購入当初はきれいで使いやすかった住宅も、年数を経ると痛みや汚れが目立ち、設備なども古くなり使いづらくなります。そのような住宅はリフォームやリノベーションをしなければ、快適に住むことができません。しかし、新たな機能を付与し生活の向上を目的とするリノベーションの場合には、大規模な工事となりますので、どのぐらいの費用がかかるのかわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、リノベーションをした場合の費用を抑えるコツと、どのようにしたら優良業者を探せるかという点等について解説をしていきます。

リノベーション費用ってどのくらい?


お金を沢山かけてリノベーションをすれば、使い勝手の良い快適な暮らしを送ることができます。しかし通常は、予算には限りがあります。それではリノベーションンの費用はどのくらいかかるものなのでしょうか?

相場はどれくらいなの?

リノベーションの相場と言っても、中古住宅の築年数や劣化の状態・どれぐらいの工事を行うかによって費用は大きく異なってきます。基礎の補強をしたり柱や梁の入れ替えなどの建築物の躯体まで工事を行う場合には、金額は大きくかさむことになります。またキッチンやバス・トイレなどの水回りの工事は、どんなリノベーションでもかならず行う作業です。水回りの工事は費用が大きくかかりますので、小さい住宅の場合には平米当たりの単価が相対的に高くなります。また、マンションのリノベーション工事では、共有部分は手をつけることはできませんので、専用部分だけの工事となり、その分費用は安くすることができます。リノベーションの相場は、平米当たり10~17万円程度とされていますので、70平米のマンションで700万円~1,200万円程度、100平米の戸建て住宅では1,000万円~1,700万円程度になります。

同じ広さでも、費用が違うのはどうして?

リノベーションは同じ広さの住まいでも、どの程度手を入れるかによって費用は変わってきます。例えばフローリングに無垢材を用いたり、オーダーメイドのキッチンや浴室にしたり、素材や設備にこだわって工事をすれば費用が掛かることになります。また、部屋と部屋との間仕切りを少なくしたり、既存の設備を再利用したり、安価な素材の製品を使うことにより費用を低減することができます。

リノベーション費用の内訳はどうなっているの?

リノベーション費用の内訳は大雑把に、下記のように分類することができます。

工事費

既存の住宅の内装や設備を解体し撤去する費用、新たに内装工事や配管工事・配線工事などを行う費用が必要となります。

設計費

住宅の設計やデザインなどの費用で、通常は工事費の1割程度必要とします。

資材および設備費

フローリングや壁紙・建材などの資材費、およびシステムキッチンや新機能トイレ・ユニットバスなどの設備の費用が必要になります。

その他の費用

書類作成や申請書作成に要する費用やオプション工事費などがあります。

希望通りのリノベーションを予算内で実現するコツ

快適な住まいを実現したいと思っていても、リノベーション工事は通常は限られた費用の中で行わなければなりません。次に、限られた予算内で希望する住まいを実現するコツについて解説をします。

どんな住まいにしたいか紙に書き出す

まず、どんな住まいにしたいのか家族で話し合い、思い付くままに紙に書き出してみましょう。現在住んでいる住まいの不満点をあげ、こんな住宅に改善したいという点を列挙します。例えば家族でゆったりする空間がないので広いリビングが欲しいとか、ダイニングが狭いので、娘と一緒に料理を作れる大きなキッチンが欲しいなど家族全員で考えます。

リノベーション会社に具体的に説明する

次に、どのような住まいにしたいのか、リノベーション会社に希望する点について説明をします。この点を具体的に説明しないと、後で余分な費用がかかったり理想としていた住まいと大きくかけ離れた住宅になってしまうことも起こり得ます。

2~3社に相見積もりをとってみる

理想とする住まいを安い費用で作るためには、複数の施工会社に見積もりを依頼することが重要です。いくつかの見積もりを比較し価格が安く工事内容にも納得ができる会社を選びます。また特にリノベーションの施工実績が多く、アフターサービスや施工体制が整っているか等も考慮に入れるべき点です。

リノベーション費用を抑える具体例とは?

