一戸建て住宅を購入するのであれば、やはり、ご自身の理想に出来るだけ近い住宅を見つけたいという方が多いと思います。ただ、住宅は一生に一度の大きな買い物と言われるくらいですから、しっかり調べてから買いたいと思う反面、住宅の違いがよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、注文住宅と建売住宅の比較と、注文住宅のメリット、デメリットをまとめましたので、すでに注文住宅、建売住宅のどちらかに決めているという人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

注文住宅とは?

そもそも注文住宅とは、どういった種類があるのでしょうか?

注文住宅というのは、その名の通り、ご自身の希望を伝えて、それに沿って住宅を建てる事ができるシステムです。その為、間取りや部屋数などはもちろん、外観や設備なども、ご自身の希望を注文する事によって、希望通り建てていく事ができます。

フルオーダー住宅

フルオーダー住宅とは、建築家に詳しく希望を伝える事で、細部まで希望通りの家を設計してもらえます。その分、打ち合わせや設計・施工に、通常よりも多く時間や費用がかかります。

ハウスメーカーによっては建築できる内容に制限がある場合があるので、一般的に言われている注文住宅というのは、フルオーダー注文だけでなく、セミオーダー住宅も含められていると考えると良いでしょう。

セミオーダー住宅

セミオーダー住宅とは、家のデザインや、間取りなど、ある程度は希望通りに建てる事ができます。

しかし、建物内の設備品や、建築構造など、ある程度規定があり、すべてを自由に選ぶ事はできません。例えば、水回りにこだわりがあったとしても、キッチンやバスルームの設備は、決められた製品から選ぶ必要があるなどがあります。

フルオーダー住宅に比べると、ある程度、商品のラインナップを規格化する事によって、費用を抑えることができ、その分、土地代など別の部分に充てる事もできるので、セミオーダー住宅を選ばれる方も多いです。

注文住宅の7つのメリット

それでは、人気の注文住宅のメリットを見ていきましょう。

自由に変更ができる

注文住宅のメリットとして、建物の構造や間取り、内装までをご自身の希望通りにできるという事があります。

理想のマイホーム生活をスタートするにあたって、住宅の着工前から竣工、完成までの過程を細かくチェックすることができますし、まさに、「自分だけの家」という満足感や達成感を得る事ができるでしょう。

予算を自分で決められる

建売住宅であれば、すでに完成して値段がついているので、物件ありきで予算を準備しなくてはなりません。一方、注文住宅の場合は、ご自身の予算を把握した上で、その範囲に収まるように取捨選択をしながら希望の住宅にできるというメリットがあります。

施工会社を自分で選べる

住宅を購入するというのは、人生の中でも大きな買い物の1つです。

近所にある工務店にお願いするという方も多いですが、やはり信頼でき、理想に近い家の施工実績がある大手の会社に依頼したいという方も多いでしょう。注文住宅の場合は、ご自身で施工会社を選ぶ事ができるので、これも魅力の1つですね。

建築現場を自分で確認できる

建売住宅や中古住宅の場合は、すでに建物が完成している為、外観や内装は見る事ができても、建築現場や、更地の土地を見られない状態で購入せざるを得ない場合が多いです。一方、注文住宅の場合は、土地探しからスタートする場合も多いので、立地や建物の基礎工事の段階から、1つずつ工程を確認できるという安心感がありますね。

資産価値が高い

注文住宅は、同じ間取りや条件の近い建売住宅に比べて、長期的に資産価値が高くなる傾向にあります。建売住宅の場合、近隣に同じ条件の建物がある場合も多いですし、エリアは違っても、住宅メーカーの設計コスト削減のため、同じ設計図でつくられた、同様の住宅がでてきます。それに対して、注文住宅はまさに一点物ですので、高い資産価値がつけられている住宅が多いのです。

