不動産売買では多額の金額が動きます。賃貸で借りた場合は十万円単位ですが、売買では百万円、一千万円単位でお金が必要になります。そのため不動産選びでは絶対に失敗をしたくないというのが本音ではないでしょうか。しかしいざ不動産を売買するとなると、どの仲介会社を選べばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、良い不動産会社の選び方や、不動産業者に依頼するメリット・デメリットに関して解説していきます。

売買不動産の仲介業務とは

不動産の仲介業者には、売買と賃貸の業者があります。賃貸を利用されたことのある方は多いかもしれませんが、売買を何度もご利用された方は少ないのではないでしょうか。

売買の不動産仲介とは?

売買の不動産仲介とは、買主と売主の間に立ち、売買契約を成立させることです。仲介会社は契約を成立させることで買主や売主から仲介手数料をもらうことができ、この仲介手数料が仲介会社の主な収益になります。

仲介業者の業務内容とは?

*売買価格の物件査定

築年数や周囲の似ている物件などの様々な要素を参考にして、物件を査定することも仲介業者の仕事の一つです。

*物件内覧の日程調整・現地案内

物件を購入したい場合の、物件内覧の日程調整・現地案内も仲介業者の仕事になります。賃貸でも内見は非常に重要ですが、売買ではさらに大きな金額が動くので、内覧は必ず行うようにしましょう。

*物件資料作成

売買物件の資料を作成するのも仲介業者になります。そのため同じ物件でも、仲介業者によっては記載方法が異なっていることや、おすすめのポイントが変わっている可能性があります。

不動産仲介業者を利用するメリット・デメリット

*メリット

不動産仲介業者を利用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • ・同時に複数の物件を確認することができる
  • ・条件交渉の代行をしてもらえる
  • ・トラブル時の仲介役になってくれる

同時に複数の物件を確認することができるので、時間の短縮ができるだけでなく、自分の理想に近い物件を購入できる可能性が高くなります。また直接言いずらい価格交渉も代行してもらうことができます。

*デメリット

不動産仲介業者を利用するデメリットは、仲介手数料が発生してしまう点です。仲介業者にもよりますが、一般的には購入金額の3%+6万円の仲介手数料が発生します。

不動産仲介会社に依頼せずに自己売買できるのか?

結論からいうと、不動産仲介会社に依頼せずに自己売買することは可能です。しかし自己売買する場合は、物件を一軒ずつ探す時間や契約関連のトラブル、売買価格が適正であるかどうかを調べる手間がかかることになります。そのため、自己売買よりも仲介業者に依頼するメリットが大きいといえます。

不動産売買の仲介手数料

自己売買よりも不動産会社を経由するメリットが大きいことは確認しました。それでは不動産売買の仲介手数料はいくらかかるのでしょうか。不動産の売買では数千万円単位の金額が動くため、数%の手数料でも大きな金額になります。損をしないためにも、しっかりと手数料に関して知っておきましょう。

仲介手数料の計算方法

不動産売買の仲介手数料の計算方法は、以下の計算式で表すことができます。

「仲介手数料=不動産の購入金額×3%+6万円」

実際は200万円以下の金額までは5%、200万円から400万円以下の金額は4%、400万円を超える金額は3%という決まりがありますが、多くの物件が400万円を超えるので、上記の簡易計算方法で算出することができます。

仲介手数料の値引き交渉に応じて貰えるのか?

上記の仲介手数料は、宅建業法で定められている最大の金額です。そのため値引き交渉をすることによって仲介手数料を安くできる可能性もあります。

必要以上の値引き交渉はデメリットが大きい

値引き交渉を行うことは自由ですが、必要以上の値引き交渉はデメリットが大きくなります。仲介をしている不動産会社や売主の心象を悪くしてしまうと、売主側が販売を拒否してしまう可能性もあります。

仲介手数料の支払い時期は?

不動産会社に仲介手数料を支払う時期は、売買契約が成立した後になります。1回で全ての手数料を支払う場合もあれば、売買契約締結時に半額、決済時に半額という場合もあるので、不動産会社に確認しておく必要があります。

仲介手数料が無料の業者も登場!無料なのはなぜ?

なかには仲介手数料が無料の業者もいます。その理由としては、不動産会社は買主、売主の両方から仲介手数料をもらう権利があるからです。仮に買主の仲介手数料を無料にしても、売主から仲介手数料をもらうことで利益を出すことができるので、仲介手数料が無料になっているのです(その逆に売主が無料の場合もあります)。

不動産仲介の媒介契約

不動産の売却時には、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には以下の3種類の契約形態があり、それぞれにメリットデメリットがあります。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼することができる契約で、依頼者がご自身で購入先を見つけてきた場合にも不動産を仲介せずに販売することができます。

一方で、不動産会社は売主に対してレインズへの登録義務や販売状況の報告義務もなくなります。また他の不動産会社で販売されてしまう可能性もあるので、販売の優先順位が低くなってしまう場合があります。そのため一般媒介契約は、個人で売ることを視野にいれている方向けの契約形態となります。

