土地や家、マンションなどの不動産資産を保有している人にかかる税金として固定資産税があります。税金は難しいと感じている方でも、実際に固定資産税がいくらかかるのかは知っておきたい情報です。今回は、固定資産税がどのくらいになるのか?また、固定資産税の支払い方などをまとめていきます。これから不動産を購入予定の方はもちろん、すでに購入済みの方も確認しておきましょう。

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や家屋、アパートやマンションなどの不動産を所有している方に対して課税される税金の事です。

事業をされている方は、事業用の設備等の資産の所有に対しても固定資産税の一種である償却資産税が課税されますが、今回は、主に不動産資産に対して課税される固定資産税についてまとめていきます。

固定資産税の対象になるものは?

土地や戸建、アパートやマンションなどの不動産を保有していると課税対象になります。持ち家がある方や、相続などで先祖の土地を受け継いだ方などは固定資産税の支払い義務が発生します。

固定資産税は誰が徴収するの?

固定資産税は地方税になりますので、住民税と同じく、課税対象である不動産が存在している市区町村に対して支払う税金になります。毎年、4回に分割された納付書や、納税金額の記載された納税通知書が送られてきます。

固定資産税と都市計画税ってどう違うの?

固定資産税と似た税金に、都市計画税があります。

市区町村によっては、都市計画税が課税されない場合もあります。課税される場合は固定資産税と合算で請求がくるので見落としがちですが、ここでは違いについて確認しておきましょう。

固定資産税の税率

固定資産税は課税標準額の1.4%になります。

この評価額は、地価によって変動しますので3年毎に見直されます。地価が安くなれば固定資産税は下がりますし、反対に地価が高くなれば固定資産税は上がります。そのため、同じ大きさの土地や建物であっても固定資産税の金額は違ってくるのです。

都市計画税の税率

都市計画税とは、都市計画法による市街化区域内に所在する土地と建物に課せられる税金で、利用目的は公園、道路、下水などの整備に使われます。

市区町村によってかわりますが、制限税率で評価額0.3%が上限となります。

固定資産税と都市計画税を合わせて、固都税とも呼ばれています。固都税は毎年納める義務がありますので、きちんと準備しておかないと予想外に支払いが厳しくなってしまう事もあるので注意しておきましょう。

固定資産税の発生タイミング

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額(課税標準額)をその固定資産の所在する市区町村が課税する税金です。

一旦課税されると、建物などの減価償却対象資産の固定資産税は少しずつ下がりますが、下げ止まり、そのまま建物が取り壊される等でなくなるまで課税されます。ただ、固定資産税が『0円』になることは、まずありません。

戸建てを新築で建てた場合

次の2つの事例を元に開設します

A: 2014年1月2日に家屋(建物)が完成

B: 2013年12月31日に家屋(建物)が完成

前提として2013年に土地は取得しているものとします。

Aの場合、2014年1月1日に建物が完成していないため、建物には課税されません。完成後に、役所の担当者によって評価され、課税される事になります。

Bの場合、2014年1月1日に建物が完成しているので、建物にも課税されます。そして、2014年4月以降に、納付書が送付され、一括、もしくは4期の分割にて納税することになります。

Bの場合、2014年から建物の固定資産税を納税することになりますので、Aに比べると、建物の固定資産税を一年分早くから納税することになります。

土地取得と建物建築年度が同じ

先ほどのBの場合になります。ですので、土地、建物共に2014年から課税されます。

土地取得と建物建築年度が違う

先ほどのAの場合になります。ですので、土地は2014年から課税されますが、建物は2015年からの課税になります。

一見お得に見えますが、もしかしたら支払いの合計金額が多くなってしまう可能性がありますので、土地の固定資産税について、もう少し詳しく見ていきましょう。

実は、建物の建設されていない土地は固定資産税が高いのです。

より正確に言うと、居住用に使われている家屋の建てられている土地に関しては、税金の優遇があるので、土地だけを持っているよりも固定資産税が安くなります。

例えば、住宅が立っている土地の場合、小規模宅地の適用を受ける事ができ、200㎡までの部分については、固定資産税が6分の1、都市計画税は3分の1になります。

土地の評価額が3,000万円だとすると、500万円に下がることになりますので、大きな違いになります。

この特例があるため、もう使われていない古くなった建物が、壊されずに放置されている原因にもなっているのです。

建物がないと土地の固定資産税が高くなる。逆に言うと建物があれば土地の固定資産税が安くなりますので、場合によっては土地の取得年に建物を完成させた方が固定資産税がトータルでお得になることも起こり得るのです。