将来増改築しやすい

子供が増えた時や、将来的に両親と同居するなど、増改築をする可能性がある場合には、注文住宅だと、増改築を前提に建築することもできます。

自分が決めた予算で自分の理想の家を建てられる

注文住宅というと、費用が高くなるというイメージが強いですが、実は、逆の考え方もできます。設備にあまり強いこだわりが無い場合など、シンプルな住宅にすることでコストダウンも可能です。つまり、どのような住まいが欲しいのかを考える事ができ、無駄なく希望の住宅が建てられるのです。

注文住宅のデメリット5選

続いて、注文住宅のデメリットも確認していきましょう。

入居までの期間が長い

注文住宅の場合は土地探し、住宅の間取り作成など、建売住宅と比べて工程が長く、多くの時間を割く必要があります。その為、子供が小学校に入るまでに欲しいなど、期限に制限がある場合は、時間に余裕よもって進めていく必要があります。

予算をオーバーする計画になりがち

希望の家に近付けていく為に、設計の変更や、設備の追加など、予定外の費用が発生しやすいです。その為、当初よりも費用がかかってしまい、予算オーバーになってしまうことも多いです。

完成をイメージしづらい

注文住宅の場合、更地から建築していく事になる為、建ててみたら、思ったより眺望が良くなかった、想像していたより圧迫感がある、実際には使いにくい間取りだったなど、イメージとのズレが生じてしまうこともあります。建売住宅ですと、更地からの建てる場合もありますが、一般的には完成している住宅をしっかり見てから購入できる為、そういったトラブルは少ないのですが、注文住宅の場合、事前に入念な打ち合わせが必要ですね。

建売住宅より比較的価格が高い

建売住宅は、外装や設備などをパッケージ化し、規定通りに大量生産することでコストを下げています。一方、注文住宅の場合は、ご自身の好みを組み合わせていく訳ですから、個別に設備や資材を発注するため単価は高くなりがちなので、割高に感じてしまうこともあるでしょう。

注文住宅のオーダーから引き渡しまでの流れ

それでは、注文住宅をオーダーしてから、引き渡しまでの流れを確認していきましょう。

土地の購入〜完成までの期間

注文住宅において、土地から購入する場合は、完成までのスケジュールとして、1年〜1年半ほどかかるのが一般的です。

すでに購入を決めている土地がある場合は早いですが、候補の土地が無い状態からだと、土地の選定についてもじっくりと進めることも多く、購入できるまで、相当な時間がかかりますので、早めに進めていく必要があるでしょう。

自分の家のイメージを作る

土地が決まったら、そこに建てる理想の家のイメージを固めていきます。資金計画はもちろん、希望の家の間取りを考えたり、依頼するハウスメーカーを数社ピックアップするなどしていきます。

予算を決める

家のイメージを作りながら、大切になるのは予算を決めていくことです。理想を全て盛り込もうとすると、後で予算が足りなくなって着工できないという事態にもなりかねません。概算の見積もりを作成していきながら、土地と建物にいくらかけるのか、そして、その金額は住宅ローンも含めて調達、返済計画が現実的かなどを確認していきます。

土地を決める

家のイメージと予算が決まったら、次は土地を決めていきます。やはり、土地が確定しなければ、しっかりとした建築図面を作成していくことができません。理想的なプランは出来たが、それを建てる土地を何ヵ月も探し続けるという事も起きてしまいます。希望に見合う土地が見つかったら、その土地に合わせてプランを調整していく事も必要になるでしょう。

施工会社を決める

施工会社を決めるのも大事なポイントです。大手のハウスメーカーや地元の工務店、設計事務所など選択肢は豊富ですので、住宅展示場などを見ながら、自分のイメージする希望の住宅はどこに依頼するべきか決めていきましょう。

敷地調査と地盤調査

施工会社が決まったら、希望の土地の敷地と地盤の調査をしていきます。その土地にイメージした家を建築できるかどうか、確認していく必要があります。土地の方位、大きさ、形状といった土地自体の調査、近隣環境や電気・ガス・上下水道などのライフラインの調査、また、希望の家を建てて問題ないかの各種法的制限の確認などをしていきます。

