賃貸住宅に住んでいる人は、一般的には2年に一度契約を更新することになります。あらかじめ契約更新をすることを知っていて準備している人は良いでしょうが、突然更新料の振込用紙が送られてきたら、慌てる人もいるでしょう。今回はこの更新料はどうして必要なのか、また支払わなければならないものなのかなど更新料の疑問点について解説をいたします。最後まで読んでいただき、更新料について理解をしてくださいね。

賃貸借契約の更新とは?


入居して契約期間に達すると、住宅のオーナー或いは管理している不動産会社等から更新契約書と更新請求書が届けられます。それでは賃貸借契約の更新とは、どのような内容なのでしょうか?

賃貸借契約の更新

アパートやマンションなどの賃貸住宅に住む際には、貸主と借主の間で賃貸借契約書を結びます。契約期間を満了すると引き続き住むのか、解約をするのかどちらかを選ぶことになります。そのまま住み続けることを選択する場合には、賃貸借契約の更新をしなければなりません。賃貸借契約は2年ほどになっていることが多いですので、2年に1度ほどのスパンで更新か解約決めることになります。
賃貸契約が満了する1~3ヶ月ほど前になると、住宅のオーナーまたは不動産管理会社から更新の案内書が送られてきます。通知書には更新に必要な契約書と費用が明示されていますので、期限内に契約書に署名捺印し更新に要する費用を納めなければなりません。支払わなければならない費用としては更新料と更新手数料・火災保険料・保証料などがあります。
例えば7万円の住宅を借りている場合の更新時に必要な概算費用は下記のとおりです。

費 用 項 目 費 用
更新料 70,000円
更新手数料(家賃の0.5ヶ月分) 35,000円
火災保険(2年分) 15,000円
保証料(0.5~0.3ヶ月程度) 25,000円
合計 145,000円

更新料

更新料を支払わなければならない理由は、一つ目に契約を継続するうえですでにオーナーの収入として組み込まれていること、二つ目に特定地域の長年の商慣習となっていることです。更新料はオーナーに支払われたり、一部は管理する不動産会社に支払われたりします。更新料は一般的には賃料の1ヶ月分が多いですが、地域によっては更新料を支払いの必要がないところもあります。
それでは賃借人からすれば余分な出費に思われる更新料を、必ず支払わなければならないのでしょうか?判例によりますと、不当に高すぎるような場合を除いて更新料の支払いを拒絶することはできないとされています。従って更新料を支払わなければ、今まで住んでいた住宅に引き続き居住することはできず、場合によっては強制退去させられます。更新料を支払いたくないないのであれば、最初の契約をするときに交渉しなければなりません。

更新手数料

更新手数料は更新事務手数料とも言い、引き続き住宅を借りる場合に必要な手数料のひとつです。更新料はオーナーに支払われますが、更新手数料は、物件を管理する不動産会社等に支払われます。不動産会社など管理会社によっては不必要な場合もあります。

契約更新の時に確認したい内容


賃貸借契約を更新する場合には契約の内容や必要な費用を確認しなければなりません。最初の契約の際に支払った火災保険や保証料も更新手数用と同様に2年更新で合わせて支払う場合が多くなっています。そのほか契約時と異なる点があれば、管理会社或いはオーナーにその理由をきちんと聞く必要があります。

契約内容

契約更新をする場合に、契約をする場合と同様に内容を確認しなければならない事項があります。先ず契約期間が従来通りで変更はないか、その他契約時にかわした内容と変更がないかチェックする必要があります。それに家賃や更新時に必要な更新料・更新事務手数料・火災保険料・保証料など支払う費用について確認をしなければなりません。

更新料

賃貸住宅に住み続けるためには、更新料が必要になりますので必要な金額を確認しなければなりません。一般的には家賃の1ヶ月分という場合が多いですが、2ヶ月分或いは0円ということもあります。定まった更新料はなく物件や地域により違いますので、当初結んだ契約書に更新料の項目をみて、相違はないか確認しましょう。

更新手数料

更新手数料は先に述べたように賃貸住宅を管理している不動産会社等に支払われる手数料です。これについては決まった金額はなく、必要としない物件もあります。更新手数料についても当初結んだ契約書に記載があるか、あれば金額をチェックをしなければなりません。

火災保険料

入居の際に賃貸借契約を結ぶときには、一般的には火災保険へ加入しなければなりません。火災保険の内容については入居者の家財一式の補償をする家財保険、オーナーに対する補償の借家人賠償責任保険及び日常の生活のトラブルについて補償の個人損害責任保険がセットになっているのが普通です。

