賃貸物件で内装を変更するのは、契約上難しいことが多いですが、はがせるタイプの壁紙であれば、気軽にリフォームを楽しむことができます。リフォームを本格的に行いたい場合は、自分で自由に賃貸物件をカスタマイズできる、DIY可能物件もあります。

また、賃貸物件をリフォームする場合は、明渡し時に現状に回復するための費用を支払う必要があるかどうかも気になるところです。ここでは、賃貸物件でリフォームを楽しむために便利な情報をご紹介します。

不動産賃貸物件で壁紙を変えるには

賃貸物件でも壁紙を変えることができれば、引越しをしたかのような気分になることができます。簡単に壁紙を変えるにはどのような方法があるのでしょうか。

壁紙を変えるだけのお手軽リフォームが人気

同じ部屋を長く使用していると、どうしても飽きてしまいがちです。そんな時は、部屋をリフォームして気分も一新したくなりますが、賃貸物件の場合は、自分で好きなようにデザインする訳にもいきません。

そんな時に便利な方法は、部屋の壁紙を変えてみることです。ノーマルな白色の壁紙を、デザイン性の高い色や模様に取り替えるだけで、部屋の雰囲気を大きく変化させることができます。

壁紙を変えるのは契約上や手間がかり難しいという場合には、リフォーム用のシールやテープを使用することで、手軽に部屋の雰囲気を変えることもできます。賃貸物件でも気軽にチャレンジできるリフォーム方法になっています。

ウォールステッカーを使う

ウォールステッカーは、様々な色や絵柄のステッカーをシールのように壁に貼るだけで、簡単に部屋をお洒落に変えることができる便利なアイテムです。壁紙全体を張り替えなくても、ステッカーを貼るだけで手軽に部屋の(レイアウト)や雰囲気を変えることができるのが、ウォールステッカーの大きな魅力です。

賃貸物件の部屋をお洒落に変身させるためにウォールステッカーを活用するコツは、壁紙や部屋のテイストに合わせて最適なステッカーを選ぶことです。
例えば、カーテンの色と同色のステッカーを使用したり、家具がクラシカルな雰囲気であれば、似たようなテイストのステッカーで合わせるのがポイントです。

アクセントになるシールを貼る

トリムボーダーという壁紙用のシールを貼れば、壁紙全体を取り替えなくても部屋に簡単にアクセントを添えることができます。
トリムボーダーは帯状になっているシールです。壁紙の腰から肩までの高さくらいの位置に、横向きに伸ばすように貼っていくことで、無地の壁紙に華やかな模様をつけることができます。

シックな花柄でオリエンタルなムード、鮮やかな薔薇模様でエレガントなムード、カラフルな動物柄でファンシーなムードなど、デザインによって様々な雰囲気を演出できるのがトリムボーダーの魅力です。

シールで簡単に剥がすことができるので、賃貸物件にも使いやすくなっています。模様を演出するだけでなく、上下で異なる壁紙にしたい場合など、その境目を隠すのにも役立ちます。

巨大マスキングテープ・アクセントクロスを使う

マスキングテープは、塗装の際に塗料がはみ出ないように貼る粘着テープですが、壁紙の替わりに使用できるものも販売されています。

一般的なマスキングテープの幅は1センチ程度ですが、インテリア用のものは30センチくらいの幅のものもあります。
様々なデザインのものが用意されているので、部屋の雰囲気にあわせて好みのものをセレクトすることができます。加工しやすいので、押し入れなどの面積が小さい場所にも便利です。

部屋の壁紙の一部だけを取り替えることができる、アクセントクロスというアイテムもあります。好きな色や柄を選んで、気軽に取り付けられる手軽さが魅力です。
本物のコンクリートのような柄でシックに、木目調のデザインでナチュラルに、モノトーンのストライプでクールに、など様々なスタイルが楽しめます。

壁の上にベニヤ板を張ってその上に壁紙を貼る

昭和の時代に建築された戸建住宅やアパートなどの物件では、砂壁を用いた和室の間取りのものも多く見受けられます。
砂壁は砂や砕石などを材料とする壁で、防火性が高く部屋の湿度を保つなどの機能があります。反面、人や物がぶつかると壁面が剥がれてしまいやすいという特徴があります。

