新しい街で新居を決めると、いよいよ新生活が始まります。しかし、気に入った物件に住むためには賃貸契約の申込み時の審査に通過する必要があります。もし、この審査に落ちてしまうとお部屋を借りることが出来ません。賃貸契約の審査で落ちてしまうのはなぜでしょう?まさかの審査落ちのときでも入居できる方法はないのか?今回はこの賃貸契約時の審査について解説します。賃貸契約の審査について心配な方のご参考になれば幸いです。

賃貸契約の審査とは何を見るのか

賃貸契約の審査では何をみているのでしょうか。

そもそも入居審査ってどんなもの?

賃貸契約の審査とは、申込みをした入居希望者に対して支払い能力の有無や過去に事故やトラブルを起こしていないか?をチェックすることです。審査されるのは入居希望者だけではなく、その連帯保証人についても審査されます。

この入居審査は不動産会社だけでなく、身近に保証人がいない方などが利用する保証会社でも行なわれます。また最近では、大手アパートメーカーは家賃の支払いを自社指定・新規発行のクレジットカードに指定している会社もあります。これは、自社での審査の手間を省きクレジットカード会社で審査と保証をしてもらえるという効果もあります。

入居者と連帯保証人の支払い能力が見られる

この入居審査でもっとも重要視されるのは、家賃を継続的に支払う能力があるかどうか?これが1番の審査ポイントです。賃貸申込書には年収・勤務先・勤続年数などの記入欄があります。

一般的に手取り月収の3割までが適切な家賃の目安と言われています。この基準を大きく超えた家賃の物件に申込みされる場合の審査は厳しくなるでしょう。学生さんや新社会人の場合は、連帯保証人になる親や親戚の支払い能力を審査します。

入居審査ではどんな点がチェックされるのか・支払い能力の基準

さて、入居審査ではどのような点がチェックされているのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

*金融機関のブラックリストに載っているかどうか?
*過去に未払いのまま退去したことがあるか?
*家賃の滞納などでトラブルがあったかどうか?
*短い期間に(転勤は除く)引っ越しをくりかえしていないかどうか?
(支払いには問題がなくとも)短期間で引っ越しするのは何かトラブルを起こして転居をくりかえしているのではないか?

このあたりが審査される基準です。未成年者・学生・60歳前後の単身者の場合は連帯保証人についてもやはり同様の審査があります。

審査にはどれくらい時間がかかるのが一般的?

早ければ、即日の場合もありますが長くて1週間程度みておいたほうがよいでしょう。

入居審査は誰が行っているのか

審査を外部委託する場合、入居審査を行う会社は多数あります。

*一般社団法人 全国賃貸保証業協会(LICC)
*一般社団法人 賃貸保証機構(LGO)
*公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会

この三つの団体に所属する保証会社が審査を行います。受付不動産会社が任意により所属する会社へ審査を依頼します。

この不動産関連の審査会社以外にも先にご案内したとおり、クレジットカードを新規加入させる会社ではこれらの審査をクレジットカード会社へ依頼して行っています。入居審査は収入面からの審査と過去の不動産契約状況の2点から審査するとことになります。

入居審査の流れ

必要な書類を揃える

申込み不動産会社へ賃貸申込書がありそれに必要事項を記入します。

・申込者・家族の生年月日や勤務先またそれぞれの連絡先
・勤続年数・年収
・連帯保証人の氏名・住所・生年月日・連絡先・勤務先など

本人確認書類として身分証明書、住民票、(印鑑証明書、収入証明書)・連帯保証人の身分証明書、(収入証明書)を用意します。

入居者の所属会社への確認もある

受付不動産会社や保証会社の判断により社員証などの確認取れない場合は勤務先に在籍確認の連絡をする場合もあります。とくに、申込みにクレジットカードの新規申込する場合は必ず在籍確認は必要となります。学生さんや未成年者の場合は入居者ではなく、親が契約者になる場合が多いため、両親のいずれかの勤務先に確認する場合もあります。

