スマートデイズは女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」によるサブリース運営を行ってきましたが、2018年5月破産手続き開始決定を受けました。なぜスマートデイズの問題は起こったのでしょうか?今回はスマートデイズの問題点や、同様の被害にあわないために何をすべきか、今後の展望までを解説していきます。ぜひ最後までお読みください。

スマートデイズのニュースの概要

ここではスマートデイズのニュースの概要について解説していきます。

シェアハウス経営で不動産投資を持ちかけ多額のローンを斡旋

スマートデイズは、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を頭金ゼロ、自己資金ゼロ、30年間空室保証などを掲げ、多額のローンを組むことが前提である不動産投資をもちかけオーナーを募っていました。

かぼちゃの馬車の不動産投資をした人はサラリーマンの方が多く、安定的な家賃収入を得ることを目的として多額のローンを組み、物件を購入しました。

サブリースで必ず儲かるとうたったが結果的に支払いが滞る

スマートデイズの手法としては、不動産投資のローンの返済額よりも高額な家賃保証があるサブリースで必ず儲かる」という売り文句でした。しかし結果的にはスマートデイズの説明通りとはならず、家賃保証分の支払が滞りました。

その理由として、ビジネスモデルそのものに無理があった点が指摘されています。

オーナーがローンの支払いができず問題となった

不動産投資をしたオーナーはサラリーマンの方がほとんどだったため、家賃収入がなければローンの返済をすることは困難でした。こうしてローンの返済ができなくなるオーナーが続出しました。このようにしてスマートデイズの問題は2018年1月以降、次第に広がりをみせていくようになりました。

スマートデイズのサブリースの問題点

ここでスマートデイズのサブリースの問題点を解説していきます。

もともと不動産投資をしたことがない人が多かった

スマートデイズの問題点としてまず、もともと不動産投資をしたことがない人に不動産投資をさせていたことがあげられます。スマートデイズのかぼちゃの馬車に投資した方のほとんどがサラリーマンであったことは先述しましたが、不動産投資が初めてだったため、スマートデイズの営業マンの説明を聞き、儲かりそうだと思ってしまい、かぼちゃの馬車に投資をしてしまったことが推測されます。

空室でも高額な家賃保証をした事で自転車操業になった

スマートデイズではサブリースによる30年間の家賃保証をしていて、契約内容は空室であっても高額な家賃保証をするというものでした。しかし実際には物件の入居率は4割程度にしかならず、当初見込んでいた家賃収入を得ることはできませんでした。こうしてスマートデイズのサブリース運営は、新たな物件販売の利益により空室保証分を支払っていかなければ成り立たない自転車操業になっていきました。

スマートデイズ・スルガ銀行・オーナーにも問題があった

この件は、もちろんスマートデイズに一番問題があったことは事実です。しかしスマートデイズが関わった案件を次々に融資してしまったスルガ銀行やスマートデイズの営業の説明を鵜呑みにして不動産投資を決めてしまったオーナー側など三者三様に何らかの落ち度があったことも否定できません。

スマートデイズの問題はなぜ起こったのか?

ここではスマートデイズの問題はなぜ起こったのか?について解説していきます。

不動産投資を知らない人が、実際とかけ離れたサブリース契約を鵜呑みにした

この問題が起こった背景として、まず不動産投資を知らない人をターゲットにスマートデイズの営業が、現実とかけ離れたサブリース契約を謳って、不動産投資を勧めたためオーナー側がそれを信じて契約してしまったことがあります。

不動産投資をよく知らない人は、働かなくても家賃が入ってくる不動産投資をいわゆる不労所得を楽に得ることができるものだと誤解している部分があります。しかし不動産投資にはリスクがつきものでそれらのリスクを慎重に検討し、許容できるリスクを見極め、その上で投資を進めていかなければ家賃が安定して毎月入ってくるシステムは到底作れないという厳しい側面もあります。

スマートデイズが収入を改ざんして融資を通しやすくした

スマートデイズではオーナー側の融資の申し込みを代行していて、中には融資の申し込みが通りやすいようにオーナーの源泉徴収票などの書類を改ざんして融資を申し込み、購入させることもありました。

スルガ銀行が回収の見込みのない融資をしてしまった

融資をしたスルガ銀行側も、スマートデイズのかぼちゃの馬車のビジネスモデルについて疑問に思わなかったのかという問題があります。通常の考え方ですと、30年の空室保証は長期に渡るため、長期間の保証をしても大丈夫か、入居者の賃料に対する空室保証の金額や入居率の見通しは現実的なものなのかなどの疑問が生じるところです。また、多数の融資案件を実行していますが、果たして回収できるのかという問題も生じてきます。