専任媒介契約

専任媒介契約は、依頼できる不動産会社が1社に限定されますが、依頼者がご自身で販売先を見つけてきた場合は不動産を仲介せずに販売できます。また不動産会社は、レインズへ媒介契約を結んでから7日以内に登録する義務と、依頼者へ販売状況の報告を2週間に1回以上に行う義務が生じます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、依頼できる不動産会社が1社に限定されるだけでなく、依頼者がご自身で買主を見つけてきた場合も不動産会社を仲介しなければいけません。ただしレインズへの登録が5日以内、販売報告義務が1週間に1回以上になります。また必ず仲介会社を経由するので、不動産会社での販売優先順位も高くなります。そのため早めに売却したい方におすすめの契約形態になります。

徳業者の囲い込みには気を付ける

不動産仲介会社には、「両手取引」「片手取引」を行なっている会社があります。両手取引を主に行なっている仲介会社では、囲い込みを行なって売主の機会損失を招いている場合もあります。囲い込みの被害に合わないためにも、今から対策しておきましょう。

不動産仲介の「両手取引」と「片手取引」

「両手取引」とは、買主と売主の両方から仲介手数料を取る形態のことです。一方で「片手取引」とは、買主と売主のどちらかから仲介手数料を取る形態になります。

両手取引なら手数料収入が2倍に!

両手取引は買主と売主の両方を見つけなければならないので、片手取引に比べて販売が難しくなります。しかし両方から仲介手数料をもらうことができるので、手数料収入が2倍になり、収益が大幅に増加します。

物件の「囲い込み」は違法

囲い込みとは、両手取引をするために嘘の情報を流して、売買を成立させない行為です。例えば物件の契約の話は全くないにも関わらず、他の不動産会社には契約の話が入っていると嘘をつくことで、契約させないなどが挙げられます。これは売主や買主にとって機会損失になり、その結果販売価格が下がる可能性や取引成立まで長引くことがありあます。そのため両手取引は違法ではありませんが、囲い込みは違法になっています。

対策は「両手取引にこだわるか?」と聞いてみる

囲い込みの対策としては、契約前に「両手取引にこだわりますか?」と聞いてみるといいでしょう。両手取引は不動産会社にとっては大きなメリットになりますが、売主からするとメリットはありません。どうしても不安であれば、媒介契約形態を一般媒介契約にするという選択肢もあります。

信頼できる不動産仲介業者・営業マンを選ぶコツとは?

それでは信頼できる不動産仲介業者・営業マンはどのようにしたら選ぶことができるのでしょうか。実は同じように見える不動産会社にも、それぞれ得手不得手があります。

不動産会社ごとに得意分野は違う

まず不動産会社ごとに得意分野は違うことを理解する必要があります。一口に不動産といっても、一軒家、マンション、アパート、新築、中古など様々な種類があります。そのため一軒家の売買が得意な不動産会社もあれば、中古のアパートを得意としている会社もあります。ご自身が希望している種類の不動産を得意としている会社を知ることが、不動産売買では重要になってきます。

大手不動産会社の特徴とメリット

*取扱い物件数が多い

大手の不動産会社のメリットとしては、取扱い物件数が多いことが挙げられます。物件の数だけでなく物件の種類も多いので、理想の物件が見つかる可能性も高くなります。

*支店が多いので広範囲の物件を紹介してもらいやすい

大手不動産会社は全国展開していることが多いので、いくつも支店があります。そのため広範囲の物件を保有しているので、紹介できる範囲も必然的に広くなります。

*Tポイントなどのポイントカードと提携している会社もある

なかにはTポイントなどのポイントカードと提携している会社もあります。仮に100円で1ポイント貯まる場合、5000万円の物件を購入すると、50万ポイントたまります。ポイントカードは、大きな買い物になればなるほど恩恵も大きいので、同じように契約するのであれば、ポイントがある会社で選ぶ方がお得になります。

地場の中小不動産業者の特徴とメリット

*地域密着で地元の地主との繋がりが強い

地場の中小不動産業者のメリットは、地域に密着しているため、地元の地主との繋がりが強いことにあります。大手不動産会社のように広範囲の物件を探すことには向いていませんが、特定の地域であれば、大手不動産会社よりも精通している可能性があります。

*その地域で物件を探している顧客を抱えている

地場の中小不動産業者は、物件も地域に限定されていますが、同時にその地域で物件を探している顧客も抱えています。そのため地域内の売買に関しては、大手不動産会社よりもスムーズに行うことができる可能性があります。

レスポンスの早い営業マンを選ぶ

営業マンはレスポンスの早い方を選びましょう。不動産売買は大きな金額が動きます。そのため報連相をしっかり行なってくれる営業マンほど機会損失も少なくなり、問題が生じたときの対応も早く行うことができます。

ネットの一括査定サイトの利用者も増えている

最近ではインターネットで一括査定を行ってくれるサービスもあります。地域と物件の種類や築年数などを入力すると、おおよその物件の値段を査定してくれるサービスです。ご自身で訪問しなくても良いので、忙しい方でも簡単に物件の値段を知ることができます。また複数の不動産会社に同時に査定してもらえるので、一番高額な不動産会社を選ぶこともできるので、不動産の売買を考えている方は一度ご利用してみると面白いかもしれません。

最後に

いかがでしょうか。不動産売買の仲介会社は一見同じように見えますが、得意分野は大きく異なります。また仲介会社の選び方を間違えてしまうと、機会損失や販売価格の下落などのデメリットを被ってしまう可能性もあります。不動産売買では動く金額も大きくなってくるので、今からしっかりと対策しておきましょう。