶようにしましょう。”

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