中古の戸建てを購入した場合

中古の場合、1月1日時点の所有者の方に1年分の納税通知書が届いていますので、その年には納税通知書が届きません。

ただ、不動産売買の慣例として、引渡し日以降の固定資産税の日割分は買主が負担するとされている事が多いです。

例えば、2014年3月31日に中古の戸建を取得した場合、2014年4月1日から2014年12月31日までの9ヶ月分の固定資産税は購入時に固定資産税相当額として精算されることが多いです。

ただし、あくまで慣例ですので、法的な強制力はありません。売主によっては交渉が可能な場合もあります。

新築マンションを購入した場合

新築マンションを購入した場合は、引渡しされた翌年の1月1日から課税対象になります。

中古マンションを購入した場合

中古戸建てと同じく、慣例として引渡し日からの年間の固定資産税の日割り分を固定資産税相当額として買主が売主に払うのが一般的です。もちろん、中古戸建てと同じく、法的な強制力はありません。

支払い方法と注意点

固定資産税を支払う時期と注意点についても確認しておきましょう。

固定資産税の通知時期とは

納税通知書が届く時期は、市区町村によって異なりますが、納付期限の10日前までには届くはずです。これは地方税法にて定められていますので、届かない場合は漏れてしまっている可能性があるので、役所に確認したほうが良いでしょう。

固定資産税の納付期限とは

固定資産税の納付期限は納税通知書に記載されています。全期分一括納付用の納付書と、年4回の分納用の納付書が同封されているので、どちらかを使用します。

基本は年4回の分割納付

固定資産税の納付方法は、基本的には年4回に分けられています。

例えば、東京23区の納付期限は、6月末、9月末、12月末、2月末になります。末日が土日祝日の場合は翌月1日などが納付期限になります。

3期(12月)と4期(2月)の期間が近いので注意が必要です。

固定資産税の法定納期限とは

もしも固定資産税の支払いが厳しい場合、市区町村に相談することで、分割や期日を伸ばしてくれる場合もありますが、法的納期限という税金を納付する期限があります。

この期間を過ぎてしまうと課税する権利がなくなってしまうので、この期限を過ぎて支払いを伸ばしてもらうという事は難しいでしょう。固定資産税の場合は5年間と定められています。

ただ、元々の納付期限をすぎれば、遅延金も発生してしまいますから、できる限り期限内に支払うようにしていきましょう。

固定資産税の4つの支払い方法

こちらでは固定資産税の支払い方をまとめていきます。

現金の窓口支払い

最も一般的な支払い方法になります。役所の窓口だけでなく、最寄りの金融機関や郵便局などで支払い可能です。納付期限内で、固定資産税の納付金額が30万円以内の場合でバーコードの記載がある場合は、コンビニでも支払ができます。

口座振替による自動支払い

事前に指定した口座から引落されます。口座引落は支払いの手間がなくなりますし、確実に支払えることもあり、便利な支払い方法になります。各市区町村でも口座振替の手続きを勧めているところが多いようです。

インターネットバンキング、モバイルバンキング

ネットバンクやペイジーを利用した支払いができる市区町村も増えてきました。

これによって自宅にいながらや、ちょっとしたスキマ時間でも支払いが可能になります。

クレジットカードでの支払い

クレジットカードを利用した支払い方法も増えてきています。市区町村ごとに支払い専用のWebサイトがありますので、確認してみましょう。クレジットカードで支払う場合、納付金額以外に別途、納付金額に応じた手数料がかかります。

固定資産税を払い過ぎないように気をつけること

最後に固定資産税を払い過ぎないように注意する項目をまとめていきます。

税金を支払った後に気が付いたときには還付請求

固定資産税の税額の計算ミスが起きてしまうこともあります。原因の多くは、適応されるべき特例が計算されていないケースなどが多いようです。

もし、払い過ぎに気付いた場合は、きちんと還付請求をしましょう。支払うべき税金は支払う必要がありますが、支払わなくて良い税金を支払ってしまった場合、きちんと請求することが大切です。

タワーマンションは高層階の方が固定資産税が高いって本当?

平成29年度の税制改正によって、高層階の方が高くなる計算方法が採用されました。平成30年1月1日時点で所有しているタワーマンションから適応になります。以前は、同じマンションであれば1坪単位の床面積で計算されていたのですが、タワーマンションの低層階と高層階では市場価格の評価が大きく違ってくるという事がありますので、新しい計算方法になりました。

最後に

いかがでしたでしょうか?今回は、固定資産税の支払い方を中心にまとめていきました。固定資産税は支払い時期などが市区町村によって異なりますので、お持ちの不動産がある市区町村のルールをしっかりと確認し、うまく固定資産税と付き合っていきましょう。

監修:添田裕美(税理士)