連帯保証人の意思確認

連帯保証人の意思確認とは、受付不動産会社に来所される場合はその不動産会社店頭で「この物件に申込みをされています、家賃は●●円ほどですが保証人になる旨はご了解されていますか?」と口頭で伺う、遠方の場合は電話にて確認する。このような意思確認などをします。

また、口頭だけでなく契約書にも記名・捺印し住民票の提出が必要です。万が一賃貸人が家賃を支払えない場合などは責任を取るという意思確認をされることになります。

賃貸契約の審査で落ちやすい人とは

審査をすると聞くと、「大丈夫かな?」と不安になる方もいることでしょう。
入居審査に落ちる人とはどんな人なのでしょうか?詳しくみていきましょう。

支払い能力に問題がある人

これは金融機関が情報を共有する信用調査情報いわゆるブラックリストに氏名が掲載されているかどうかを確認します。
このブラックリストは自己破産などをした人ばかりではありません、よくニュースなどで取り上げられている奨学金の返済が滞っている人、
高額なスマートフォンを分割購入して支払えなかった人などの情報も掲載されています。そして、過去家賃を滞納していないか?支払いのトラブルが無かったかもチェックされます。

クレームが多そうな人

これは、受付不動産会社での印象ということになります。どこにでも、クレーマー体質の方はいるものです。入居前から物件についての強い不満を繰り返し言う方は「入居してから問題が起きそうだ・・」と思われます。

どのようなクレームかというと

・家賃をもっと下げられないか?大家に交渉して欲しい
・初期費用が高い、駐車場代・管理費を家賃と別に払うことを嫌がる
・2階に空きがないのに交換できないか?
・プロパンガスは嫌だ、自分の部屋だけ都市ガスにしたい

などと、上げれば切りがありません。
クレームが多そうな方を入居させると、問題が発生するリスクが大きくなります。「上の階の人(あるいは隣の部屋)の人の話し声がうるさい」など周りの部屋のクレームに繋がり、の入居者との口論にまで発展しかねません。

不動産会社は契約書を作成するだけではありません。お話をした印象なども大家さんに伝え、入居者として迎えるかどうか判断を仰ぐこともあるのです。入居者募集といっても、支払いに問題が無い人をすべて入居させるわけではありません。最終的に判断するのは大家さんなので、たとえ支払い能力に問題がなくとも「こういう人はご遠慮願いたい」となれば入居審査を通過することができないでしょう。

無職の人も不利

学生さんなどは別として、入居時無職というのは「継続して家賃をどうやって支払うのか?」と、疑問を持たれます。現在無職だと審査に通るのはかなり厳しいでしょう。しかし、絶対に入居できない、というわけではありません。最終的には大家さんの判断となりますが他の入居者より条件が厳しくなりますが入居できる場合もあります。

これまでの経歴に問題がある人

経歴に問題が有ると言うことは、以前入居していた物件で家賃を踏み倒した。未払いのままになっている。このような経歴があれば100%審査落ちです。また入居していた物件でトラブルを起こして退去せざるを得ない状況での移転となると入居を仲介した不動産会社は他の物件への紹介はしないものです。

Aという物件でトラブルを起こした人だと分かっていて別の物件に紹介し、またトラブルが起こるとその物件の大家さんからのクレームにもなりかねません。「トラブルを起こす人だと分かっていてなぜ紹介したのか?」と言われるためです。

審査で落ちてしまった時の対策は

残念ながら入居審査に落ちてしまった、でも住む場所は必要です。
審査落ちした場合の対処方法をご案内していきます。

収入に見合った家賃の物件を選ぶ

家賃は収入の30 %といわれてきましたが、現在はボーナスや手当などない非正規雇用の方も多くいます。雇用が不安定という場合では、収入の30%よりグッと下げた家賃物件に申込みしてみましょう。
家賃だけではなく、家賃+管理費+駐車場など全部含めて手取り収入の30%以下の物件なら審査も通りやすいでしょう。

