大阪で不動産賃貸や民泊を始めたいけど知識がないと悩んでいる人はいませんか?現在、大阪では路線価が高騰し、マンションの需要が高まりつつあります。今回は、大阪での不動産を始めるための基礎知識や注意点、路線価と不動産の関係性について解説していきます。

大阪を中心に路線価が高騰して2018年はマンションブームの兆し?

大阪で不動産を始めるための基礎知識として、路線価とは何か、物件の価格と路線価の関係、そして大阪での現状について説明します。

そもそも路線価って何か?物件とどのような関連があるのか?

路線価が高騰しているけど、そもそも路線価について知らない人や物件との関係性を知らない人もいるのではないでしょうか。

路線価とは土地の評価額で、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額です。実際に土地を売買する時の価格の査定に役立てられます。路線価は国税庁が価格を決定し、毎年7月に価格が公表されます。

路線価は、調査結果として公示価格の8割程度になっています。路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類がありますが、一般には相続税路線価を指します土地や物件を売買する際の価格の目安として路線価を用いることがあるため、物件価格との関係性が強く、切り離すことができません。

特に路線価が上がった地域は大阪市中央区心斎橋筋の戎橋北詰付近

平成29年分の大阪府の路線価は前年度から約1.2%上昇しています。大阪府の路線価は2年連続で上昇し、公示価格の平均は全国2位です。大阪府の中でも最も上昇率が高かった地域は、大阪市中央区心斎橋筋の戎橋北詰付近でした。前年度から約36%も上昇し、その価格は968万円/m2となっています。

【出典】国税庁:路線価図
http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h29/osaka/osaka/prices/html/39008f.htm

路線価が上がったのは大阪中心部に限られているのも特徴

長年、近畿の最高路線価を記録し続けている大阪市北区角田町の御堂筋ですが、その路線価は約15%上昇し、1176万円となりました。前年度から約1.2%上昇した大阪府の路線価ですが、大阪全体ではなく大阪中心部の路線価のみが上昇しているのが特徴です。

大阪中心部の路線価が上昇することで、中心部にあるマンションの需要が高くなっています。価格が上昇した場合、土地の購入を諦めることが考えられますが、なぜマンションの需要が高くなっているのでしょうか。

それにはマンションの評価方法が関係します。物件の評価額はその構造や床面積、築年数によって決められるため、物件の階数は考慮されにくいものとなっています。低層階よりも高層階は価格が高いのが一般的です。その分、価格と評価額の差は大きくなるため、高層階は相続税が割安になります。これが、マンションの需要が高まる理由です。

【出典】国税庁:平成29年分の路線価等について
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/rosenka/rosenka.pdf

路線価が高くなった大阪でもマンションの需要ある原因は?

路線価が高くなった大阪でも、なぜマンションの需要があるのでしょうか。その原因としては、インバウンドと民泊人気の2つが考えられます。

インバウンドが大きな原因となっている

インバウンドとは、外国人が旅行などで日本にやって来ることです。これにより、経済効果が発生しています。反対に日本人が海外へ旅行に行くことをアウトバウンドと言います。日本にやって来る外国人は富裕層が多く、高額なマンションなどを利用し、高額な不動産を購入することもあります。

日本に来る外国人の数は年々増加しており、2017年は約2900万人の外国人が日本を訪れています。特に中国や韓国、台湾と東アジアからの外国人訪問者の割合が70%以上を占めています。円安の影響で日本での滞在費や物価が安くなっていることで、訪日外国人が増加している理由です。

また、格安の渡航費用が増えたことやビザの免除など以前よりも気軽に旅行できる環境になったことも理由となっています。

インバウンドの最大の経済効果は中国からの「爆買い」か?

インバウンドによる大きな経済効果は中国から来た旅行者による「爆買い」でしょう。「爆買い」はテレビなどメディアのニュースでもよく取り上げられています。旅行者のほとんどが富裕層であるため家電やブランド品はもちろん、不動産に目を付ける旅行者もいます。

さらには、2020年に開催される東京オリンピックにむけての経済効果が期待されています。中国国内での不動産投資の利回りが低迷する中、中国よりも収益性の良い日本でのマンションの賃貸経営や東京オリンピックを目処に売却して利益を得ることを目的に購入する中国の投資家が増えています。オリンピック需要として東京都心部が人気ですが、京都や大阪などの商業地にも影響が広がっている状況です。

インバウンドによってホテルより安いゲストハウスにも人気が集まっている

外国旅行者の増加によって宿泊施設の需要も高まっています。実際に外国人旅行者の多くがホテルを利用しているため、その需要を狙って宿泊料金を値上げするホテルもあります。そんな中、(注目を集め)人気が集まっているのがゲストハウスです。ゲストハウスはホテルに比べ、宿泊料金が安く設定されています。

しかし、ホテルで用意されているアメニティが用意されていない場合もあります。また、個室ではなく複数人で同じ部屋に宿泊することもあります。外国人旅行者はホテルの利用率は高いものの、ホテル利用者の宿泊日数自体は短いという傾向があります。

一方で、ゲストハウスの利用率は全体の割合の中では低いものの、利用者の宿泊日数はホテルに比べて長い傾向があります。今後はさらにゲストハウスの利用者が増えることが予想され、ゲストハウス事業の成長に期待が集まっています。

