転勤や進学などで、賃貸住宅を探さなくてはいけないという状況は訪れます。「気に入らなければ引っ越せばよい」と気楽に考えるかもしれませんが、実際のところは敷金や不動産仲介手数料、引っ越し代金などさまざまな費用がかかりますので、気楽には引っ越すことはできません。失敗しないための物件探しのコツをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

賃貸住宅探しのコツ!ネットと店舗の使い分けポイント!

賃貸住宅は街中の不動産会社で探すことができますが、インターネットを使って自宅や外出中にチェックすることもできます。どちらの探し方が良いというのではなく、不動産会社もインターネットも一長一短がありますので、賢く使い分けることが大切です。使い分けのポイントをまとめてみました。

ケース別!賃貸物件の探し方のコツ

賃貸物件を探すときには、「どれくらい物件探しに時間をかけられるか」によって適した探し方があります。

ゆっくり部屋探しが出来る

引っ越しまでに時間的ゆとりがあるときは、インターネットで物件を検索し、住みたいエリアの家賃相場を把握してから物件探しをすることをおすすめします。「ここを見てみたいな」と思える物件に出会ったら、取り扱う不動産会社に電話で予約を入れ、実際に見て判断してみましょう。

急ぎで部屋を探したい

急に転勤が決まったときや、合格発表が遅く入学までに残された日数が少ないときは、インターネット経由の物件探しは勧められません。すぐに不動産会社へ問合せて、訪問日時を予約し、その場で契約まで済ませるようにしましょう。

ネット検索のメリット・デメリット

家に居ながらにして物件を検索できるインターネットの不動産サイト。次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

不動産会社で物件を見せてもらうときは、1件ずつ訪問しますので、長大な時間がかかってしまいます。3つほどの物件を見るだけでも2~3時間かかってしまい、希望に合う物件を紹介してもらえないときは、無駄な時間だけが過ぎてしまいます。

しかし、インターネットで検索するならば、短時間で複数の物件をチェックすることができます。写真やスペックから「この物件は候補に入れよう」「これは絶対にあり得ない」と分けることができますので、時間をかけずに効率よく物件探しをすることが可能です。しかも、歩き回る必要はありませんので、体力的に疲れないのもメリットです。

デメリット

短時間で効率よく物件探しができるインターネットですが、デメリットも少なくありません。まず1つ目に挙げられるのは、実情とのタイムラグです。「これは良いな!」という物件がインターネットで見つかったとしても、該当物件がすでにないという可能性があるのです。また、サイトによっては、すでに契約が完了している物件がそのままホームページに掲載されていたりすることもあります。

2つ目に挙げられるのは、写真と実物の違いです。写真や公開されているスペックだけで判断していると、本当はステキな物件なのに見逃してしまう可能性があります。また、反対に「ここに住みたい」と思える物件をピックアップしても、実際に内覧すると「写真と全然違う…」と落胆してしまうかもしれません。

店舗で物件探しのメリット・デメリット

では、不動産会社の店舗で物件を探すメリットとデメリットを見ていきましょう。

店舗の直接訪問のメリット

いくら物件が良くても、好ましくない環境にあるときは住みづらいですよね。店舗を訪問して物件を探す場合は、直接現地を訪れますので、物件そのものだけでなく周辺の環境もチェックすることができます。

また、店舗で物件を紹介してもらうときは、物件の申込状況や契約状況などがリアルタイムで正確に分かりますので、「とっても気に入っていたのに、すでに違う人が契約していた…」という事態を回避することができます。住めない物件に無駄な時間を費やすことが減りますので、返ってインターネットよりも効率よく物件を探すこともできるのです。

店舗の直接訪問のデメリット

リアルタイムで実情を知ることができるというメリットはありますが、1件1件を訪問して内覧するには時間がかかりますので、沢山の物件を見て回るのが難しいというデメリットがあります。1日にチェックできる物件数も数件のみに制限されますので、時間をかけずに多くの選択肢から選ぶことは困難です。

また、不動産会社によって案内できるエリアが決められていることがありますので、複数のエリアで検討しているときは、複数の不動産会社に依頼しなくてはいけないというデメリットもあります。時間がないときには、エリアを1つ乃至2つに絞らざるを得なくなるでしょう。それに加えて、人と直接会って話したり、歩いたりして疲れるというデメリットもあります。

賃貸住宅探しの初心者が抑えておくべき部屋探しの心構えとは?

物件探しに使える時間や手間を考えて、インターネットと不動産業者を使い分けたり、適度な比率で組み合わせたりしてください。次は、賃貸住宅を初めて探す人が覚えておくべき3つの心構えについて見ていきましょう。

初めての賃貸契約に失敗はつきもの!お試し程度に考えてく

心構えの第一は、「賃貸契約に失敗はつきもの」ということです。最初から理想通りの物件を完璧な条件で契約できる人はいません。後で何らかの形で「もっとしっかりと考えれば良かった」と後悔してしまうのが普通なのです。まずは気軽にお試し程度に考えておきましょう。

契約期間2年間のトータルコストで家賃が高いか安いか判断する

月々の家賃だけで判断するのではなく、敷金礼金や仲介手数料、更新料、フリーレントの有無など、2年間のトータル費用で家賃の判断をするようにしてください。月々の家賃は安いのに共益費や敷金が高く、2年間のトータルコストは家賃が高い物件よりも高くかかってしまうという例も珍しくないのです。

物件選びの基準を決めておく

いざ物件を前にすると興奮してしまい、本来重視したいポイントをチェックできない可能性があります。「ここだけは譲れない」というポイントを箇条書きにし、物件を細かくチェックするようにしましょう。