無職でも部屋を借りられるのか

結論から言えば、部屋を借りることはできます。実際に、新卒者や定年後の方でも入居することは可能です。
学生さんの場合は本人に収入が無い場合がほとんどなので、連帯保証人に支払い能力があれば問題無く賃貸契約ができます。また、定年後の方は貯金額や主な収入源となる年金の額で判断されます。

入居審査に通るかどうかという部分は、支払い能力と過去に他の物件でトラブルがあるかどうか?この点を調べるために審査を行うのです。たとえ審査落ちであったとしても、特別な事情があり、今後勤める見込みがある。自分の状況を不動産会社へ伝えて、大家さんに入居許可を取った例も少なからずあります。

しかし、その場合は大家さんの判断となりますが敷金と礼金を数ヶ月分入金するなど入居時の一時金を高く請求する場合が多いです。

一例として

・家賃を数ヶ月分まとめて支払うことを提案される。
・敷金と礼金他の入居者は1カ月分のところを3カ月分と多く請求される
・保証人を複数人お願いする。

これらの提案をクリアすれば入居できるかもしれません。

自分が悪くなくても落ちることもある

小さな子供がいる家庭は敬遠されることも

赤ちゃんや幼児が2人や3人という場合は審査に通っても、大家さんの判断で「お断り」になる場合があります。

子供さんの声や夜泣きなどの問題や家が傷むということで小学生以下は入居NGとしている物件もあります。
この場合は、古い戸建てタイプなど長期間空いている物件など子供の入居を問題なく受け入れてくれる物件を探す方が無難です。

戸建て賃貸だと集合住宅のように音が響くという部分もなく、大家さんの固定資産税の負担も高いので入居審査基準が緩いケースが多々あります。

外国人留学生NGという大家さんも

外国人や留学生の場合は言葉が通じないという理由だけではありません、住み方や風習などの違いからトラブルが
起きやすいという状況があります。しかし、大学が近くにあるという物件ではそうではない場合があります。

また、最近は外国人専門の家賃保証会社もできてきました。このような会社では、通訳がいて何かトラブルがあっても大家⇒保証会社通訳⇒入居外国人へと話を通してくれるというきめ細かいサービスをしている会社もあります。入居審査も行っており今後このような外国人向けのサービスは拡大することでしょう。

大家さん自体がこのようなサービスを知らない方もいることでしょう。入居審査でNGになったら、こちらから外国人のための保証会社を利用したいと提案してみましょう。
また、言葉の問題もなく家賃保証会社を通すことができるなら入居OKとなる場合も多いと思います。

とにかくいろいろな部屋に申し込んで見る

入居審査で落ちた後の申込みについては、多少慎重に物件を選んだ方が良いでしょう。

狙い目としては、

・大手よりは個人で管理している物件
・数ヶ月以上も空いている物件
・気にしないのであれば事故物件

などです。また不動産会社に何度も足を運び、自分の事情を伝えていれば、仲介業者から物件を紹介してくれて、大家さんに交渉して貰うことも可能です。

最後に

最後に、賃貸の申し込みから入居審査・賃貸借契約完了までの流れを見ていきましょう。

賃貸の申し込みから、入居審査・賃貸借契約までの流れ

(1)物件を決めて、不動産会社で入居申込書の記載する

(2)入居申込みに必要な書類を整える
・申込者や家族の生年月日や勤務先またそれぞれの連絡先
・勤続年数や年収
・連帯保証人の氏名・住所・生年月日・連絡先・勤務先など
また本人確認書類として本人の免許証や住民票・連帯保証人の名義書類などもコピーして添付します。

(3)必要書類を添付して審査申し込み

(4)入居審査を通過

(5)申込書類を添えて、賃貸契約申込書を提出
不動産会社から大家さんへ提出して大家さんから許可を貰う

(6)大家さんの許可がでたら、不動産会社で契約書作成となる。

流れとしてはこのようになります。入居審査と聞くとちょっと不安に思われることでしょうが、最終的には全て大家さんの判断になりますので、誠意をもって対応すればきっと入居できるお部屋が見つかることでしょう。

 

監修:大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)