外国人旅行者向けの民泊も人気があります

海外からの旅行者には、居住用の部屋などに滞在する民泊も人気で、「Airbnb」や「HomeAway」、自在客など様々な民泊サイトが話題となり盛り上がりを見せています。これにより、不動産業界では民泊特需が生まれていると言われています。

民泊の宿泊料金の安さが人気の理由の1つでしょう。料金は宿泊形態にもよりますが、ホテルよりも安いことがほとんどです。内装の充実度も人気に関係し、SNS用に写真映えする内装の民泊が人気です。また、宿泊に来る旅行者に合わせてアメニティを備えている民泊に人気が集まっています。

特に人気を集めている地域は東京と大阪、京都の3つです。その中でも観光地に近く、駅や空港からのアクセスが良い民泊に人気が集まっています。また、民泊の運営においては、2018年6月15日から施行開始の民泊新法とその許認可手続きを十分に理解しておく必要があります。

大阪でマンション投資を始めようとする時の注意点は?

ここまで、大阪でマンションの需要が高まり、マンションブームの兆しがあることを紹介しました。次は、実際に投資をする際にはどんなことに気を付ける必要があるのか、注意点をまとめます。

 路線価の高騰がいつまで続くかを予想する必要がある

マンション投資では建物だけでなく、土地を評価する路線価も重要ですので、路線価がいつまで高騰するかという点にも注意しなければなりません。

毎年上昇を続けている路線価ですが、外的要因によってその状況が一変することがあります。例えば、2008年に起きたリーマンショックによって地価など不動産を取り巻く環境は悪化しました。2020年には東京オリンピックが開催されます。東京都だけでなく全国の観光地や大都市でも路線価が上昇することでしょう。

また、地震や豪雨など、自然災害にも注意が必要です。地震で生活環境などが悪化した場合に、路線価が大幅に下落する場合があります。マンション投資では社会の動きを把握し、路線価の上昇や下落をこまめに調査して、物件の価値を慎重に予想することが重要です。

市場競争が激しくなっているので良い物件を抑える難しさがある

大阪都市部の路線価は上昇を続けているため、より良い土地や物件を獲得するための市場競争が激しくなっています。また路線価が上昇している地域であっても全ての物件が良い物件とは限りません。一般的に良い物件と悪い物件がある場合、当然、多くの人が良い物件を選ぶことでしょう。

そのため、路線価の上昇している中でより良い物件を取得するためには競争が激化します。激しい競争を勝ち抜き、良い物件を取得することは簡単ではないでしょう。良い物件を取得するためには早い段階からの情報収集と行動が必要です。

事故物件などではないかの調査も必要

マンション投資をする上で、検討している物件が事故物件などではないかにも注意して確認する必要があります。条件が良くて安い物件には何かしらの理由があることが考えられます。安いからといってすぐに飛びつくことなく、冷静で客観的な視点での判断が必要です。

事故物件に良い印象を持っている人は少ないでしょうから、事故物件であることが発覚した場合、評判が落ちて空室となってしまい、収益が得られないことも考えられます。マンション投資をする場合、購入予定物件がその販売価格に見合う価値である根拠を認識し、事故物件ではないか十分に確認するように心掛けましょう。

高騰している中で、より低価格で土地や建物を取得できるかがカギとなる

高騰している不動産市況の中でも、より価値のある土地や建物をどれだけ低価格で取得できるかがカギとなります。高騰している物件はそれだけ多くの人がその土地や建物に価値があると考えています。価値があると考える人が多いほど高騰となります。

外的要因によって大きく環境が悪化しない限り、土地や建物の価値は大きく落ちるものではありませんが、短期的に飛びつくのではなく、長期的な視点を持ち土地や建物を取得できるように情報を集めて、行動しましょう。

大阪市中央区の路線価ランキング

路線価の上昇している大阪市中央区の路線価のランキングを紹介します。エリアごとの路線価と住所別の路線価の上位3つを見ていきます。

まずエリアごとの地価ですが、1番高いエリアは道頓堀・戎橋エリアで路線価平均は約790万円/㎡です。次が心斎橋エリアの約470万円/㎡、続いて難波エリアの約430万円/㎡となっています。1番安いエリアは京橋エリアで、約40万円/㎡です。

住所別で見ると、宗右衛門町7-2が1番高く1580万円/㎡です。その後が心斎橋筋2-8-5の1320万円/㎡、西心斎橋1-4-5の930万円/㎡となっています。

エリア別の路線価で上位だった心斎橋駅、難波駅近くの住所が上位です。大阪で不動産投資を考えている場合、心斎橋エリアや難波エリアの駅近くの土地や建物に注目すると良いかもしれません。

【出典】大阪市中央区の地価公示マップ・土地価格相場・坪単価-土地価格相場が分かる土地代データ
https://tochidai.info/osaka/osaka-chuo/

まとめ

今回は大阪で不動産投資を始めるために必要な路線価の基礎知識や注意点を解説していきました。不動産投資は社会や経済情勢の動きを予測し、長期的な視点での投資が必要になるので意識しておくと良いでしょう。

監修者:大長 伸吉(不動産コンサルタント