新しい部屋での生活がスタートすると、ついつい部屋を自分でアレンジしたくなりますよね。中には写真やポスターを貼るために、壁に画鋲で穴を開ける方もいるかもしれません。しかしここで気をつけなければいけないのが、賃貸物件はあくまで借り物であり、所有者は貸主であるということです。そもそも壁に画鋲で穴を開けるということは、賃貸物件で許される行為なのでしょうか。そこで今回は、画鋲で壁に穴を開けることをはじめ、賃貸物件における注意すべき項目について解説していきたいと思います。
入居者の負担になるもの
自分の部屋を持つと、自分で好きなように部屋をアレンジしたいと考える方もいるかと思いますが、賃貸物件の壁に画鋲で穴を開ける行為などは果たして許されるのでしょうか。どこまでが入居者の負担であり、どこから大家さんが負担してくれるのかを正しく理解していなければ、退去時に多額の金額を請求される可能性もあります。自分好みの部屋にアレンジしたいけれど、できれば費用を負担したくない方は、入居者の負担になるものをしっかり覚えておくと良いでしょう。
釘穴、ネジ穴(下地ボードの張替えが必要なもの)
釘穴、ネジ穴は入居者の負担になります。釘穴、ネジ穴の明確な定義はありませんが、下地ボードの張替えが必要なほどの穴であれば、入居者負担になると考えておきましょう。穴の大きさによって入居者負担か大家負担かが変わってくるので、特に大きな穴を開ける必要がないのであれば、できるだけ小さな穴にすることをおすすめします。
結露放置によるカビ、シミ
結露放置によるカビ、シミも入居者の負担になります。結露は故意的に発生させるものではありませんが、結露よってできるカビやシミは、入居者が注意していれば防ぐことができます。使い方次第では防ぐことができる範囲に該当しますので、入居者負担になってきます。
落書きや故意の損失
落書きや故意の損失に関しては、当然入居者の負担になります。退去時に綺麗に消すことができる落書きであれば問題ないかもしれませんが、痕になってしまうほどの落書きであれば、クリーニング費用を求められる可能性が高いといえます。 また入居時にはなかった傷も、入居者が傷つけてしまったのであれば、故意ではなくとも入居者負担になるので注意しましょう。
タバコのヤニ、匂い
タバコのヤニや匂いも入居者の負担になります。もしも禁煙者が居住していた場合は、タバコのヤニや匂いが住居につくことはありません。大家さんが負担してくれるのは、あくまで誰が住んでも同じように起きる劣化になります。ただし冷蔵庫の電気ヤケなど、通常の使い方の範囲内で起こるものは大家さんの負担になるので、どこまでが通常の使い方に該当するのかを把握しておく必要があります。
ペットによってできた汚れ
ペットによってついた汚れに関しては、入居者負担になります。ペット可の物件であれば、ペットを飼うかどうかは居住者の自由です。つまり、ペットによってついた汚れは大家さんの負担の範囲にはならず、入居者の負担となります。あくまでも大家さんの負担は、通常の生活を行なっていた場合に発生する劣化なので、ペットを飼っている人はできるだけ汚さないようにしましょう。
6年以上住んだらクロス代は必要ない
同じ賃貸物件に長期間に渡り住む方はあまりいませんが、実は6年以上住んだらクロス(壁紙)代はほとんど負担しなくてよくなります。これはクロスの償却期間が6年とされており、6年間でクロスの価値がほぼ0年になる為です。モノの価値は時間の経過とともに減少していくので、賃貸期間が長ければ長いほど、大家さん負担の範囲が大きくなっていきます。ただし償却期間が長期的なものであれば入居者負担はあまり変わらないことや、入居者の故意的な住宅への損害は自己負担になるので、基本的に綺麗な状態を保つようにしましょう。
大家さんの負担になるもの
それでは大家さんの負担になるものはどれくらいあるのでしょうか。大家さんの負担であれば、好きなだけ汚しても構わないという訳ではありませんが、お互いの負担範囲を正しく理解して、退去時にもめることを防ぎたいですね。
画鋲、ピンなど等の穴(下地ボードの張替えが不要なもの)
画鋲、ピンなど等の穴は、実は大家さんが負担してくれる範囲になります。壁に穴を開けてしまった時点で費用を請求されそうですが、実はそうではありません。大家さん負担になるものの基準は、下地ボードの張替えが必要かどうか。穴が大きすぎたり深すぎると、下地ボードの張替えが必要になるので、入居者負担にならないように注意する必要があります。
冷蔵庫、テレビ裏側の黒ずみ
冷蔵庫やテレビを使用していると、粗雑に扱わずとも壁の裏側に自然と黒ずみがついてしまいます。いわゆる電気ヤケといわれるものです。入居者の扱いが悪いのではなく、普通に生活していたらついてしまう汚れなので、入居者負担にはなりません。
クロスの変色(通常の日照によるもの)
クロス(壁紙)の変色については、大家さんの負担範囲はあくまでも通常日照による変色のみで、入居者が原因の変色に関しては、入居者の負担範囲になるので注意が必要です。
賃貸契約書の確認が大事
上記で挙げた入居者と大家さんの負担範囲は、あくまで一般的な例になります。大家さんによっては、賃貸契約書に画鋲やピン穴をあけることは禁止だと記載している方もいます。物件ごとに負担範囲が変わっている可能性があるので、賃貸契約書を確認することが大事になります。
画鋲を使わない方法は?