建物の設計をする

ここからは注文住宅の醍醐味である、建てたい家を具体的に決めていきます。せっかく注文住宅で建てるのですから、どんな生活を送りたいか、しっかり考えていきましょう。例えば、日当たりの良い間取りにしたいとか、キッチン、水回りを広くしたいとか、希望に優先順位をつけた上で、施工会社に相談し、設計をしていきましょう。

建築請負契約をする

希望する施工会社が決まったら、建物を建ててもらう為の、請負契約を締結していきます。工事請負契約書に加えて、その工事に必要な見積書と建物の設計図書を、それぞれきちんと確認をして契約を進めていきましょう。

建築確認申請をする

建築をスタートする前に、法令に適した建物であるか、役所のチェックを受ける必要があります。通常は施工会社が手続きしてくれます。建築基準法などに適合しているかを調査してもらい、確認済証の交付を受けた上で、建築工事の着工となります。

施工

建築確認が済んだら工事スタートになります。注文住宅だと、種類によって期間に幅はありますが、目安として3~6ヵ月ほど必要になります。雨や台風が多い時期の場合、作業が遅れてしまう事もあるので、建築する季節によっては施工期間への配慮も必要です。

引き渡し後入居

家が完成した後は、住宅の引き渡しをして入居となります。完成した建物を確認した上でカギの引渡しとなり、引っ越しをして新生活がスタートします。

建売住宅と注文住宅の比較

最後に、建売住宅と注文住宅を簡単に比較して確認しておきましょう。

建売住宅とは

建売住宅は、一部建築前の物件もありますが、基本的には、土地と建物がセットになって販売されている為、建物は購入者が決まる前に、メーカーが設計、建築をしている住宅になります。同仕様の家を建てていく為、コストを抑えて建築できるので、低コストで購入できるというメリットがあります。

自由度の違い

建売住宅は、一部オプションにて変更プランを売りにしているハウスメーカーもありますが、基本的には建物が未完成であっても、間取りなどが決まっている為、自由度としては低いです。一方、注文住宅は土地を購入してから建てていくので、外観や間取りなど、ほぼ希望通りにつくることができます。

仕上がりイメージの違い

建売住宅の場合、どんな世帯にも対応しやすいように使い勝手の良い間取りにしている場合が多く、すでに完成済みの場合は物件の中を見てから決められることもあります。注文住宅の場合は、モデルハウスや、完成時のシミュレーションをパソコンで確認させてくれてりもしますがあくまでも創造の範囲でしかないため入念な打ち合わせが必要になります。

コストの違い

一般的には、建売住宅の方がコストを抑えることができ、注文住宅の方が高くなる傾向にあります。もちろん、注文住宅でも、できるだけ費用を抑えたシンプルな建物を依頼すれば、費用を減らす事もできます。

プロセスの違い

建売住宅の場合、基本的には完成間近の住宅を見て購入するので手間は少ないです。注文住宅は更地の状態からスタートになるので、基礎工事の段階からチェックしていくことも可能です。建売住宅と注文住宅の比較表を参考 に、ご希望に合うプランを考えてみてくださいね。

住宅の種類 コスト(坪単価) プロセス(工期) 自由度
建売住宅 安い(約80~100万) 早い(約3~4ヵ月) 低い
セミオーダー住宅 普通(約80~120万) 普通(約4~5ヵ月) 普通
フルオーダー住宅 高い(約100~140万) 遅い(約4~6ヵ月) 高い

 

※坪単価は購入費として別途工事費、諸経費、土地取得費用、消費税なども含む
※埼玉県、30坪の土地での建築を想定

参考:住宅金融支援機構フラット35利用者調査
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_flat35.html

最後に

いかがでしたでしょうか?今回は、建売住宅と注文住宅についてまとめていきました。どちらの方が良い、悪いというよりは、ご自身の住宅に対しての優先順位を明確にして、価格重視なのか、品質重視なのかなど、目的に合った方法を選ぶのが良いでしょう。ぜひ、ご自身に合った家を選んで、充実した新生活を送ってくださいね。坪単価、工期などは、エリアや物件によって大きく異なってきます。