火災保険の保険料については自分の生活や所持品とマッチした金額かどうか、物件の持ち主への補償は十分かなど考えて契約すべきでしょう。あらかじ不動産会社が契約書に記載している保険金額をよく検討しないで契約するのではなく、自分のライフスタイルを考えて契約するようにしましょう。

保証料

最初に賃貸契約を結ぶときには、家賃の0.5ヶ月分程度の保証料を保証会社に支払います。この保証料は家賃を滞納したような場合に、保証会社が借主に代わってオーナーに支払う仕組みとなっています。それゆえ更新の場合には保証料の支払いを拒否することはできず、賃貸住宅に住んでいる期間は支払わなければならない費用です。更新の際には0.3ヶ月分程度支払わなければなりませんが、保証会社や借りている物件などにより費用は異なってきます。

更新料を支払う義務はあるのか?


賃貸住宅に住んでいると、だいたい2年に一度更新料を支払わなければなりませんが、金額も大きくできれば支払いたくないと思う人もいると思います。次に更新料は必ず支払わなければならないものなのか、減額交渉は可能なのかと言ったことについて解説をいたします。

妥当性がある金額であれば支払う義務がある

更新料というものは長い間地域に根ざした慣習である場合が多く、更新料を設定していない地域や物件もあり、法的には支払う根拠はないとされています。しかし賃貸契約書の中に更新料が明示され、契約書に署名捺印をしていれば、契約は有効であり賃借人は更新料を支払わなければなりません
平成23年に出された最高裁の判決は、「賃貸借契約に具体的に記載された更新料の条件は、更新料金が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条により無効ということはできないとされる」としています。従いまして、1年更新の場合には家賃の2ヶ月分程度、2年更新の場合には家賃の1ヶ月程度であれば金額に妥当性があり、借主は支払う義務があります。

支払い義務が生じる条件

更新料の支払い義務を請じる条件は次の通りです。
・賃料に対して妥当な金額であること。
賃貸借契約書に明記されていること。
従いましてこの2点に合致していれば、借主は更新料を支払わなければなりません。更新料が高すぎる場合及び賃貸契約書に更新料の支払いが明記されていない場合には、オーナーと交渉する余地はあるとされています。

更新料を支払わないとどうなる?

先に述べましたように、更新料というものは慣習であり、更新料のない地域もあります。しかし更新料の慣習のある地域では、オーナーの大切な収入源の一部となっています。それゆえ更新料が賃貸契約書に明示され妥当な金額であれば、支払いを拒否することはできません。更新料を支払わない場合には、借主は今まで借りていた住宅に住むつもりがない判断され退去させられることになります。

金額交渉はできる?

更新料はオーナーが収入の一部として見込んでいますので、妥当な金額であれば基本的には値下げ交渉するのは難しいとされています。とくに人気のある地域や物件では、例え今の賃借人が退去しても次の借り手がすぐに現れますので、簡単には値引き交渉に応じてくれないでしょう。しかしさほど人気のない地域や物件の場合には、借主が退去すると次の人が決まらないことも考えられますので、値引き交渉のできる可能性はあります。その場合にでも今まで借主が滞納することなくきちんと家賃を支払っていること、トラブルなどを起こさずにきれいに使用しているなどが条件になってくるでしょう。

更新料がない物件もある


更新料というものはオーナーにとっては大事な収入源ですが、地域や物件によっては更新料の必要のないこともあります。近年はインターネットで検索すると更新料のない物件も多く出てきますので、条件に合った住宅を探すのも良いでしょう。またUR都市機構の住宅は、どこの地域で借りても更新料は無料となっています。

東日本では一般的には更新料が必要

平成19年6月に国土交通省が発表した「民間賃貸住宅に係る実態調査査」(※)によりますと、更新料の設定は地域によって大きく異なります。更新料を必要とする地域は概ね関東において高く、東京は65.0%・神奈川90.1%・千葉は82.9%・埼玉61.6%となっており金額は1ヶ月分~0.5ヶ月分が多くなっています。

出典:http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/07/070629_3/02.pdf

西日本は更新料が必要なし物件が多い

一方西日本では更新料の必要としない物件が多く、特に大坂や兵庫では更新料が0円となっています。他にも、広島が19.1%、福岡が23.3%と更新料か安く、地域によって大きく異なるのがわかります。

最後に


いかがでしたか?

更新料はオーナーの収入源の一部であり、借主は一般的に支払い義務があます。原則的に賃貸契約書に記載がない場合や金額に妥当性がない以外には、拒否することができません。新たに引越しを考えても初期費用が高くなりますので、他によほど良い物件がない限り継続して契約した方が無難と思われます。