長く続く超低金利時代。銀行に単にお金を預けているだけでは、資産を効率よく増やすことはできません。「投資をしないと賢くお金を増やせない」と多くの人が考えるのも、あながち間違ったことではありません。しかし、投資初心者を狙った詐欺が横行しているのも事実です。投資詐欺にはどのような手口があるのか、また、どのように詐欺を見破ることができるのか探っていきましょう。

まずは最新の投資詐欺の手口を知ろう

投資詐欺に騙されないためには、「投資詐欺の手口を知っておくことが大切」です。よくある投資詐欺の手口を紹介しますので、似たような話を持ちかけられた場合は、注意することが必要です。

未公開株

「まだ市場に公開されていない株式だけど、上場したら2倍にも3倍にも価格が高くなるから」と言われて、零細企業の非公開株券や架空会社の株券を売りつけられることがあります。

確かに新規上場株(IPO)を購入してすぐに売却すると、購入価格の数倍の価格がつくことも多く、株式投資の中では確実性の高い投資として知られています。しかし、未公開株や非公開株の話は、IPOとは異なりますので、話を持ち掛けられた場合には正しい情報であるのか根拠を確認することが大切です。

投資セミナー

投資に役立つ話が聞けるセミナーはたくさんあります。しかし、中にはわざわざお金を払って聞く価値がないような高額のセミナーや、セミナーと言いつつ特定の銘柄や企業に投資させようとする会合もあります。

仮想通貨

最近、よく問題になる「仮想通貨」ですが、仮想通貨自体は違法なものでも詐欺まがいのものでもありません。実際に仮想通貨に投資をして利益を得ている人もいますし、仮想通貨を使った事業も数多くあります。

しかし、危険性があることも事実です。「今買っておくのがお得」とか「絶対に将来高くなるから」という勧誘話で、損失を受けたという事例もあります。言葉を鵜呑みにするのではなく、流通量や流通域、リスクなどをしっかりと把握してから投資するようにしましょう。

バイナリーオプション

為替が上がるか下がるかの二者択一で投資ができる「バイナリーオプション」。投資や為替への深い知識がなくても参加できる気軽さから、人気の投資方法の1つとなっていますが、為替が上がるか下がるかの結果がわずか数秒で出るため、ギャンブルと同じく中毒性が高く、何度も繰り返して損失が急増する可能性もありますので注意が必要です。

架空事業への投資

「絶対に伸びる業種だから」「上場すれば元手の何倍にもなるから」と、架空事業への投資を勧める詐欺も横行しています。
儲け話を持ちかけられたときは、主催者が信用できるかどうかはもちろんのこと、その事業が実体を持つのか、資金計画に無茶な点はないのかもかならずチェックするようにしてください。

劇場型詐欺

複数の詐欺師が組織的に動くことで、あたかもお芝居の登場人物の1人になったかのような騙され方をしてしまうことを「劇場型詐欺」と言います。

例えば、Aという人物から投資話を持ち込まれてあなたが騙されそうになったところを、Bという人物に「それは騙されているよ」と注意を受け、Bのおかげで被害を出さずに済んだとします。徐々にBという人物を信じるようになってきたときにBからCという証券アナリストを紹介され、Cに「このファンドには投資すべき」と勧められます。

BだけでなくDという顧客もCが勧めるファンドに投資をすることで、「このファンドは安心だろう」と、ついあなたも信用して投資してしまうのではないでしょうか。しかし、実際のところはA・B・C・Dいずれもがグルで、組織的にあなたを騙していた…ということがあるのです。

信頼できる業者と安心できる商品

いくつかの代表的な投資詐欺を紹介しました。しかし、もっと複雑な手口やインターネットを使った手口、知人を装う手口などさまざまな詐欺方法がありますので、騙されずに投資をすることは容易なことではありません。信頼できる業者の見分け方、安心できる商品の見分け方について探っていきましょう。

信頼できる業者とは

個人的に投資を持ちかけてくる場合は、余程古くからその人を知っているときや信頼に値すると判断するときしか関わらないようにしましょう。しかし、その個人を信頼していたとしても、お金が絡むと今まで築き上げた信頼が一瞬で崩れてしまうこともあります。本当に捨ててしまっても良いと思われる金額以上の投資はしない方が賢明です。

*会社情報がHPに記載されている

業者などの団体から投資を持ちかけて来られたときは、まずは業者の情報をインターネットで検索してみて下さい。会社情報や会社の活動を記した公式サイトがあるのかどうか、そのサイトは信頼でそうか厳しい目でチェックする必要があります。あまり聞きなれない企業名のときは、インターネットで企業に関する評判も確認して下さい。

*投資商品を扱うために必要な免許・登録・許可を受けている

会社自体が存在し、公式サイトも存在していたとしても、その会社が正規の投資会社であるという理由にはなりません。投資商品を扱うための必要な免許を持ち、金融庁から許可を受けて正規に金融業者登録を行っているのか、金融庁の公式サイトで確認する必要があります。また、金融庁では過去に無登録で投資斡旋等を行った業者名も公開していますので、怪しいなと思ったらすぐに確認してみるようにしましょう。

