新居を探しているとき、新しい環境のことを考えるとワクワクする方も多いのではないでしょうか。周りにどのようなお店があるかを調べていると、楽しくてあっという間に時間が経過してしまいますよね。しかし賃貸を契約する時には、正しい手順と把握しておくべき契約内容があります。そこで今回は、賃貸借契約時の注意点を解説していきたいと思います。契約時にはいくつかの要チェックポイントがあるので、しっかりと理解しておきましょう。

賃貸借契約時の流れ

賃貸物件を借りる場合、借りるまでには正式な手順があります。この手順を知らずに契約を進めようとすると、意外なところで契約に躓いてしまうことがあります。自分は大丈夫だと思っていても、意外と躓いてしまうのがこれらの小さな落とし穴。契約時に躓かないためにも手順をよく理解しておきましょう。

物件を決定する

新居に住む為には、まずは物件を決定しなければいけません。希望の路線、駅からの距離、家賃、間取りや設備を吟味して、住宅情報サイトなどで自分の希望の物件に最も近い部屋を探しましょう。ただし資料だけを見て物件を決定するのは危険です。資料と実際の部屋が大きく異なる可能性もあるので、物件を決定するときには、可能な限り不動産会社に問い合わせをし、物件の内覧へ行かれることをおすすめします。

不動産会社に申し込みをする

物件が決定したら、次は不動産会社に契約の申し込みをする必要があります。契約の申し込みを不動産会社に行うと、不動産会社から貸主に連絡がいく流れになっています。この時の注意点としては、契約は貸主が受理した順番に決まるということです。同じ物件でも複数の不動産会社に広告を出している場合が多いので、繁忙期には不動産会社に申込書を提出したけれど、すでに契約が決まっていたということもあります。ですから、契約したい物件がある場合は、早めに不動産会社に申し込みをしましょう。

入居審査

不動産会社に申込書を提出したらすぐに入居が決定するわけではなく、物件によっては保証会社の審査があります。保証会社の審査では過去の賃貸物件の支払履歴や、ご自身や連帯保証人、勤務先など様々な要素を確認され、支払い能力があると判断された場合のみ、審査を通過することができます。また入居審査には収入証明書、住民票、保証人承諾書(※管理会社がいる場合は不必要)等が必要になるので、事前に準備しておくとスムーズに審査に進むことができます。

契約金を振り込む

入居審査を通過すると、契約金の振込を行う必要があります。この時に初期費用といわれる敷金や礼金、仲介手数料が必要になるので用意しておきましょう。また先に申込金を振り込んでいた場合は、契約金から申込金を差し引いた金額を振り込むことになります。

重要事項説明

物件を契約するためには、重要事項説明に同意しなければいけません。重要事項説明とは不動産会社が入居者に説明する契約内容で、主に入居の条件に関しての事柄になります。重要事項説明書は文字数が多いので面倒だと感じる方も多いと思いますが、入居者にとって不利になる情報が記載されている可能性もあるので、必ず最後まで読むようにしましょう。

賃貸借契約

物件の契約には、賃貸借契約にも同意する必要があります。賃貸借契約とは入居者と貸主の間の契約で、主に解約や退去、更新料などについての内容になります。賃貸借契約書も重要事項説明書と同様に、入居者の不利になる情報が書かれている可能性があるので、最後まで確認する必要があります。

物件の引き渡しを受ける

上記が全て完了したら、あとは物件の引き渡しを受けるだけです。物件の引き渡しは、入居日か入居日前日に鍵を不動産会社から渡してもらうことが一般的です。基本的に引越しは物件の引き渡しを受けてからしかできないので、引き渡しと引越しの時間に余裕を持たせると、スムーズに引越しを行うことができるようになります。また新居への入居と、旧住居への解約告知の時期がずれると、余計な費用が発生するので、可能なかぎり近い日程に設定しましょう。

引越しをする

引越しと聞くと旧住居からの荷物運びだけを想像されるかもしれませんが、引越しには以下のような手続きも必要になります。

  • 転出・転入届けの提出
  • 運転免許証の住居更新
  • 郵便局への転送手続き
  • 電気・ガス・水道の契約
  • 旧住居の引き渡し など

新居のライフライン関連や、役所への転出・転入届けの提出など様々な手続きが必要になります。特にガスは現地での立会が必要になるので、引き渡しの当日に立会いを予約しておきましょう。

賃貸借契約書と重要事項説明書

賃貸物件の契約時には、前述のとおり賃貸借契約書と重要事項説明書に合意する必要があります。どちらも契約をする上では重要な書類になりますが、両者の違いとはなんでしょうか。

賃貸借契約書

賃貸借契約書とは貸主と入居者との契約書で、主に解約や更新料、退去時の負担に関して記載されている契約書になります。そのため賃貸借契約書を読まずに契約してしまうと、予想外の出費が発生したり、契約期間満了後に強制的に退去させられる可能性もあります。専門的な内容なので少し大変かもしませんが、自分を守ることにつながるので、最後まで確認するようにしましょう。

