不動産投資は、株などの投資と比べると成功する確率が高いと言われます。なぜなら不動産の対象は現物であり、毎月決まった家賃収入があるからです。しかし不動産経営の基本を知っておかないと、思わぬ失敗をすることになります。この記事では不動産投資を成功させるための必要な条件とリスクについて解説をします。初めて不動産投資を行う方、これから始めてみたいとお考えの方はぜひご参考にして下さい。

不動産投資を成功させるための必要条件

物件選びは5つの視点で検証する

不動産投資で最も大事なのは、「どのようにしたら利益が出る物件を選べるのか」です。5つの視点に立って順にご説明をします。

立地

不動産投資を始める場合に重要なのは、立地条件です。投資をしようとする物件が、人気の高い街であれば空室のリスクは低く、たとえ退去する人がいてもすぐに埋まることでしょう。また、今は人気がない街でも、将来街が発展し人気が出る可能性が高ければ、不動産投資を行う価値はあると言えるでしょう。そして、将来出口戦略を考えなければならない時期が来ても、立地が良ければ不動産を高値で売却することが可能です。

建物の構造と築年数

どんな建物でも耐用年数があり、それは建物の構造によって変わってきます。法定耐用年数は木造住宅で22年・鉄骨造住宅は34年・RC造住宅で47年となっています。実際の耐用年数は同じではありませんが、アパートやマンションは築年数を経ると汚れや痛みがひどくなり、リフォームやリノベーションをしなければ、空室率が高くなる場合があります。建築物の修繕をするためには、高額の費用が掛かりますので、利益が得ることが難しくなります。それを踏まえると、築年数があまり経っていない物件を購入することが、重要なポイントになります。

建物用途(店舗、住宅、オフィスビル)

近年アパートやマンションの売り出し価格が上昇しており、購入しづらく利益を得にくい状況となっています。そのため、相対的に店舗やオフィスの利回りの方が、一般的に利益を出しやすくなっています。しかし、店舗やオフィスは住居用の物件と比べると、景気の動向にも左右され、空室リスクは高くなります。いきなり店舗やオフィスの投資を始めるのは初心者には難しいため、アパートやマンションの経営から始めるのが良いでしょう。

市場の需給バランス

不動産投資をするには、市場の需要と供給、買い手と売り手のバランスがとれていることが大事です。このバランスが崩れると、マンションやアパートを購入したいけれど買えない、或いは逆に売却する時に売りたいけれど売れないということが起こり得ます。アパートやマンションへの投資を行う際には、市場の需給バランスを考えて行う必要があります。

融資条件

不動産経営を行う時には、不動産投資ローンを利用するのが一般的です。利用する金融機関には銀行とノンバンクがありますが、それぞれ特徴があります。銀行はノンバンクと比べると融資条件は厳しく融資までの時間はかかりますが、利率は低い場合が多いです。ノンバンクの融資条件は、緩やかで融資までの時間は短いですが、利率は高めになります。どちらを利用するかは、申し込む人の資産状況や属性などにより決めることになります。

長期保有によるインカムゲインで収益を確保する

不動産投資で利益を得ようとするならば、毎月の家賃収入を第一に考えることが大事です。その為には上記に述べた物件の立地や建物の築年数を考慮し、空室が極力発生しないようにしなければなりません。購入してから短期間で物件を売却し、キャピタルゲインを得ようとする投資手法は、リスクが高いので避けたほうが良いでしょう。

建物が古くなる前に売却して物件を入れ替える

アパートやマンションは古くなると汚れ・傷みが激しくなり、そのままにしておくと入居者は敬遠し空室が増えることになります。空室を減らすためには、リフォームやリノベーションが必要ですが、メンテナンス費用がかさみ利益が出にくくなってしまいます。安定した利益を得る為には、物件が古くなり空室率が高くなる前に売却し、新しい魅力的な物件に入れ替えることが必要になります。

不動産投資を成功させるための3つのリスクに対する備え

不動産経営は現物が対象ですので比較的安全とは言え、投資ですのでリスクはあります。リスクに対する備えを十分にしておかなければ、不動産投資で成功することはできないでしょう。

災害による建物損壊のリスクへの備え

どこに住んでいても地震や台風・火災などの災害が起こり、建物が損壊するリスクがあります。特に1981年以前に作られたアパートやマンションは、新耐震基準を満たしていない場合がありますので注意しなければなりません。自然の力は強大であり災害が起きてしまっては、多大な損失を被ることになります。災害リスクに備えるためには、地震保険とセットになった火災保険に加入することが必要です。ただし、地震保険でも全損の場合は100%の保険金が支払われますが、大半損では60%、小半損では30%しか支払われません。そのため、あらかじめ日頃から自己資金を充実させ、災害に対する備えをしておかなければなりません。

