マンションやアパートなどの不動産投資を行うにあたり重要なパートナーになるのがこの「不動産管理会社」です。今回はこの「不動産管理会社」の業務内容や契約方法についてご紹介します。

そもそも不動産管理会社ってなに?

不動産管理会社とは、投資先のアパートやマンションについて資金以外の全てを行う会社です。その業務内容は入退去管理・建物の保守管理・日々の入居者からの問い合わせなど多岐にわたります。その業務の細かい内容についてみていきましょう。

不動産管理会社の主な業務

入居者に関わる業務

不動産管理会社の仕事の大部分を占めるのが、この家賃管理と入居者からの問い合わせ対応についてです。

毎月の家賃が決まった日に振り込まれているか?延滞した場合の督促や退去時の立ち会いと原状復帰についての金額提示と交渉、入居者からのクレーム対応 (他の部屋の騒音・室内のトラブル等)は、個々にしか対応出来ない内容であり、また内容によりスムーズには解決出来ない場合が多く時間と労力を取られる業務です。

オーナーに関わる業務

不動産管理会社は、入居者からの問い合わせの内容により、自社で判断処理できるものであればオーナーに逐次知らせない場合もあります。しかし内容によっては、主に設備や建物管理に関わるものについてはオーナーへ相談の上で対応せざるを得ない場合もあります。

例えば入居者からの要望により、マンションのインターネットを個別契約でなく、一括提供にできないか?
という要望など設備上工事が必要なものに関しては必ず相談されることでしょう。

また、定期的な清掃の他に3年・5年経過後の外回りの保守と点検なども日々建物を管理している管理会社よりオーナーへ
「そろそろ外壁を塗り直しが必要です」など具体的な提案をがあります。

その場合の費用はオーナーが支払うこととなり、業者手配は不動産管理会社の仕事です。また、水漏れやガス等の事故に関してもすべて一時対応は管理会社で行い事故対応にて手続きやお金が必要になる場合はオーナーへ報告されます。

建物に関わる業務

トラブルになりやすい退去に際しての原状復帰について、どこまでが貸主負担で入居者負担はどの程度かなどの交渉も不動産管理会社の仕事です。
以下に主な原状回復の項目をお伝えします、一口に原状回復といっても多岐にわたります。

・壁・床・畳・障子の汚れや破損
・水回り・エアコン・給湯器の劣化の点検
・収納部分の汚れ・カビ
・共有部分の破損などないか(玄関ドアや外壁の破損)

これらを全て点検することになります。
具体的な金額の提示と施工業者の手配とクリーニング業者の手配も全て行います。

入居者付け関連

せっかく投資したアパートやマンションに入居者が入らなければ困りますよね。
不動産管理会社は入居者募集の広告を出したり、入居希望者を内見に連れて行き説明をしたり契約を凍結したりという業務も担っています。

多くの物件の中から選んで契約を決めて貰うまで、何度でも内見に付き合い契約になるまでには時間のかかることもあるでしょう。
また、契約ごとにおいて、賃貸借契約書の締結やその他火災保険契約の締結についても不動産管理会社の仕事です。

初期契約においては、前家賃や敷金の請求と受領、また火災保険の保険料も受領・管理もしなければなりません。
最近ではその他に、引っ越し業者やインターネット業者への紹介なども行っている会社も多いです。

すべての契約書類を締結後にお部屋のカギを渡して入居者付け業務は終了となります。

不動産管理の契約にはどんなものがあるの?

不動産管理会社との契約にはいくつか種類があります。ここではオーナー様と不動産管理会社との契約形態についてご案内します。

媒介契約

オーナーが所有するアパートやマンションに入居者に紹介する際に、複数の不動産管理会社と契約することが可能な契約を「媒介契約」といいます。オーナー側のメリットは多くの不動産管理会社と契約することができ、広い窓口から入居者を募集することができます。デメリットは、契約する不動産管理会社が自分達のメリットを考えて紹介するのでどのアパートやマンションを強く進めるのかはすべて不動産管理会社次第となります。

代理契約

「代理契約」とは先にご紹介した「媒介契約」とは違い入居者付け業務を複数ではなく1社に限定して契約をすることです。「代理契約」のメリットは、信頼できる会社へ一任でき、入居者募集から契約とカギ受け渡しまでを一括して行ってもらえる点で、デメリットとしては、広い募集の窓口ではないので、入居者広告が1社に限定されることとなります。

一般管理契約

物件の中にはオーナーが直接、家賃管理や入居者からの問い合わせ対応などを行っている場合もあるでしょう。
一般管理契約とはこの家賃管理や入居者からの問い合わせ対応を不動産管理会社で請け負うことになる契約を「一般管理契約」といいます。オーナー側のメリットは日常の煩わしさがなく、すべておまかせの安心感がある点で、デメリットは日常業務を一切お任せするため委託料も支払うことになりますので経費がかかるという点です。

一括借上管理契約

「一括借上管理契約」は一般に「サブリース」と呼ばれるものです。「一括借上管理契約」はアパートやマンションの投資相談から建築と施工業者の手配、借り入れする金融機関の紹介や入居者の家賃管理や日々の対応など全てを行う契約になります。オーナー側のメリットは資金を出すだけで、資金繰りや土地の有効活用まで一切をお任せ出来る点で、デメリットは、全て自分で管理する場合に比べれば、管理費を一括借上管理契約に支払うことになるので、費用がかかり収入が減ることです。しかし、他に仕事を抱えている方などにとっては煩わしさもなく有効な契約手段といえます。

管理会社の選ぶ決め手とは?

アパートやマンションの不動産管理会社についてご紹介してきましたが、多くの不動産管理会社から選ぶ際の決め手はどんな点でしょうか。

高い入居者率を維持している

アパートやマンション投資は入居率が重要です。入居者がいなければ、投資額を回収することができません。
高い入居率を維持するために、日々の入居者からの問い合わせ対応やクレーム対応にもスムーズ・的確に対応しなければなりません。

入居者を確保する力がある

これは入居者付け関連付け業務になりますが、入居者募集の広告力によるところが大きいです。多くの媒体に募集をかけて、内見から契約につなげるのは経験が必要です。アパートやマンションの立地に併せて、ワンルームにするか?あるいはファミリータイプの建築にするかなどのオーナーへの提案力も必要になります。

オーナーの満足度が高い

不動産投資オーナーの1番気になることは、いかに早く投資収益を上げることができるか。その為には入居者付けが良く安定した家賃収入が確保できることが重要です。投資に見合った建物を建て、利益が上がる建物を全てお任せできるそんな不動産管理会社こそがオーナーの満足度が高いといえるのではないでしょうか。

担当者が親身にあって対応しているか

不動産投資は高額な金額を投資します。始める前には不安も多い事でしょう。そんな時に担当者がきめ細かい対応と親身になって対応をしているかどうかがオーナーの信頼につながります。「この担当者なら安心」と思える対応が大切です。

会社自体の信頼度が高いか

インターネットでは、世界中の会社の情報を得ることができます。不動産管理会社の規模や経理状況などが、即座に確認出来る時代です。投資したオーナー様や入居者からの不動産管理会社に対する口コミや評価も参考にしてみてはいかがでしょうか。

最後に

選ばれる不動産管理会社とは、経営基盤がしっかりとして投資の相談や入居者対応を安心してお任せできる会社であること。

そんな会社が不動産投資オーナー様から選ばれる不動産管理会社といえるでしょう。
皆様へのご参考となれば幸いです。

 

監修:大長 伸吉(不動産投資コンサルタント)