リノベーションは多額の費用が掛かりますので、可能な限り抑えたいものです。それでは、次に具体的にどうしたら費用を抑えることができるか解説をします。

使用可能な部分を再利用する

既存の建物で利用してきた設備などで比較的新しいものであれば、廃棄せず再使用する方が良いでしょう。汚れやキズなどがなく機能的であれば、新たに購入しなくても十分再利用でき費用を抑えることが可能になります。

既製品を取り入れる

理想の住まいを実現するためには、オーダーメイドの製品を使いたくなりますが、特注品はその分コストが掛かります。さほどこだわる必要がない部分であれば、既製品を利用することで、費用を低減するようにしましょう。

素材を変えてみる

素材のランクを一つ落とすことで、見た目はさほど変わらず費用を削減することができます。素材を変えても、希望とする住まいとあまり違わないようにリノベーションできるなら、考慮してみる価値はあるでしょう。例えば、フローリングを無垢材から合板に変えたり、自然素材の塗り壁をビニールクロスに変えたり、大理石浴槽をFRP浴槽に変えることでコストダウンを図ることができます。

プランの見直し

どうしても予算内に収まらない場合には、プランを見直しましょう。リノベーションをしようとしているプランは、最良のものでしょうか。プランを見直しても希望している住まいとさほど変わらないならば、検討する価値はあるでしょう。計画を見直すことで、余分にかかっている費用洗い出しを削減できる可能性があります。

業者に相談する

施工実績の多い会社であれば、様々なリノベーションの施工例を持っています。予算とプランを伝え相談すれば、費用をおさえてリノベーションする方法を提案してくれるでしょう。リノベーションの方法は決してひとつではなく、いろいろな代替案があるはずですから。

リノベーション費用はローンで払えるの?


リノベーション費用はどうしても金額が大きくなってしまいますので、現金でなくローンを利用する方法もあります。

2種類のリフォームローン

リフォームに利用できるローンには、リフォームローンと住宅ローンがあります。リフォームローンには、担保を要する担保型と不要の無担保型があり、住宅ローンには担保が必要です。

有担保型リフォームローン

有担保型のリフォームローンは、自宅などを担保にしてローンを組みます。金利は変動と固定がありますが、低い金利で500万円~5,000万円程度の多額の借り入れを行うことができます。借り入れ期間も最長30年~35年と長くゆったりと返済できますが、審査が厳しく時間を要するのがデメリットです。

無担保型リフォームローン

無担保型リフォームローンは、担保が要りませんので手軽ですが、金利は高く借入金額は50万円~500万円程度と有担保型と比べると低くなります。借入期間は短く、最長で通常で10~20年程度となっていますが、審査が早く金利以外にかかる費用が少ないのがメリットです。

物件を購入しリノベーションができる

中古物件を購入し、リノベーション費用込みで住宅ローンを借り入れることができます。その場合、住宅ローンと同じ低い金利で借りられますので、利用する価値は高いでしょう。

助成金を利用する

良質な中古住宅の促進やリフォーム市場の育成などの目的に合致すれば、国の助成金制度を利用することができる場合があります。

助成制度 内容 助成額
省エネ改修(断熱リノベ)補助金 断熱材や窓等を用いた断熱改修 最大120万円
地域型住宅グリーン化事業 改修の場合にはゼロエネ住宅のみ 最大165万円
ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 ゼロ・エネルギー・ハウスへ改修 70万円+α
エネファーム・家庭燃料電池システム支援事業 「エネファーム」を導入する場合 12万円+α
長期優良リフォーム補助金 地震に強い・省エネ住宅への改修 最大300万円

その他各地方公共団体で助成を受けられる場合があります。
(ご参考)一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会:http://www.j-reform.com/reform-support/

リノベーションとその他の物件を比較


それでは中古住宅をリノベーションするメリットは何なのでしょうか。新築マンションや注文住宅と比較してみましょう。

新築マンションとの比較

新築マンションを購入したいと思っていても、価格は高く希望する間取りや設備等の条件が合致しないこともあります。中古マンションを安く購入してリノベーションすれば、間取りや設備などにこだわった自分の好みの住まいを実現することができます。

戸建てリノベーションと注文住宅、建売住宅の比較

注文住宅を購入すれば、自分の希望する住まいは実現することはできますが、住宅の価格は高くなりなす。また建て売り住宅では価格は安いですが、自分のライフスタイルに合致した住宅を探すことは難しいでしょう。

リノベーションはおトクなのか?