賃貸経営におけるリスクへの備え

不動産賃貸経営におけるリスクには空室リスクと家賃滞納リスクがあります。
空室リスクは不動産経営を行っていれば、必ず直面します。このリスクを軽減するためには、人口減少が少ない地域を選ぶべきです。人口減少が激しいエリアでは入居者が退去し空室になると、なかなか埋まらないことがあり得ます。空室が埋まらないと、家賃を下げ入居者を募ることになりかねず、経営状態を悪化させます。周辺に新築マンションやアパートが建設されれば、更に大きな影響を受けることになるでしょう。
また家賃の滞納リスクについては、自己資金を十分用意し余裕ある資金繰りを行うことにより軽減することができます。また入居者に「家賃保証サービス」へ加入してもらう方法、あるいは、貸主負担で加入することも1つのリスク対応としてあります。自己資金を十分用意しておかないと家賃滞納が起きた場合には、ローンの支払いができなくなってしまうようなこともあります。

銀行の金利上昇リスク

昨今は歴史的低金利の時代と言われ、変動金利を選択すると低い利率で融資を受けることができます。しかしいつ高金利の局面になるかわかりません。多額のローンを組んでしまうと金利上昇した場合に返済額が増え、金融機関への返済ができなくなる事態も起こり得るでしょう。金利上昇リスクを回避するためには、固定金利を選択し、複数の金融機関の中から、より低い金利で借りられるようにしましょう。

賃貸併用住宅で住宅ローンを使って投資を成功させる


アパートやマンションを経営する時には、一般的には不動産投資ローンを利用します。しかし物件が賃貸併用住宅である場合には、住宅ローンを活用することができます。それでは次に賃貸併用住宅の融資条件とそのメリットについて解説をいたします。

賃貸併用住宅としての融資条件

賃貸併用住宅として融資を受けるためには下記のような条件を満たす必要があります。

自宅の床面積

建物のうち自宅部分の割合が50%以上あることが必要です。

年齢

借り入れるときの年齢が満20歳以上70歳未満で、完済時の年齢が満80歳未満までとするのが一般的です。

収入

安定した収入があることを条件とする金融機関が多いようです。

賃貸併用住宅のメリット

それでは賃貸併用住宅にするメリットは、どのようなものがあるでしょうか。

建物の管理がしやすい

自宅から離れた場所でマンションやアパートを経営する場合には物件の管理会社に委託するのが一般的です。しかし賃貸併用住宅であれば、貸主が直接管理することができ、管理費を削減することが可能です。

節税効果が期待できる

賃貸併用住宅であれば、土地は「貸家建付地」となり相続税評価額が下がり、「小規模宅地等の評価額の特例」が適用されれば、さらに評価額の減額が可能になります。
また賃貸併用住宅のローン残高があれば、「債務控除」として、相続税評価を大きく減少することが可能になります。
固定資産税については更地と比べ200㎡までの土地は1/6に減額され、200㎡以上の部分については1/3に軽減されます。

住宅ローンを利用するメリット

それでは不動産担保ローンなどと比べて、住宅ローンを利用するメリットは何があるでしょうか。

家賃収入で借入金を返済できる

家賃収入により、自宅部分を含む賃貸併用住宅ローンの返済を楽にすることができます。

融資を受けやすい

不動産投資ローンの審査は厳しく、個人の属性だけでなく物件の価値や収益性も対象になります。住宅ローンは、年収や勤めている企業などの個人の属性が対象となりますので、審査基準が緩やかです。

金利が低い

不動産投資ローンを利用する場合には2~4%程度の金利が多いですが、住宅ローンの場合には0.7~0.8%程度と低い金利で利用できる可能性があります。

住宅ローン減税を利用できる

住宅ローン組むことができれば住宅ローン減税を利用でき、年末時点のローン残高に対して所得税、住民税が10年間1%が還付されます。

賃貸併用住宅のデメリット

入居者とトラブルになる場合もある

貸主と入居者が同じ屋根の下で暮らしますので、人間関係がうまくいかない場合には大きな問題に発展することもあり得ます。

賃貸併用住宅に向いていない立地の場合がある

オーナー本人が居住することも目的としていますので、賃貸に向いていいない立地の場合があります。その場合には入居者がなかなか現れないこともあり得ます。

最後に


この記事では不動産投資を成功させるための条件と、どのようなリスクに備えたらよいのかと言うことについて解説をいたしました。不動産投資は経営でもありますので、環境の変化にダイナミックに対応していかねばなりません。不動産投資に成功するためには、常日頃から不動産経営について勉強をしておくことも重要なことです。