住宅ローンを組む際に押さえておきたいのが「住宅ローン控除受けるための条件」ではないでしょうか。住宅は大きな買い物なので、税金などの優遇をしっかり受けたいものです。今回の記事では、住宅ローン控除の適用を受けるための条件についてご紹介します。

※2018年6月時点での法律に基づいた情報となっております。出典:国税庁 住宅借入金等特別控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

住宅ローン控除とはどんな制度なのか

住宅ローンの控除とは、住宅ローンの残高に応じて各年の所得税から控除することができる制度のことを言います。住宅購入を促進するために設けられている制度です。また、この制度は平成26年に実施された消費税の引き上げに伴う景気刺激策として、改正されています。

一定の期間住宅ローン残高の1%を所得税などから控除する

住宅ローンの残高に応じて所得税から控除しますが、その控除される金額は、平成26年1月1日から平成33年12月31日までは、住宅ローン残高に1%を掛けた金額が所得税から控除されます。また、所得税から控除するこができなかった分については、一部、住民税から控除されることになります。

新築住宅と中古住宅で条件が異なる

新築住宅か中古住宅かによって、それぞれ適用される条件が違います。新築の場合は自身の居住用かどうかや床面積などが条件になります。中古住宅の場合は、新築の適用条件にプラスして、築年数や耐震基準が住宅ローン控除を受ける条件を満たしているかどうかによって決められています。

認定住宅の場合には控除限度額が上がる

「認定住宅」と呼ばれる住宅を購入した場合には、さらに控除限度額が上がる特例があります。控除される金額は認定長期優良住宅への基準に要した費用の10%の金額になります。その控除金額は、原則として、その年の所得税から控除されることになります。

認定長期優良住宅の場合

認定長期優良住宅とは、長期間使用するための設備や構造があり、居住環境等などにも配慮がされていて、一定以上住宅の面積があり、維持保全のための期間・方法を定めている住宅のことをいいます。維持・保全の期間は30年以上に設定されているなど、長期間優良な住宅を維持・保全する必要があります。

認定低炭素住宅の場合

認定低炭素住宅とは、都市の二酸化炭素の排出を低く抑えた住宅のことを言います。設備や性能などで環境に配慮している住宅で、断熱性を高めたり、太陽光発電を利用するなどして、省エネ対策をする必要があります。また、水を節約する対策なども項目のなかに含まれています。

控除を受けられる期間が決まっている

住宅ローンの控除が適用されるのは、住宅を購入した年から10年間です。また、この制度が適用される期限は2021年の12月までと決められています。しかし、過去に2度、消費増税延期と併せて住宅ローン控除も延長されています。また、消費増税をしたことにより、景気の落ち込みを回避するために延長されました。今後も消費増税との政策に併せて、住宅ローン控除の制度も延長される可能性が考えられます。

すべての住宅ローンで利用できるわけではない

住宅ローン控除はすべての住宅購入の際に利用できるわけではありません。適用を受けるためには、いくつかの条件があります。住宅ローン控除の適用を受けたいと考えている人は、自分が購入する予定の住宅が適用条件に当てはまっているかを確認してみてください。

新築住宅で住宅ローン控除を受けるための条件


それでは、住宅ローン控除を受けるための条件を1つずつご紹介します。まずは、新築住宅を購入したときの適用条件は次の通りです。

自分の居住用であり、面積の広さなどの条件がある

まずは自分の居住用であることが前提となります。別荘などの購入費用や賃貸用の住宅は住宅ローン控除の適用は受けることができません。もちろん、会社などでのオフィス用の住宅も適用は受けることができません。また、床面積も一定の条件が決められています。購入予定の住宅の床面積が50㎡以上である必要があります。この50㎡という数字は登記簿に記載されている数字になります。

入居日とは引越日ではなく住民票異動日

この条件はうっかりミスをしてしまいがちなので、注意が必要になります。住宅ローン控除の適用のなかで「入居日」という言葉が出てきます。これは、「住宅ローン控除の適用を受けることになった日」という意味ですが、引越をした日ではなく、住民票を異動した日になります。特に年末から新年にかけて、年をまたぎそうなときに新築住宅の購入を考えている人は注意が必要になります。

住宅ローンの借入期間が10年以上

住宅ローンの借入期間が10年に満たない場合は適用されません。

勤務先や親族から低金利で融資を受けていないか

会社や身内から低金利での融資を受けているときも、住宅ローン控除は適用されません。ただし、妥当な金利で契約書などを作成していれば、住宅ローン控除の適用を受けられる場合もあります。個別の融資状況によって一概に判断ができないので、事前に確認しておく必要があります。

所得金額が3,000万円以内である

住宅ローン控除では、年間の所得金額が3,000万円という所得制限を設けています。「所得金額」というのは、年収ではありません。年収から経費などを控除した金額のことなので、年収が3,000万円以上の人でも住宅ローン控除の適用を受けることができる場合があるので、年収ではなく所得金額をきちんと把握する必要があります。

5年以内に課税特例の適用を受けていないか

この条件は、「買い替え」のときに発生します。つまり、現在住んでいる住宅を売却するときに課税特例の適用を受けると、新築住宅を購入する際の住宅ローン控除の適用を受けることができなくなります。制度の重複はできないようになっています。

中古住宅で住宅ローン控除を受けるための条件

新築の住宅だけでなく、中古住宅を購入した際も、条件を満たせば住宅ローン控除を受けることができます。それでは、詳しく条件を見ていきましょう。

新築住宅の条件をすべて満たした上で、中古住宅はさらに条件が必要

中古住宅の場合は、新築住宅の条件にプラスして、いくつかの条件が必要になります。上記の新築住宅の住宅ローン控除の適用条件が前提となり、中古住宅では、さらに適用条件が必要となります。

耐火建築物であるか

耐火建築物とは、鉄筋コンクリート造、石造、鉄骨造で建設されている住宅のことをいいます。耐火建築物かどうかを確認する方法としては、登記簿の「構造」のところに、その住宅がどの種類の建造物なのかが記載されています。ちなみに、耐火建築物以外の種類というのは、木造や軽量鉄骨造などが該当します。

耐震構造であるか

購入する予定の中古住宅が耐震構造であるかどうかも条件になります。耐震基準をクリアしているかどうかが適用を受けるときに必要で、適用を受けるための方法としては、「耐震基準適合証明書」か「住宅性能評価書(耐震等級1級以上)」のどちらかを取得しておく必要があります。

築年数の条件

鉄筋コンクリート造などの耐火建築物の場合は、築年数が25年以内であるかどうかが基準になります。また、耐火建築物以外の木造中古住宅の場合でも、20年以内の築年数であれば控除の適用を受けることができます。

最後に

今回の記事では、住宅ローン控除の条件をご紹介しました。住宅ローン控除とは何か?といった基本的なことから、新築住宅と中古住宅との適用条件の違いなどまで、具体的にお伝えしました。住宅ローン控除の適用を受けたいと考えている人は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

監修:小林 弘司(住宅ローンアドバイザー)