みなさんNISAは活用していますか?資産運用をするなら、NISAを上手に活用することで大きな節税につながります。しかし活用するためにはNISAについて知識を学んだうえで始めなければなりません。今回はNISAの基礎のイロハから、今人気のおすすめ銘柄までご紹介します。

NISAとは?初心者向けの基礎知識

NISAとはどんな制度なのでしょうか。日本でスタートした経緯から基礎的な知識まで、NISAについてわかることをご紹介します。

イギリスのISAをモデルにして作られた制度

NISA「少額投資非課税制度」というのが正式名称です。少額投資非課税制度は日本では2014年にスタートしました。もともとはイギリスで1999年にスタートしたもので、日本の非課税口座制度はこのイギリスの非課税口座制度(ISA)をモデルに作られたものです。

日本では個人の金融資産は圧倒的に預貯金という形で保有されている率が高く、投資お金を回している人は少ないという傾向にありました。そこで少額からスタートでき、上限金額までは非課税になる制度を導入することで、これまで投資に縁のなかった人々が手軽に投資信託にトライできるようになることを目的に開始されました

株式投資などに預貯金が活用されるようになると、これまでプールされているだけで動きの無かったお金が流動的に動くようになります。これにより経済が活性化し、経済成長につながると国が考えた上での制度なのです。

NISAは少額投資非課税制度の事

NISAはご紹介したように少額投資非課税制度のことです。下限金額はなく各金融機関で最低額の銘柄から使用できます。たとえば500円が最低額であれば、500円からスタートできます。また、上限金額が設定されており年間の上限額は120万円になります。120万円を一気に1銘柄に使用してしまっても大丈夫ですし、いくつかの銘柄に分散することも可能です。また利益は受け取ることも可能ですし、元本として再投資しながら増やしていくことも可能です。

NISAの特徴について

それでは、NISAの特徴についてひとつずつ詳しく解説していきます。NISAを選ぶ時に覚えておきたいポイントについてチェックしていきましょう。

年間120万円以下の投資で得た利益が非課税になる

NISAは年間120万円以下の投資で得た利益が非課税になります。たとえばNISA口座にて投資をすると、受け取る利益には税金がかかりません。通常投資によって得られる利益には20.315%もの所得税等が課せられるためかなりの節税になります。一方、利益受け取りではなく再投資を選択し年間投資額が120万円を超えてしまった場合、120万円を超えた部分が課税対象になります。再投資型を考えるなら、再投資額込みで年120万円以内におさまるようにしましょう

 5年経過後ふたたびNISAにロールオーバーできる

5年の非課税期間が終了したら投資は終わりというわけではありません。通常5年経ったらNISAから特定の投資信託用口座に保有していた商品が課税口座へ払い出されます。そこで5年経った時点で手続きを行えば、ロールオーバといって再び翌年のNISA買い付け可能枠内で投資を継続できます。またNISA口座からNISA口座へのロールオーバーなら、上限の120万円を超えていてもロールオーバー可能ですロールオーバー額が120万円以下であれば、その額を基礎に上限120万円になるように追加投資することも可能です。つまり、ロールオーバーの手続きを取れば非課税期間は10年間になるということです。

NISAのメリット

NISAの特徴はそのままメリットでもありますが、それ以外にも嬉しいメリットがあります。タンス預金と同様口座に眠らせておくだけの資産をお持ちなら、節税に役立つNISAを活用してみてはいかがでしょうか。

普通の口座で得た利益より税額が少ない

一般的に投資信託などで得た利益には20.315%もの所得税等が課せられます。つまり10万円の益が出ても、手元に入ってくるのは8万円になってしまうということです。利益が大きくなればなるほど税金の額も大きくなります。しかしNISAは120万の投資に関する利益に対しては税金がかからず節税効果が得られるのです。

確定申告の必要が無い

NISAで得た利益には確定申告の必要がありません。たとえば会社員の方は一般的に確定申告の必要ありませんが、副業や投資で大きな利益が出れば確定申告をしなければならなくなります。しかしNISAで得た利益に関しては確定申告の必要はありません。そのため年末調整後の面倒な手続きも必要ないのです。

