不動産投資を行う場合は、資金繰りを行うためや正確な利回りを把握するためにも、税金に関する知識を知っておく必要があります。不動産投資にかかる税金は、取得時、保有時、売却時に分けて理解するとよいでしょう。

不動産投資で税金がかかるのはどんな時?

賃貸アパート経営などの不動産投資をする場合は、空室対策をしたり、家賃回収をしたり、修繕対応をしたりなどの実務が発生しますが、それ以外にも資金繰りや税金の対応が求められます。特に、税金に関する知識がないと納税見込額が計算できず資金繰りができませんし、税金支出まで含めた正確な物件利回りを把握することもできませんので、不動産投資をする場合にはどんな税金がかかるのかを知っておく必要があります。

不動産投資にかかる税金は、物件購入時にかかる税金である不動産取得税や登録免許税、印紙税など、物件保有時にかかる固定資産税や都市計画税、所得税、住民税、復興特別所得税など、そして物件売却時にかかる所得税、住民税、復興特別所得税などがあげられます。

不動産を取得した時にかかる税金は?

最初に確認するのは、不動産を取得した時にかかる税金です。不動産を取得した場合は、所有権を第三者に対抗できるようにするためにも登記をするのが一般的です。登記は不動産の管轄法務局で行いますが、登記料が求められます。

これが登録免許税です。登録免許税は国税で、登記理由によって税率が変わります。また、不動産購入時には都道府県税である不動産取得税も負担する必要があります。

この税金は登記をしない場合でもかかりますので注意が必要です。また、物件取得時には、中古であれば売買契約書、新築契約であれば建築請負契約書、ローンを借りる場合には金銭消費貸借契約書が必要になります。こういった契約書を作成する場合は、国税である印紙税の貼り付けが求められます。

不動産を所有している時にかかる税金は?

不動産を所有している時にかかる税金は大きく分けると2つあります。ひとつは、資産を保有していることに対してかかる税金、もうひとつは賃貸経営から生まれる利益に対して課税される税金です。

1つ目の資産保有に対する税金としては、固定資産税と都市計画税があります。

固定資産税は、市町村にある不動産などが課税対象となる市町村税で、課税標準は固定資産税評価額、標準税率は1.4%です。都市計画税も似た特徴を持つ税金ですが、都市計画区域内の不動産物件だけが課税対象であること、制限税率が0.3%であることなどが固定資産税と違います。

2つ目の賃貸利益に対して課税される税金は、所得税と住民税、そして所得税に対して2.1%かかる復興特別所得税です。賃貸アパート経営から生まれる利益は、所得税の計算上、不動産所得に分類され、給与所得などと合わせて総合課税されることになっています。

不動産を売却する時にかかる税金は?

最後は、不動産を売却する時にかかる税金です。

売買契約書を作成するため購入時と同様に印紙税がかかりますが、それ以外の税金としては、所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。もちろん、売却損になった場合は課税されることはなく、あくまで売却益があった場合だけが課税対象になります。ただし、注意点があります。それは、不動産の保有期間です。保有期間が短期である譲渡益に対する税率は、長期譲渡の売却益に対する税率の倍近くになってしまいます。

長期譲渡益に対する税率は所得税・住民税合計で20%、短期譲渡益については39%です。短期、長期は、売却した年の1月1日時点で5年間を超えて保有している場合は長期、5年以内の場合は短期だと判定します。実質的に5年間保有していても短期に該当する場合がありますので、売却時は短期譲渡に該当しないかどうかよく確認をする必要があるでしょう。