重要事項説明書

重要事項説明書とは宅地建物取引士が説明しなければいけない契約書で、不動産会社と入居者間で部屋の内容や条件を確認する説明書です。重要事項説明書で特に注意するポイントが特約で、入居者に必要以上の負担を求めている内容が記載されていることもあります。特約に記載されていることを理解せずに合意してしまうと、後々揉める可能性があるのでしっかりと読み込んでおきましょう。また、口頭で追加された内容などは文書にしてもらうように要請するなど、事前にトラブル防止策をとっておくことも大切です。

契約時に必要な書類

物件の契約時にはいくつか必要な書類あります。書類を集めるのが遅くなってしまうと、貸主によっては別の入居者に変更しようとする場合もあるので、物件を探すことと並行して書類を集めるようにしましょう。

印鑑証明書

契約時には印鑑証明書が必要になります。印鑑証明は旧住所の役所で登録しておく必要があり、登録に数日要する場合もあるので事前に登録しておきましょう。

住民票

契約時には住民票が必要になります。なかには入居者全員の情報が記載されている住民票が求められる場合もあるので、住民票を取得する前に不動産会社に必要事項を確認しておきましょう。また住民票は発行からの有効期間が定められている場合が多く、古い住民票は使用できない可能性があるので、こちらも不動産会社に事前に確認しておきましょう。

収入を証明する書類

契約には収入証明書が必要になります。一般的には会社員は源泉徴収票、自営業の方は納税証明書を収入証明書として提出することができます。これは支払い能力があるかどうかを判定するために必要な書類なので、先に取得しておくことをおすすめします。

連帯保証人の承諾書など

連帯保証人の承諾書も契約には必要になります(※保証会社を利用する場合は不要)。連帯保証人が遠方に住んでいる場合は承諾書を提出してもらうまでに時間がかかるので、先に保証人に承諾書を送付しておくと契約がスムーズに進みます。また中には連帯保証人の収入証明書の提出を求める保証会社もあるので、事前に確認しておく必要があります。

契約時に確認するべきポイント

最後に契約時に確認するべきポイントを紹介していきたいと思います。契約書に合意した後に、不利な契約を結んでいることに気がついても契約を破棄することはできません。後々後悔しないためにも、今から確認するべきポイントを抑えておきましょう。

契約期間

契約期間は一般的に2年間とされていますが、なかには1年や3年となっている物件もあります。通常、契約期間が満了すると更新か退去の2択になりますが、定期借家契約であった場合は大家の許可がなければ退去しなければいけません。そのため定期借家契約か普通借家契約なのか、定期借家契約の場合は何年で退去しなければいけないのかを事前に確認しておきましょう。

更新料

契約期間満了後に更新をする為には、更新料が必要になる場合があります。一般的には家賃の1ヶ月分と設定されていますが、地域や貸主によっては更新料が不要な物件もあるので、長期的に住むことを視野に入れている場合は確認しておきましょう。

更新料手数料

大家に支払う更新料とは別に、不動産会社に支払う更新手数料が必要な場合もあります。更新料と更新手数料が必要な場合は、一度に数ヶ月分の賃料を支払う必要もでてくるので、契約時に確認しておく必要があります。

保証料

契約するためには、保証会社に入ることを必須にしている物件もあります。保証会社へ支払う費用も物件によって大きく異なるので確認しておきましょう。

退去通知の期間

退去通知の期間も事前に把握しておく必要があります。仮に退去通知を2ヵ月前に行わなければいけない契約の場合、1ヵ月前に退去通知を出しても2ヵ月分の家賃を支払わなければいけません。必要のない出費を出さないためにも、退去通知の期間を把握しておきましょう。

短期解約の違約金の有無

短期解約をした場合でも、契約期間内であり、特に記載がなければ短期解約の違約金は発生しません。ただし礼金の免除や家賃の値下げの代わりに、短期解約の違約金を設定している物件もあるので注意が必要になります。

禁止事項

契約時には禁止事項を確認しましょう。禁止事項にはペットや楽器演奏の禁止が記載されていることが多く、事務所利用や複数人での利用が禁止されている場合もあります。禁止事項に違反した場合は、強制的に退去させられたり、違約金が発生するケースがあるので注意する必要があります。

付属設備

付属設備以外の設備は、基本的に入居者が用意する必要があります。例えば部屋の蛍光灯が付属設備に記載されていない場合は、新居に蛍光灯がない可能性があります。またこの場合、貸主に蛍光灯を用意する義務はないので、入居者後にご自身で揃えることになります。

原状回復の内容と範囲(修繕の負担)

契約書に記載されている原状回復の内容と範囲(修繕の負担)については、詳しく確認する必要があります。なかには本来貸主が負担する範囲も入居者負担になっている場合があるので、どこまでが入居者負担になっているのかを把握しておきましょう。

特約事項

契約書の特約事項には、基本的な原則に当てはまらない特別事項が記載されていることが多いので、必ず確認する必要があります。特に入居者の負担範囲に関しての事項が記載されていることが多いので、後々揉めないためにも契約時に確認しておきましょう。

最後に

いかがでしょうか。新居への引越しはワクワクして楽しい時間ですが、浮き足立って重要なことを見落としてしまうと、退去時に痛い思いをする可能性があります。特に賃貸借契約書と重要事項説明書は面倒だと感じる方も多いでしょうが、契約する上で非常に重要なことが記載されているので、必ず丁寧に確認しましょう。もしも契約書で理解できないことがあれば、 早めの段階で解消することをおすすめします。