NISAのデメリット

NISAにはメリットもありますが、投資商品に関わる以上デメリットもあります。利用する前にデメリットもよく理解しておきましょう。

非課税期間が5年間しかない事

非課税期間は5年間しかありません。そのまま放置しておくと、課税口座へ払い出されてしまいます。そのため非課税期間を延長してさらなる利益を求める場合は、面倒でもロールオーバーの手続きをしてしっかり非課税期間を10年に延ばしましょう。

損益を相殺(損益通算)と損失繰り越しができない事

NISAではなく通常の投資用口座を複数使っている場合、それぞれの利益と損失を1年分合算することで純粋な利益だけを計算し、税負担を軽くすることができます。これを損益通算といいます。たとえばAの口座で50万の利益が出ていると、その利益に対して10万円もの所得税等を払わなければなりません。

しかしマイナス30万の損失が出ている口座があれば、損益通算して利益は20万円となり所得税等4万円で済みます。この差はかなり大きいです。多くの方はさまざまな投資を行ってリスクヘッジをしているため、損益通算行っている場合が多いかと思いますNISAでは他の口座との損益通算3年間にわたって損失を繰り越す繰越控除もできませんNISAはの投資で大きな利益が出た時の節税対策にもなりませんし、NISAで大きな損失が出た場合も他の利益で穴埋めができないのです。

つみたてNISAと併用できない

NISAには新しく開設されたつみたてNISAという制度がありこれは運用期間が20年と非常に長1人につき1口座と限られています。また、NISAとつみたてNISAは併用できませんが、個人型確定拠出年金のiDeCoとは併用可能です。

NISAおすすめの注目銘柄はこれ!

NISAを利用するならどのような会社の株式に注目すべきなのでしょうか。参考にいくつかご紹介します。※投資はあくまでも自己責任でお願いいたします。また、利益を保証するものではありません

アシックス

今後2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本のスポーツ用品メーカーということで注目されている銘柄です。オリンピック・パラリンピックへの前哨戦も多く放送されるようになり、CMや試合でもよく目にするようになることが多い企業のひとつです。今だからという旬の銘柄です。

セコム

セコムもアシックスと同様、東京オリンピック・パラリンピックにおける犯罪・テロ対策などで期待が寄せられている企業です。世界中から人々が東京・首都圏に集まるため、セコムの役割も大きなものとなることが予想されます。そのため、アシックスと並んで今が旬の銘柄として注目されています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は日本の自動車産業で盛んになっている自動運転システムなどで注目を集めています。ただし自動車業界ではさまざまなデータ改ざん問題などがあり評価が下がっている企業も少なくありません。そのような中でも人気を保っているのがトヨタ自動車と言えるでしょう。プリウスの登場から海外での知名度も高くエコというイメージも強い企業です。

パーソルホールディングス

パーソルホールディングスは2013年にインテリジェンスを買収して一躍有名になりました。人材派遣事業が有名な企業で、インテリジェンス買収によってより広く人材事業を手掛けることに成功しました。企業としての人気は高く、売り上げ・利益ともに順調に増加をたどっています。また男女の性差別も少なく、働き方改革にも前向きな会社として注目されています。

富士フィルムホールディングス

カメラのフィルムで知られていた富士フィルムホールディングスですが、カメラ関連のノウハウやフィルム関連のコラーゲン研究を発展させ、さまざまな分野で大きく花開いた企業です。特に複写機や複合機など情報通信機器や基礎化粧品・医療用機器に関してはCMでも取り上げられ、多くの人々が「富士フィルムの今」について知ることになりました。利益も年々増加しており、注目銘柄のひとつです。

NISAもリスクのある投資信託!銘柄選びは自己責任で慎重に

NISAは投資上限決まっています、課税されないとてもお得な制度です。国が始めた制度ということで「絶対に安心安全」と思われるかもしれませんが、投資信託は必ずリスクがつきものです。どんなにおすすめの株式でも、リーマンショックの時のように一気にすべてが下落する危険もあるものです。NISAも投資である以上、元本割れや元本を失う危険は常にはらんでいることを忘れてはいけません。初めての投資ならハイリスクハイリターンな金額や銘柄ではなく、ローリスクローリターンな金額からスタートすると安心かもしれません。

監修:大間武(ファイナンシャルプランナー)