内見時のチェックポイントまとめ

内見時のチェックポイントを決めておかないと、「新しくてキレイだから」「エントランスがお洒落だから」と、つい雰囲気で決めてしまう可能性があります。内見時のチェックポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

壁、床、天井の防音性のチェック

集合住宅で暮らすときは、防音性の高さも要チェックです。壁や床、天井の防音対策について質問し、実際に周囲の音がどの程度聞こえるのかもチェックして下さい。

窓際の湿気とカビ

湿気がこもりやすい住宅では、洗濯ものを乾かすのも苦労しますし、カビが発生して掃除の手間が増えるだけでなく、アレルギーの原因になることもあります。窓際をチェックして、どの程度カビが生えそうか、換気しやすい構造になっているかについても調べておきましょう。

水回りのチェック

水周りに不便を感じると、生活自体が苦痛になってしまいます。シャワーの水圧やトイレタンク内のカビの有無なども、面倒がらずにチェックするようにしましょう。

付帯設備の使い勝手のチェック

家の中だけでなく共用スペースもチェックして下さい。郵便受けの形状は使いやすくなっているか、盗まれたりしないか、掃除はこまめに実施されているか、管理人さんとはうまくやっていけそうかなどもチェックしましょう。

良い賃貸住宅と巡り合うために!不動産会社に必ず聞くべき5つのポイント!

不動産会社のスタッフに、次の5点を必ず質問して下さい。

前入居者の居住期間の長さと退去理由

前の入居者の居住期間と退去理由について尋ねてみましょう。転勤などの不可抗力の理由なら良いのですが、不明瞭な理由で入居して数ヶ月で引っ越したときは、物件自体に問題があると想定されます。

空室期間の確認

空室であった期間についても確認しておきましょう。あまりにも長いときは、多くの入居希望者が「ここには住みたくない」と判断したと考えられますので、物件に何らかの問題があると考えられます。

入居者の回転率の確認

どのくらいの周期で賃貸人が変わっているのかも尋ねて下さい。あまりにもサイクルが早い場合は何かしら問題がある可能性があります。

入居者・近隣からのクレーム発生状況

入居者や近隣からのクレームについても尋ねておきましょう。入居者や地域の民度の高さを知るだけでなく、壁や床の防音性について考慮するヒントになります。

近隣住民の生活時間と家族構成の目安を確認

近隣の人々の生活時間と家族構成も、できれば知っておきたいものです。生活リズムがあまりにも違う場合は、生活音トラブルの原因になることもあります。

ネットでは見つからない!賃貸の未公開物件に出会うコツ

インターネットでは公開されていない“未公開物件”というものがあります。良い条件の物件もありますので、ぜひともチェックしておきたいですよね。

未公開物件の定義

未公開物件とは、大家さんや物件の管理会社の事情で情報が公開されていない物件を指します。SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトへの掲載を許可されていませんが、不動産流通機構が運営するレインズのみに掲載が許可されていますので、不動産会社を訪問して尋ねると紹介してもらえることがあります。

また、新築や退去したばかりで、部屋情報の公開準備ができていない物件も、インターネットでは検索できません。不動産会社で直接チェックしましょう。

賃貸の非公開物件・未公開物件の探し方

ネット上で未公開物件と記載されて広告に出されている物件は、すでに公開されている物件ですので、厳密には“未公開物件”ではありません。良い物件なのに何らかの事情で空室のまま残っている未公開物件情報を入手したいのなら、不動産会社に直接行って確かめましょう。

全国チェーンだけでなく、地域密着店も積極的に訪問する

全国チェーンの不動産会社だけでなく、地域密着型の小型店舗にも頻繁に足を運び、未公開物件と出会う機会を増やしましょう。思わぬ掘り出し物件が見つかることもありますよ。

営業担当者と信頼関係を築く

未公開物件は、誰にでも紹介してもらえるわけではありません。こまめに不動産会社に訪問し、担当者との信頼関係を築きましょう。条件を提示して、「希望物件があればすぐに契約する」と意思表示することも大切です。

なぜ非公開?良質な物件が未公開情報になる6つの理由

良質な物件であっても“非公開物件”として扱われることがあります。次の6つの理由に該当するときは、非公開物件になる可能性が高いです。

①新築物件でまだ一般募集を始めていない

あまりにも新しいため、まだインターネット等で一般募集をしていないことがあります。新築物件を探したい人も、非公開物件に注目してみましょう。

②退去したばかりで公開準備前の状態

前入居者が退去したばかりで、まだクリーニング等が実施されていないために非公開になっていることもあります。良さそうな物件のときは、クリーニング前に契約だけ済ませておきましょう。

③人気物件で常に問い合わせがある物件

すぐに空室が埋まる人気物件のため、物件情報を公開する必要がないということもあります。応募殺到を防ぐためにも、敢えて非公開にしていることがあるのです。

④オーナーの意向で非公開物件にされるケース

例えばオーナーが経済的事情で現在の住居を賃貸として出している場合、近隣住民にあまり知られたくないために“非公開”の形をとることもあります。

⑤一般公開したことで近隣住民とのトラブルを避けたい

閑静な住宅地にある物件の場合、内見に来る車が一日に何十台と出入りしたり、私有地で勝手にUターンを行ったりする等のために、近隣住民とトラブルになるケースもあります。トラブルを避けるために、敢えて“非公開”にしていることも多いのです。

まとめ

初めての賃貸住宅は、「失敗しても仕方ない」程度に気負わず探すことが大切です。しかし、見るべきポイントはしっかりとチェックしておかなくてはいけません。ご自身が重視したいポイントと紹介した内見時のチェックポイントを必ず詳しくチェックするようにしてくださいね。