古い砂壁は暗い感じがあり、剥がれがあるものは見た目も悪くなってしまいます。また、砂壁はデコボコが多く崩れやすいため、壁紙を直接貼り付けることは難しくなっています。砂壁に壁紙を使用するためには、まず壁にベニヤ板を張ってから、板の上に壁紙を貼り付ける方法が有効です。

簡単な方法としては、まず砂壁にベニヤ板を重ねて、端の部分に釘を打って固定します。板をきちんと固定したら、上から好みの壁紙を貼り付ければ完成です。
古くて崩れやすい壁もベニヤ板を間に挟むことで、色鮮やかな壁紙のデザインを楽しむことが可能になります。

女性などデザインに凝りたい人に人気

壁紙はアイデア次第で様々な雰囲気を演出することが可能ですが、女性などデザインに凝りたい人向けに、壁紙のコーディネートのポイントをご紹介します。

花柄の壁紙は、派手なカラーリングだと他のインテリアとの調和が難しくなります。シックな色合いのグリーンに白などの明るい色の花が施されたものは、同じグリーンの家具や木製のインテリアと組み合わると、非常に上品な雰囲気になります。

また、賃貸物件はシンプルな色合いの間取りが多いため、どうしても地味になりがちです。子供が描いたような優しいタッチの手書き風のイラストの壁紙を取り入れると、部屋全体を優しく暖かい雰囲気に仕上げることができます。

DIY可能物件も登場!貸主のメリットは?

本格的なリフォームを楽しみたい方向けに、自分で内装のDIYが可能な賃貸物件も登場しています。DIY可能物件はどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。

好きな内装にDIYでリフォームできる

DIY可能物件とは、自分で好きなように内装をリフォームできる賃貸物件です。欧米では親しまれた存在ですが、日本にも本格的に浸透してきています。

普通の賃貸物件の場合は、あらかじめ定められた間取りの範囲内で生活することになるため、リフォームという観点からはどうしても制限が多くなります。

DIY可能物件は自分でリフォームできるので、通常の物件と比較して自由度が非常に高くなっています。賃貸物件でありながら、世界に一つだけの自分の家を作り上げることができるのが魅力です。

大家は自分で内装工事をしなくても良い

DIY可能物件は、大家にとってもメリットがあります。通常の賃貸物件は、入居者を確保するために事前に様々な手入れが必要になってきます。壊れた部分は修繕し、古くなりすぎたものは新しく取り替えます。それで入居者が確保できれば良いですが、せっかく手を入れても入居者がつかないリスクもあります。

その点、DIY可能物件であれば、安全面などの最低限の手入れを施してから現状で引き渡すことができます。大家にとっては、自分で高額な費用を負担して物件の内装工事をすることから解放されます。
また、借主が綺麗にリフォームしてくれた場合は、部屋の引渡しの際に内装などが賃貸貸出前よりランクアップしている可能性もあります。

入居者が長く住んでくれる可能性が高い

DIY可能物件は、借主が長く住んでくれる可能性が高くなるとも考えられます。通常の賃貸物件は建物の内装に大規模な変更を加えることができないため、内装に不満があっても我慢することになります。
不満のある借主は、自分のニーズを満たしてくれる物件が見つかれば移ってしまいます。

自分で改装のできるDIY可能物件であれば、借主は好みに合わせて自由にリフォームすることができます。自分の好みに改装することで快適に暮らせるようになるため、物権に対する満足度が高まります。

また、自分で苦労してリフォームすることで物件に対する愛着が湧き、長く住み続けたいと思うようになります。

どこまで変えられるか最初にキチンと決めておかないとトラブルも

自分のセンスで好きなようにリフォームできるのがDIY可能物件の大きな魅力ですが、何事にも限度というものはあります。

内装の範囲を超えて建築部分まで手を出してしまった、リフォームに失敗して部屋を壊してしまった、というような場合には、DIYをする前の状態に原状回復しなければならなくなります。

また、どこまでがDIYとして許されてどこからがNGなのか、借主と貸主の認識にズレがあることで、後にトラブルになる場合もあります。自由さが魅力のDIY可能物件ですが、トラブルを防止するためには、借りる前に契約条件などをきちんと確認することが非常に重要になってきます。

賃貸物件に壁紙変更の原状回復義務はある?

