年金が受給できない時代に突入するに従って、投資の重要性が注目されるようになりました。しかし投資と聞くと、どうしても損得のマネーゲームのように感じてしまう人も多いのではないでしょうか。たしかに投資に損得はつきものですが、実は投資の本質はマネーゲームではありません。

そこで今回は、投資とはなにかについて解説していきたいと思います。投資の本質を理解することで、安定した収入を得られるようになりますよ。

そもそも投資とは?貯蓄とはどう違うの?

投資の重要性が叫ばれるようになってから、比較されることが多い言葉が貯蓄です。将来に向けて貯蓄は重要ですが、投資はさらに重要であると言われています。それでは貯蓄と投資の違いとはなんでしょうか。

貯蓄とは

貯蓄とは、将来のためにお金を蓄えることを指しています。マイホームの購入や教育費、結婚式などまとまった金額が必要になるときは必ずあります。どれだけ詳細に計画を練っても、有事の際の貯蓄がないと対応できないことはありますよね。そのため日本では、コツコツ貯蓄をしていくことが重要だと言われてきました。

投資とは

投資とは、将来のために利益を得る目的で資金投下をしていくことを指しています。最近では仮想通貨や株式投資、FXや不動産投資が有名ですよね。貯蓄は貯めることを主たる理由においていますが、投資は資金を増やすことが目的なので、この点が貯蓄と投資の明確な違いです。

100万円の貯蓄の価値は100万円ですが、100万円の投資は200万円、300万円に変わる可能性もあります。また投資によって現在の貯蓄が2倍、3倍になればローンなしでマイホームが所有できる可能性もあるので、結果的にローンの利息分を貯蓄することもできます。

投資って始めた方がいいの?

貯蓄と投資の違いはご理解頂けたと思いますが、それでは投資は始めた方がいいのでしょうか。今から投資をすることは、老後生活において大きな資産をもたらしてくれる可能性がありますが、同時に投資にはリスクも存在しています。そのため投資のデメリットも正しく理解した上で、投資をするかどうかの判断を行う必要があります。

投資の必要性

投資の必要性が注目されるようになった理由として、年金問題が挙げられます。老後に当然受給できると思われていた年金ですが、最近では年金の受給開始年齢が引き上げられるという話も現実味を帯びてきました。月に15万円で生活のやりくりをしたとしても、65歳から85歳までの20年間で必要な費用は3,600万円が必要になります。

実際は年齢を重ねるに従って保険料や病院代の負担も大きくなるので、3600万円以上かかると考えるべきでしょう。またこれは生活するための最低資金なので、趣味やセカンドライフを送るためにはさらに必要になります。年金の受給が確約されていた時代は老後を心配する必要はありませんでしたが、自分の老後生活は自分で守る時代に突入してきたことで、投資の必要性がでてきたといえます。

投資のメリット

投資のメリットは大きく分けると以下の2点になります。

・銀行預金よりも効率よくお金を増やせる。

・現金以外に分けておくことで資産が分散できる。

日本の銀行は超低金利なので、銀行に預金していることで資金の増加を期待することは難しいです。また現金以外に資産を保有していることで、リスクを分散することができます。

例えばインフレ時は物価が上昇するので、貨幣価値は下がります。そのため資産全てを現金で保有していると、一方的にインフレの影響を受けて資産が減少してしまいます。しかし不動産を保有していた場合は、インフレの影響を受けて不動産の価値も上昇していくことが期待できますので、資産の相対的な価値を保つことができるというわけです。

投資のデメリット

一方で投資のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

・元本の保証がされていない。

・多少の知識や勉強が必要になる。

株式投資やFX、不動産投資などに当てはまることですが、元本の保証がされていません。どれだけ勉強をしても、損をする可能性がゼロとは言い切れません。ただし勉強して知識をつけることで、リスクは最小限に留めることができます。そのため、損をしないためにも多少の知識や勉強は必要になります。

