US-REIT(リート)ファンドとは、米国の不動産投資信託(米国リート)を主な投資対象とする不動産投資信託(ファンドのことです。REITの正式名称は、Real Estate Investment Trustで、不動産の賃料収入や売却益などを投資家に分配する金融商品です。US-REIT(リート)ファンドの基礎的な知識と、メリットやデメリットについて解説します。

US-REIT(リート)ファンドの基礎知識

US-REIT(リート)ファンドは複数のREITを組み合わせた投資商品です。商品の特徴について説明します。

アメリカの不動産投資信託証券

不動産投資をするためには多額の投資資金が必要です。しかし、不動産をまとめて(信託して)証券化して、それを小口に分けて販売することで小額からの投資が可能になります。REITで調達した資金で、新たに物件を購入しREITに組み込むことで、さらなる成長を見込むことが可能です。

アメリカの投資信託市場は、景気動向の不透明さなどから運用成績が低迷しています。しかし、その中でも安定して収益を見込めるREITに対しては、資金流入が続いています。現在では、REITが米投信市場のけん引役となっているような状況です。

不動産投資信託証券とは?

不動産投資信託証券の仕組みについて説明します。住居やオフィス、商業施設に投資をして、その不動産を資産とする法人を設立するか信託を組成します。

投資した不動産から発生する賃料などを配当金とする小口証券を発行し、投資家を募ります。この証券を不動産投資信託証券と言います。

不動産そのものを保有するのではなく、不動産投資信託証券を保有することで、持分(保有している証券)に応じた不動産オーナーとしての権利を享受できます。また、対象の不動産に居住したりすることは難しいと考えられますが(権利保有者全員からの同意が必要など、大変な手間がかかるため)、証券であれば、手軽に売買をすることも可能です。

US-REIT(リート)ファンドのメリット

数多くの投資商品がある中で、US-REIT(リート)ファンドへの投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

少額で投資する事ができる

不動産への投資は、一般的には、多くの資金が必要となります。大規模マンションやオフィスビルなどであれば、数億から数十億円規模の資金を用意しなければいけないかもしれません。個人でこのような巨額の資金を準備して、不動産を購入することは相当難しいと言わざるを得ません。

しかし、US-REIT(リート)ファンドの場合であれば、小口に証券化されていますので、個人でも十分に手が届くような価格で投資することが可能です。小額で投資することができることは、US-REIT(リート)ファンドの大きなメリットです。

運用は不動産のプロが行う点

複数のREITを対象としているUS-REIT(リート)ファンドは、不動産運用のプロが運用しています。金融機関などで金融の経験や知識を有しており、しかも不動産に関するスキルも十分な専門家が運用していることで、基本的には、安心して運用を任せることができます。

投資先を複数に分散する事ができる

投資対象を1つに絞ることは運用のリスクを高めます。そもそもREITそのものが複数の物件に対する投資を行っていることが多いのですが、複数のREITをまとめて運用するUS-REIT(リート)ファンドでは、さらに分散効果を高めています。

NISA・ジュニアNISAの対象商品である商品もある

株や投資信託などで得られた利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA(少額投資非課税制度)を利用すると、税金が優遇されます。NISAでは、120万円/年の非課税投資枠が設定されて、株式や投資信託などの譲渡益や配当益などが非課税対象となるのです。

また、未成年(0歳~19歳)であれば、80万円分/円の非課税投資枠が設定されますが、この制度をジュニアNISAと言います。US-REIT(リート)ファンドの商品の中には、NISA・ジュニアNISAの制度を使えるものもありますので、上手に利用しましょう。

配当率が高い

課税所得の90%以上を投資家へ分配するなど要件を満たせば、REIT(リート)の段階では課税されません。投資家段階での課税のみで済み、分配金を利益の90%以上としているため、分配金の配当率が高いという特徴もあります。投資家への分配金の課税も特別分配金には課税されません。

US-REIT(リート)ファンドのデメリット

比較的安定して運用されていると言われるUS-REIT(リート)ファンドですが、以下のようなデメリットがあることには注意が必要です。

金利の変動の影響を受けると分配金が変動する可能性がある

金利が変動するとUS-REIT(リート)ファンドの分配金が変動する場合があります。例えば、金利が上昇するとコスト削減のためにもっと安い賃料の物件に引っ越す人が増え、想定していた賃料を確保できない場合があり得ます。

反対に、金利が低くなると賃貸物件を借りる人が減り自己資金で不動産を購入する人が増えて、予想していた賃料が入ってこない場合が考えられます。金利の変動によっては、分配金の増減どちらの影響も考えられますが、どちらにしても分配金に影響を及ぼす可能性があります。

投資物件の価値が下がると分配金が変動する可能性がある

投資している物件の価値が下がると、賃料も下がることが一般的です。その場合には、分配金が減少する可能性があります。ただし、まれなケースではありますが、今まで賃料が高すぎて空室が目立っていたような物件であれば、賃料がこなれて入居者が増え、分配金が増加する可能性もあるかもしれません。

投資先が上場廃止になる可能性もある

REITは保有している不動産を資産としているため、比較的安定して運営されていると考えられていますが、中には破綻したり、上場廃止になるようなケースもあります。例えば、新規取得予定の不動産に対する資金調達ができずに破綻したケースもありますし、REITの合併により上場廃止になった銘柄もあります。

このようにREITは100%安全な投資対象ではありません。しかし、合併などによる上場廃止の場合は、原則として、合併先のREITに権利が引き継がれますので、合併条件などを確認してください。

為替の影響がある

US-REIT(リート)は、アメリカの不動産への投資となるので、為替の影響を受けます。商品の中には、為替リスクをヘッジする商品もありますが、ほとんどの場合、リスクヘッジに対してコストがかかります。

US-REIT(リート)ファンドおすすめの銘柄

US-REIT(リート)ファンドでおすすめの銘柄について、特徴を説明します。

US-REIT

US-REITは米国に上場しているREITに分散投資を行っています。マーケットの平均よりも高水準の配当益と値上がり益の確保を目指しています。インベスコ・アドバイザーズが運用指図を行い、毎月5日に決算が実施されます。

【出典】アセットマネジメントONE「新光新光 US-REIT オープン(愛称:ゼウス)」
http://www.am-one.co.jp/fund/summary/118224/

フィデリティ・USリート・ファンドB

フィデリティ・USリート・ファンドBは、米国に上場しているREITを対象に投資しています。長期的に潜在的な成長性が高いと思われるREITを中心に、セクター(住居、オフィス、商業施設など)や地域などの分散投資を踏まえて、ポートフォリオを組成しています。運用指図は、フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニーが行い、毎月15日が決算です。

【出典】フィデリティ証券「フィデリティ・USリート・ファンドB」
https://www.fidelity.jp/fskk/fund-guide/fund-info.page?fundAssociationId=3231203C

楽天USリート・トリプルエンジン

楽天USリート・トリプルエンジンの主な投資対象は、米国のREIT指数に連動する米国リートETF(上場投資信託)などです。米国リートETFの配当金に加えて、為替益も狙う積極運用を目標にしています。楽天投信投資顧問が運用指図を実施しており、毎月17日が決算です。

【出典】楽天投信投資顧問「楽天USリート・トリプルエンジン」
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/riter/

まとめ

以上のように、US-REIT(リート)ファンドには様々な種類があり、運用状況も適時適切に入手できるようになっています。分配金が変動してしまう可能性はありますが、プロによる運用を小額から楽しめる商品なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

監修:吉野 裕一(ファイナンシャルプランナー)