 

賃貸物件を引き渡す場合には、借主には原状回復義務が課されるのが通常です。壁紙をリフォームした場合には、原状回復義務はどうなるのでしょうか。

原状回復とはどこまでを指すのか?

賃貸物件の契約が終了して建物を引き渡す際には、借主は物件について原状回復して引き渡さならければならないのが通常です。原状回復という言葉からは、物件を借りた当時と同じ状態に戻さなければならないとイメージするかもしれませんが、そこまでのことは要求されていません。

原状回復についてわかりやすくまとめると、「物件の借主の居住や使用によって発生した物件の損耗のうち、通常の範囲を超えるような使用によるものを復旧すること」になります。

通常の使用の範囲内であれば、建物が損耗しても、その部分については借主は原状回復のための費用を負担する必要はありません。

傷がつかない壁紙なら入居者は自分好みに変えられ、退去時の原状回復も必要ない

壁紙をリフォームする場合は、原状回復が必要ないような方法で取り替えれば、そのための費用を請求されることはありません。前出のものに加え、賃貸物件に元からあった壁紙の上に自分の好みの新しい壁紙を重ねて張るのが簡単です。水に溶けやすくて剥がしやすい、フレスコのりを使用するのがお勧めです。

賃貸物件に便利な壁紙として、裏側の剥離紙を剥がしてシールのように貼り付けられる壁紙もあります。のりを塗る必要がないので、初心者の壁紙リフォームの練習用にも適しています。

こうしたアイテムは便利ですが、全ての壁質に対応しているとは限らないので、購入する前に説明書などをしっかり確認しておくのがポイントです。

国土交通省のガイドラインは

原状回復のために借り主がどこまで費用を負担しなければならないかについては、国土交通省が、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というガイドラインを制定しています。

同ガイドラインは、原状回復の範囲や額をめぐっての貸主と借主のトラブルを防止することを目的として制定されたものです。

ガイドラインは法律ではありませんが、原状回復についての一般的な基準が定められていますので、賃貸物件の原状回復について問題が発生した場合に、適切な判断をするための基準として広く用いられています。
【出典】国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

画鋲の穴程度はOK

ガイドラインにおいては、居住している間に生じた経年劣化については、借り主は原状回復の義務を負わないことが定められています。壁紙における経年劣化の例としては、家具やポスターなどに面していた部分の日焼け跡、家電製品に接していた部分の電気焼け、画鋲やピンを刺したことによる穴などです。
つまり、壁紙をリフォームするために画鋲やピンの穴を刺した程度では、原状回復のための費用を負担する必要はないことになります。

一方、経年劣化に認定されない例としては、煙草による汚れ、ひどい油汚れ、釘穴、ネジ穴、などがあります。壁紙をリフォームする際には、釘やネジなどの使用に注意していきましょう。

長く住んでいれば原状回復費を支払わなくてよい場合も

賃貸物件の壁紙のリフォームを考える際には、耐用年数についても理解しておくと安心です。賃貸物件の壁紙の張り替え費用が借主の負担となった場合に、入居1年目のまだ新しい壁紙と、7年以上経過した古いものの原状回復費用が同じであれば、不公平に感じられます。

そうした点を考慮して、賃貸物件の物品には耐用年数という概念が取り入れられています。耐用年数を超える期間使用されたものについては、張り替え費用は発生しません。壁紙の耐用年数は6年で、年数が経つごとに借主が負担する額は減少していきます。3年間使用した場合は費用が半額になり、6年以上の場合は費用がかかりません。

最後に

壁紙を変えるだけで、賃貸物件でも部屋の雰囲気を大きく変化させることが可能です。壁紙を手軽にリフォームするためのシールやテープなどもあります。通常の賃貸物件では大掛かりなリフォームをすることは難しくなっていますが、DIY可能物件であれば、自分だけの家を自由にカスタマイズすることができます。
賃貸物件の壁紙の原状回復費用については、国土交通省のガイドラインでは画鋲の穴程度であれば費用を負担する必要がないと記載さています。

こうした情報を活用して、賃貸物件のリフォームを気軽に楽しんでいただければ幸いです。