壁に紙やポスターなどを留める場合、以前は画鋲を使用することが一般的でしたが、最近では画鋲を使わずに留める方法が出てきました。それがホッチキスとニンジャピンです。ホッチキスとニンジャピンは、画鋲とどのような点が違うのでしょうか。
180度開くホッチキス
最近話題になっている画鋲の代用品が、180度開くホッチキスです。直接打ち付けることができ、ホッチキスの芯なので穴もほとんど見えません。ただしホッチキスなので、あまり重いものは支えることができません。打ち付ける前に重量などを確認のうえご使用ください。
ピン痕が目立たない『ninjapin®︎』(ニンジャピン)
『ninjapin®︎』(ニンジャピン)とは、先端がV字型になっているピンです。画鋲は先端が丸いので穴が意外と目立ちやすいですが、『ninjapin®︎』は先端がV字型のため、穴ではなく薄い線が入るだけ。画鋲と比べて痕が目立ちにくく、こちらも近話題です。
出典:『ninjapin®︎』(ニンジャピン)(https://goo.gl/1EPXHU)
壁の穴を埋める方法は?
これから壁に穴を開ける予定の方は、180度開くホッチキスや『ninjapin®︎』を使用することで、穴を目立ちにくくすることができます。しかし、すでに壁に穴を開けてしまった方もいるのではないでしょうか。そこで穴を目立ちにくくする方法ではなく、壁の穴を埋める方法を解説していきたいと思います。
ティッシュ・『木工用ボンド®︎(白)』・画鋲を使う
画鋲の穴を埋める方法として、一番身近な方法はティッシュ・白色タイプの木工用ボンド・画鋲を使った補修があります。まず、ティッシュを開いている穴に入れて画鋲で押し込みます。次に、画鋲を取り出した穴に白色の木工用ボンドで上から塗ることによって、綺麗に穴を埋めることができます。このときボンドやティッシュが多すぎると不自然に見えてしまうので、使う量を見極めながら進めてください。また白色タイプの木工用ボンドがない場合は、瞬間接着剤でも代用ができるので、是非試してみてください。
出典:『木工用ボンド®︎』(https://goo.gl/wA3WJM)
白鉛筆を使う
画鋲の穴を埋める方法には、白鉛筆を使うという手法もあります。白鉛筆の先端を画鋲と同じ大きさに削り、画鋲の穴に差し込んで鉛筆の先端を折ります。その後不自然にならないように、折った後の跡を綺麗に削ることで穴を埋めることができます。白い壁でない場合は、できるだけ壁の色にあった色鉛筆を使い、穴が目立たなくなるように工夫してみてください。
『穴埋め職人®︎』を使う
『穴埋め職人®︎』とは、雑貨屋やホームセンターで販売されている、壁穴を補修するための専用グッズです。お値段も比較的お手頃で、色も数種類が用意されているので、ご自身の物件の壁紙に似た色を選ぶことができます。穴の中にボンドを流し込む方法と同じなので、誰でも簡単に補修することができます。
出典:『穴埋め職人®︎』(https://goo.gl/ZUErTr)
退去時にできるだけ入居者負担を減らす為には
退去時にできるだけ入居者の負担を減らすためには、日々のこまめな掃除が重要になります。放置すると自分の手には負えなくなってしまうカビやシミも、早い段階で掃除をしておけばほとんどが落とすことのできる汚れです。最終的にクリーニングで綺麗になる範囲なら大家さんからも請求されない場合が多いので、日頃から綺麗な部屋にすることを心がけましょう。また退去時は敷金を預けているので清掃を手抜きしてしまう方もいますが、退去直前の清掃で入居者負担も大きく変わる場合もあるので、しっかりと綺麗にして退去しましょう。
最後に
いかがでしょうか。賃貸物件であるというだけで、壁に画鋲で穴を開けてはいけないと考えている方も多かったのではないでしょうか。たしかに部屋を自分好みにアレンジするうえで壁に穴を開けてしまうと、開けない場合に比べて修繕費を請求される可能性は高くなります。
しかし開けてしまった穴を目立たないようにしたり、日頃から部屋をこまめに掃除をして綺麗に保つことを心がけることで、退去時の無駄な出費を減らすことにもつながります。双方にとって気持ちが良いですし、新たな出発を清々しく迎えられるのではないでしょうか。