初心者の投資の始め方

実際に投資を始める場合、どの投資対象から始めるべきかわからない初心者の方がほとんどだと思います。一口投資といっても、株式、FX、不動産、国債など様々なものがあります。そこでまずは初心者におすすめの投資の始め方を解説していきたいと思います。

ライフスタイルから考える

投資で大切にするべきポイントは、ライフスタイルから投資方法を選ぶということです。結婚や老後を見据えて将来設計をしっかりすることで、時期ごとに必要なお金を把握することができます。投資とは将来のための資金投下なので、お金が必要になる将来に合わせた投資を行う必要があります。

短期的な投資先は避ける

最初の投資先としては中期的に利益が出る場所を選び、短期的な投資先は避けることをおすすめします。理由としては、以下の3点が挙げられます。

*短時間での決断が必要になる

株式投資やFXは短時間の決断や知識が必要になります。そのため勉強をしながら学んでいくという姿勢では、元本を減らしてしまうリスクがあります。また短時間で価値が大きく変動するので、少し目を離した瞬間に大損してしまう可能性も十分にあります。短期間で結果が出る点は魅力的ではありますが、知識をつけずに手を出してしまうとただのギャンブルになってしまうので注意が必要です。

*資金力が必要になる

短期的な投資で利益を上げるためには、資金力が必要になります。例えば為替を利用したFXは、資金力がないと1日に数百円しか変動しないかもしれません。その点をカバーするためのレバレッジという方法もありますが、同時にリスクも大きくなってしまいます。老後を支えてくれる資金を獲得するためには、資金力が必要になってきます。

*トレードだけに多くの時間が必要になる

FXや仮想通貨の短期売買では、一瞬の油断が命取りになってしまうことがあります。短期売買は価格の変動が激しいため、少し目を離した隙に大きな損失を出したという話も珍しくありません。そのため常にトレードに集中していなければいけなくなります。時間に余裕がある人であれば問題ありませんが、勤め先で働きながらトレードに集中することは簡単ではないので、短期的な投資先は避けることをおすすめします。

中期・長期的な投資のメリットとリスクを把握する

先ほど述べた理由から、短期的な投資は初心者にはあまりおすすめはできません。そこでおすすめしたいのが、中期・長期的な投資です。中期・長期的な投資は、初心者でも安心して購入できる投資先が数多くあります。ただし中期・長期的な投資だからこそのリスクもあるので、メリットとリスクの両方を正しく把握した上で、投資するかどうかを選ぶ必要があります。

どんなメリットがあるの?

中期・長期的な投資のメリットとして、以下の3点が挙げられます。

・短期的な利益を追求しないため、時間をかけて投資先を育てることができる

・少額でも投資することができる

・長期投資の複利で資産形成が可能である

短期売買は価格の変動を利用して資産を増やしていくため、時間をかけて資産を育てていくという投資方法は難しくなります。一方で中期・長期的な投資は、日々の動向に左右されるのでなく、数年単位で収支がプラスになっていれば良いので、時間をかけて投資先を育てることができます。

また不動産投資のように、購入する家を担保に金融機関からお金を借りることもできるので、少額からでも大きな投資を始めることができるというメリットもあります。そして最大のメリットは、長期投資の複利で資産形成が可能だという点です。例えば株式の配当や賃貸収入などがそれにあたります。株式や不動産にも資産価値はありますが、長期的に保有している複利で資産を形成することができます。

どんなリスク考えらえるの?

