正社員であっても、いつ何時、職を失うか分からない現代。自分の資産は自分で守り増やしていくことが大切です。「投資をして資産を増やそう」と考える人が増えてきたことも、自然な流れと言えるでしょう。

しかし、世の中には“絶対”ということはありません。投資をすることで資産を増やすどころか減らしてしまう可能性もあります。投資初心者が実施すべき投資とは何か、また、投資を始める上での心構えについて解説します。

貯金で資産が増えない理由と投資スタンスを決める大切さ

「投資をして資産が減ってしまうのが怖い。ここは手堅く貯金で資産を増やそう」と考える方も多いでしょう。また、投資するのが面倒で、なんとなく普通預金や定期預金にお金を預けっぱなしの方も少なくありません。

銀行貯金で資産が増えない理由

銀行貯金で資産を増やすことは現在の金利では不可能です。メガバンクにおける普通預金金利は平均0.001%ですから、例え1億円の貯金があったとしても1年間の利息は1,000円しかつきません。しかも、預貯金の利子は課税対象ですので、実際に受け取れるのは800円弱です。1億円の現金資産があっても利息だけで生活することはできないことが分かります。

銀行貯金で資産が減ることもある!

積極的に増やせなくても、今ある資産だけでも守れれば良いと考えている方もいるでしょう。しかし、預貯金の金利がインフレ率を上回る利率でない限り、資産は確実に価値を減らしてしまいます。現在のように超低金利の時代においては、ただ単に銀行に預けておくことは着実に資産を目減りさせている行為だと言えるのです。

最初に資産運用の目的と投資スタンスを決めておく

投資を始めるときは、かならず資産運用の目的と投資スタンスを決めておくことをおすすめします。どの程度増やすかを明確にしておくことで投資に対してのスタンスを確立することができますし、無謀すぎる投資とは適切な距離を置くことができます。

短期の資産運用結果に一喜一憂しない

投資はすべて短期で結果が出るわけではありません。FXやデイトレードのように短時間で利益が得られるものもありますが、ギャンブル性が高く、投資初心者にはおすすめできません。特に投資初心者は、短期の資産運用結果に一喜一憂せず、長期的な目線で考えるようにしましょう。

おすすめの具体的な投資手法

投資と言ってもさまざまな形態があり、それぞれメリットとデメリットを併せ持っています。投資初心者におすすめの投資手法を4つ紹介しますので、ご自分に向いている投資なのか吟味してみて下さい。

株式投資

大手企業なら中小企業やベンチャー企業より倒産リスクが低く、比較的安全に投資することができます。企業のIR情報をチェックすれば、業績の伸びも簡単に確認できますので、判断資料が多いことも魅力です。短期間で結果を求めたい人は、新製品が出たときや反対に大規模なリコールが起こったときなどを狙うのも良いですね。

株の銘柄選びが難しいなら投資信託

IR情報や株価の動きを判断することに慣れていない人は、複数の株式銘柄に投資する“投資信託”を利用してみてはいかがでしょうか。投資の専門家が運用しますので、極端な下落を回避できるのも投資信託ならではのメリットです。

なお、投資信託には、株式に投資するもの以外にも、不動産や債権などに投資するものもあります。海外の債券や株式に特化した投資信託もありますので、目論見書(投資内容の説明書)をしっかり読んでから投資する商品を決定しましょう。

日本国債への投資

外国政府の国債も日本国内で購入することができますが、リスクの少なさを優先するなら日本国債がおすすめです。証券会社以外にも郵便局や銀行でも購入できます。

レバレッジを効かせられる不動産投資

不動産購入資金を金融機関で借りれば、保有する資産以上の投資を行うことができます。大きな資金で不動産投資をすれば、小さな資金で不動産投資をするよりも何倍もの利益が期待できますね。

リスクとリターンで考える投資手法

“リスク”と“リターン”の概念なしに投資を始めることはできません。「リスク」つまり「どの程度の危険があるのか」を客観的に理解してから、「リターン」つまり「どの程度の利益が見込めるのか」を冷静に判断しましょう。

ローリスク・ローリターンで手堅く運用したいなら

リスクは低ければ低い方が良いに決まっています。しかし、不動産投資でも説明しましたが、元手となる資産が多ければ多いほど高利益が見込めるのと同じく、リスクが大きければ大きいほど大きなリターンが見込めるのが投資の現実です。

「投資は始めたいけれど、資産を失ってしまうのは困る」という気持ちが強い方は、まずは手堅くローリスク・ローリターンの投資から始めてみてはいかがでしょうか。ローリスク・ローリターンの投資としては、国際的に見ても安定度が高い日本国債や貯蓄性保険などが挙げられます。

元本が保証されていることがローリスク・ローリターン型投資の特徴

日本国債も銀行預金も、いずれも元本が保証されているという共通点があります。元本保証型の投資信託は最悪のケースにおいては損失が出ない代わりに利益も出ないという可能性がありますが、個人向けの日本国債は半年ごとの利息も保証されていますので銀行預金感覚で投資することができます。絶対に損失を発生させたくない人は、ローリスク・ローリターン型の投資商品を選びましょう。

ミドルリスク・ミドルリターンで資産形成を加速させたい

投資資金が大きい場合は、ローリスク・ローリターン型の投資でも利益を挙げることが可能です。しかし、投資資金がそこまで大きくない人は、何年投資をしても利益と呼べるほどの利益を挙げられないことも多いでしょう。ミドルリスク・ミドルリターンの投資なら、リスクも中程度で利益も中程度の理想的な投資が実現できるかもしれません。不動産投資や投資信託、株式投資などがミドルリスク・ミドルリターンの投資に分類できます。

投資した資金以上の損失を出したくない人は保有する資金内で投資しよう

不動産投資や投資信託、株式投資も、いずれも元本が絶対に保証されている投資商品ではありませんから、損失が発生する可能性があります。

しかし、保有する資金内で投資を行うときは、投資した金額以上の損失が出ないという共通点がありますので、例えば不動産投資に1,000万円資金をつぎ込んだとしても、最悪の場合でも資金が全部なくなってしまうだけで投資した資金以上の損失が出ることはありません。投資した資金以上の損失は出したくない人は、保有する資金内で投資をするようにしましょう。

分散投資が大切な理由とは

インフレになれば現金や預貯金の価値は下がってしまいます。また、国全体の景気が悪化すると、その国に関連する株式の価値が概ね下がることがあります。さまざまな要因によるリスクを分散させるためにも、資金投下を1つの投資商品に集中させるのではなく、複数の商品や分野に投資するようにしてください。

最後に

投資は難しいことではありません。低い手数料で株式や投資信託を売買できるネット銀行もありますし、不動産投資のための資金もかつてと比べると低金利で借り入れることができます。常にリスクとリターンを考慮して、慎重な投資を実践していきましょう。