スマートデイズと同じような被害に遭わないためには

ここではスマートデイズと同じような被害に遭わないために何をすべきかについて解説していきます。

不動産投資の基本的な知識をしっかりと理解する

不動産投資をする際は、まず基本的な知識をしっかりと理解することが重要です。不動産投資は人生の中でも高額な買い物になるため失敗してしまうと損失は大きなものとなります。

物件の種類や立地条件、空室リスクにどう対応するのかなど知っておかなければならないことは沢山あります。家賃収入の側面だけを見るのではなく、家賃収入を得るためにどのような費用がかかるのかについても把握するなど、不動産投資についてしっかりと理解した上で投資をすすめていくようにしましょう。

サブリースについての基本的な知識をしっかりと理解する

サブリースについての基本的な知識をしっかりと理解することも重要です。サブリースとは運営会社が不動産を購入したオーナーから不動産を一括借り上げし、運営会社が不動産の管理や入居者の募集も行い、物件の空室リスクなどを運営会社が保証します。こうしてサブリース運営会社からは契約によって保証された家賃収入を得て、オーナー側は不動産購入のために借り入れした借入金を返済していきます。

しかしサブリースは、建築にサブリース運営会社が関わっているため、建築費用が高い場合が多く、また空室保証についても家賃相場の変動などにより保証通りにいかないケースもあるため注意が必要です。スマートデイズの問題はサブリースの問題点について提起した事件ともいえます。

常識的に考えて上手すぎる話には乗らない

常識的に考えて上手い話には、それ相応のリスクがあります。そのリスクをどこまで許容できるのか慎重に検討して話をすすめていくことが重要です。

しかしリスクの話が出ずに良い面だけを強調してくる話には裏がある場合が多いです。人は本当に儲かる話は他人にせずに自分だけですすめていく傾向があります。以上の理由から常識的に考えて上手すぎる話には乗らないことが重要です。

スマートデイズ問題の今後の予想ともし被害にあったら?

ここではスマートデイズ問題の今後の予想ともし被害にあったら?について解説していきます。

スマートデイズは民事再生の申請を行い事実上倒産か?

2018年4月9日スマートデイズは東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。2018年4月18日には申請は棄却され破産手続きに移行することになりました。一般的に負債総額はおよそ60億円余りといわれ、スマートデイズ社は事実上の倒産となります。

今後は、サブリース契約については解除をすすめていく形となり、第三者にサブリース契約の管理は移管されますが、入居者の方は引き続き現在の物件に入居できる状態です。

スルガ銀行にも金融庁の立ち入り調査が行われる

スルガ銀行はかぼちゃの馬車の不動産投資で、1棟平均1億円の土地や建物の購入資金をおよそ700人のオーナーに融資したといわれています。経営破たんを受け、金融庁の立ち入り調査も行われることとなりました。

別の管理会社を見つけるにも条件が合わず解決は困難の可能性

本来、別の管理会社を見つけてサブリース契約の管理を移管するのが通常の流れではありますが、スマートデイズのサブリース契約は家賃保証が高額で長期に渡るため条件が合わず解決が困難となる可能性があります。

またシェアハウスという特性上、建物についてもそのまま売却することは難しいため、更地にして土地だけを売却する形になります。そうなるとその分の費用も発生してしまいます。

被害にあった場合はすぐに相談窓口を利用する

サブリース被害にあった場合は、すぐに相談窓口を利用することも重要です。その際は公的な窓口を利用することをおすすめします。理由としては、ニュースになるような大きな事件で被害者が出ている場合、その被害者を狙って詐欺などのが行われ二次被害が起こる恐れがあるからです。

最後に

ここまでスマートデイズの問題について解説してきましたがいかがでしょうか? 誰もが金銭的に豊かで幸福な人生を送っていきたいと思っています。その気持ちを利用して無理な不動産投資を勧めて、被害者の人生を狂わせてしまったスマートデイズの問題は、社会の問題でもあります。なぜならばこの問題は他人事ではなく一歩間違えれば誰もが被害者となる可能性があるからです。自分は知識があるから大丈夫などと油断している方も何らかの落とし穴にはまってしまう場合があります。この記事を不動産投資する際の参考にしていただけたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。