中期・長期的な投資のリスクとしては、以下の2点が挙げられます。

・価格変動により投資資産の価値が下がる可能性がある

・株式の場合は投資先の会社が破綻により、元本や利息が支払えない可能性がある

中期・長期的に保有していると、価格変動の影響を受ける可能性があります。株式や不動産の価値が下落することで、投資元本以上に損をしてしまう可能性もあります。また投資先の会社が破綻してしまうと、株式や債券の価値がなくなってしまうというリスクもあるので、会社の経営状態も把握しておく必要があります。

リスクの対応の仕方

投資にリスクはつきものですが、リスクへの対応の仕方を学んでおくことで、リスクは最小限に抑えることができます。

(1)分散投資
銘柄分散は、複数の銘柄を持つことによってリスクを分散する方法です。株式の銘柄を分散させるだけでなく、株式、FX、国債など複数の投資先に分散 するという方法もあります。

(2)長期投資
長期投資は、長期間保有することによって利益をあげる投資方法です。短期的に見るとマイナスになる瞬間もありますが、長期的に右肩あがりになる投資先を見つけることで、結果的に収支がプラスになるという方法です。

(3)時間分散
時間分散は一定金額を一定期間にわけて投資をするという方法で、リスク対応として有効的な手段です。投資が失敗してしまう理由の一つに、高いときに買って、安いときに売ってしまうことにあります。そのため複数回に分けて毎回一定金額を投資することで、その期間の平均に近い値段で購入することができるようになります。時間分散の手段の一つにドルコスト平均法があり、投資の世界では有名な考え方の一つです。

初心者にオススメの投資商品

初心者におすすめの投資商品とはどのようなものがあるのでしょうか。具体的にみていきましょう。

国債

国債は初心者にオススメの投資商品です。理由としては以下の3点が挙げられます。

・少額から始められる

・中長期的に利益を出せる

・元本割れの心配がない

個人向けの国債は元本割れのリスクがなく、中長期的に利益を出すことができます。また購入単価も1万円から始めることができるため、初心者の方が投資を学ぶうえでは最適な投資方法だと言うことができます。ただし金利が低いことがデメリットとして挙げられるので、投資に慣れたら他の資産での運用を検討してもいいかもしれません。

投資信託

投資信託も初心者にはオススメの投資先です。理由としては以下の3点が挙げられます。

・少額で始められる

・プロに運用を任せることができる

・銘柄分散によるリスク軽減ができる

投資信託ではプロに運用を任せ、銘柄分散をして投資をしてもらいます。そのため自分で運用するよりもリスクを軽減することができます。また少額でも始めることができるので、最初の投資先には適しています。

外貨預金

日本は超低金利国家なので、外貨預金を投資先に選ぶことも選択肢の一つです。外貨預金のメリットは以下の2点になります。

・少額で始められる

・日本の銀行より利率が良い

日本の大手銀行の金利は0.01%ですが、外貨預金では0.1%や0.5%の金利も珍しくありません。日本よりも圧倒的に利率が良いので、中期・長期的な投資にはおすすめです。ただし為替の影響で価格が変動するという特徴もあるので、安定した通貨を選ぶことをおすすめします。一般的には金利が高い国ほどカントリーリスクを孕んでいるので、選ぶ際は十分注意しましょう。

出典:三井住友銀行(http://www.smbc.co.jp/kojin/kinri/yokin.html

不動産投資

不動産投資も初心者にオススメの投資先になります。理由としては以下の3点が挙げられます。

・実物資産を作れる

・将来の収入源になる

・少額からでも始めることができる

不動産投資では、購入する不動産を担保にローンを組むことができます。そのため少額からでも始めることができ、賃貸収入でローンを返済していくことが可能です。またローンの返済が完了したら、実物の資産と毎月の賃貸収入のみが残るので、大きな資産を形成することができます。ただし空室になってしまうと賃貸収入が得られないので、賃貸収入の見込みのある地域で行うことが重要になってきます。

最後に

いかがでしょうか。投資はリスクの高いギャンブルのようなイメージを持たれていますが、実際は中期・長期的に資産を増やしていくことが目的です。さらに投資は勉強することによって、リスクを最小限にして資産を増やしていくことが可能で、資産形成には最適な方法と言えます。

幸いにも、現在はリスクの少ない投資先が増えてきているので、投資先に困ることはありません。自分のライフスタイルに沿った投資先を見つけることで、老後や結婚後に安定した生活を送ることができるようになります。ギリギリになって後悔しないためにも、今から投資に取り組んでみてはいかがでしょうか。