それでは果たしてリノベーションはおトクなのでしょうか?2017年の首都圏の新築マンションの平均価格は不動産経済研究所によれば5,921万円となっています。一方の中古マンションの平均価格は公益財団法人東日本流通機構によれば3,195万円となっています。中古マンションを購入して、1,000万円をかけてリノベーションをすれば、新築マンションよりかなり安い価格で希望の住まいを実現できることになります。
出典:(不動産経済研究所)https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/322/sf2017.pdf
出典:(公益財団法人東日本流通機構)http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2017.pdf

優良業者を見分ける8つのポイント


リノベーションの工事価格がいくら安くても、欠陥があったり希望する住宅を実現できないのでは何のためのリノベーションなのかわかりません。リノベーションをすることによりライフスタイルに合った住まいを、安い費用で手に入れたいものですね。この記事の最後に優良なリノベーション会社を見分けるポイントについて解説を致します。

事例が豊富にある

リノベーションを多く手掛けてきた会社であれば、間取りや設備・内装など事例を豊富に持っています。多くの施工例を参考にして、きっと貴方の望む住まいを実現してくれることでしょう。

工事内容や費用の内訳を詳しく説明してくれる

リノベーションの費用は工事の内容によって大きく違いますので、費用の内訳や明細を出し説明してくれる会社を選択することが大事です。さもないと、どの部分にいくらかかりどのような工事がなされたか知ることはできず、後でどんな欠陥が出てこないとも限りません。

工事期間中の騒音やにおいによる近隣への影響に配慮している

リノベーションの施工主は、完成すればその住宅に住むことになり、近隣との付き合いが始まります。入居前とはいえ、工事で発生する騒音や臭いについて近隣に気遣いをしてくれるのは、リノベーション会社を選ぶ上でのポイントになります。

工期が延びる場合の補償がしっかりしている

工期については、施工会社が前もって提示してくれます。しかし大きな災害が起きたり、事故のためなどで、工事の日程が大幅に延びる場合もあります。その為思わぬ出費がかかることもありますので、あらかじめ工期が遅れた場合の補償について、施工会社と取り決めをしておくことが必要です。

相談や打ち合わせに丁寧に対応してくれる

リノベーションははじめて行う方がほとんどであり、工事に不明や不安な点を持つ場合が多くあります。その場合顧客の抱く疑問点について、ひとつひとつ丁寧に答えてくれる施工会社を選ぶようにしましょう。わからない点についてそのままにしておくと、後で後悔することも起こりかねません。

アフターフォローが充実している

住宅というものは長い期間住むものですので、その間に欠陥が出ないとは限りません。工事が終わっても定期的な検査をしてくれたり、ちょっとした欠陥でもすぐに対応してくれる会社を選びましょう。こまめに修繕をすることで、住宅は長持ちさせることができます。工事内容について保証書を発行してくれたり、24時間対応してくれる会社なら安心して任せることができます。

口コミが良い

ネットにはリノベーション会社の口コミが多く載っています。ネットの口コミやリノベーションをした人の評判などを聞くことができれば、信頼できる会社かどうか判断することができるでしょう。

トラブルの際に誰がどのように対応するか明確

リノベーション工事でトラブルが起きた場合に、誰がどのように対応するのか明確化されていることも大事なことです。さもないとたらい回しにされ、対応が遅れてしまう可能性もあります。

まとめ


リノベーション住宅は注文住宅と比べると、安い費用で自分のライフスタイルにあった住まいを実現できる可能性があります。しかしあらかじめ完成した住宅を見ることができませんので、頭に描いていた姿になるかどうか不安もつきまとうと思います。リノベーションをしようと思う方は、この記事ぜひ参考にしていただき、憧れの住まいを手に入れてください。