出典:金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html

投資詐欺に遭ってしまった場合の相談窓口

投資詐欺に関する情報も多数出回っていますので、詐欺者側のスキルや手口もどんどん巧妙になってきています。そのため、どんなに注意をしていても投資詐欺に遭ってしまう場合もあります。万が一、投資詐欺に遭ってしまったときは、次の相談窓口を利用するようにしてください。

金融サービス利用者相談室

すでに投資詐欺に遭ってしまった、また、詐欺かどうか分からないけれど騙されているような気がするときは、金融庁の「金融サービス利用者相談室」(0570-016811もしくは03-5251-6811、平日10:00~17:00)に電話をかけて相談しましょう。ご自身の銀行口座や証券口座が悪用されている可能性があるときも、ぜひ相談してみて下さい。相談することでどこに問題があるかを整理することができます。また、悪質業者の情報を共有することで被害拡大を未然に防ぐことができるだけでなく、詐欺業者の早期逮捕にも繋がります。

また、投資に対して不安があるときは、「金融サービス利用者相談室」の「事前相談」(0570-016812もしくは03-5251-6812、平日10:00~17:00)を活用しましょう。詐欺の手口や詐欺に遭わずに契約する方法についてのアドバイスを得ることができますよ。

出典:金融サービス利用者相談室https://www.fsa.go.jp/opinion/

「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター

株や社債の投資詐欺を持ちかけられたとき、また、株や社債の詐欺被害を受けたときは、日本証券業協会が運営している「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター(0120-344-999、平日9:00~11:30、12:30~17:00)に電話をかけて下さい。怪しいかなと不安に思ったら、すぐに相談してみましょう。

「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンターでは、警察に通報する必要があると判断したときは、相談者の許可を得たうえで被害者の実名を使って警察に通報します。通報することで、詐欺業者の早期逮捕にもつながりますし、被害額が取り返せることもあります。いきなり警察に電話をすることはためらわれるときは、まずは被害防止コールセンターに電話をかけてみてはいかがでしょうか。

出典:日本証券業協会http://www.jsda.or.jp/sonaeru/inv_alerts/toushisagi/index.html

消費者ホットライン

独立行政法人・国民生活センターが運営している「消費者ホットライン」。局番なしの188で電話がつながりますので、いざというときもすぐに連絡することができます。詐欺被害に遭ったときだけでなく、勧誘の方法や内容に疑問を感じたら、気軽に問い合わせて見ましょう。

出典:消費者ホットラインhttp://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/

金融サービス利用者相談室への相談状況

金融庁の「金融サービス利用者相談室」に問い合わせる人数は増えています。実際に、2017年10月~12月の3ヶ月間の問い合わせ件数は9,055件と、同年7月~9月の8,173件と比べて増加しています。

相談項目別受付状況

もっとも多い相談項目は「預金・融資等に関する相談等」で2,514件です。次いで、「投資商品等に関する相談等」で2,466件「保険商品等に関する相談等」で1,873件となっています。相談件数の増加率がもっとも高いのは「仮想通貨等に関する相談等」の1,141件で、2017年7月~9月の3ヶ月と比べて456件も増えています。

年代別相談件数

年齢が分かる相談の中で、もっとも多かったのが60代、次いで70代、80代と、高齢者の相談がおおよそ半分を占めていました。このことから、高齢者をターゲットにした投資詐欺が多いことと投資詐欺に騙される高齢者が多いことが分かります。

出典:金融庁HPhttps://www.fsa.go.jp/soudan/2017soudan10-12/2017_10-12.html

みんなの質問

よくある質問に対しての答えをまとめました。

仮想通貨で聞いたこともない通貨に投資しないかといわれたのですが

仮想通貨は実体のない通貨ですが、現金同様に資金決算手段として利用できます。まったく聞いたこともない通貨への投資は危険ですので避けておく方が賢明ですが、魅力を感じたときは、事前にインターネットで情報を収集してみましょう。おおよその流通量や価格変動が判明すると、投資するかどうかを判断しやすくなります。

人を紹介して情報商材を販売していくことは投資になるのですか?

インターネット上で横行している詐欺の1つに「教材詐欺」というものがあります。大抵はお金を設ける方法をまとめたテキストを販売する詐欺ですが、内容の薄いテキストを法外な値段で買ったり売ったりする手法ですので決して投資とは言えません。それどころか、あなた自身が商材を販売した場合、ねずみ講行為を働いているとみなされ加害者として訴えられる可能性もあるでしょう。

利回り50%の投資があるといわれたのですが本当にあるんですか?

利回り50%とは、100万円の原資が1年後に150万円に増えることを意味します。まったくあり得ない話ではないですが、利回り50%が「確実だ」ということは絶対にあり得ません。

最後に

投資に興味を持つ人が増える中、投資詐欺も増えています。安易に儲け話に乗るのではなく、正規の業者が正規の手法で実施している投資なのかを見極め、慎重に行動することが大切です。万が一、詐欺に遭ったときは、金融庁や日本証券業協会等のコールセンターに直ちに相談して下さい。