「会社の給料の他に+αの副収入が欲しい」
「老後に備えて自分で年金対策を始めたい」

そんな悩みや不安を抱えた方から注目を集めているのが不動産投資です。事実、普通の会社員や公務員が副業で不動産投資を初めているケースが増えています。

この記事では不動産投資を始めたいがどうすれば良いか分からないという方の為に、不動産投資とはどういうものか、収入を得る仕組み、メリット・デメリットについて解説します。

不動産投資とは

ここでは不動産投資とはどういうものか?収入を得る仕組みや不動産投資ローンなどについて説明します。
不動産投資の概要を掴んでおきましょう。

そもそも不動産投資ってどういうもの?

不動産投資とは、不動産を購入して運用し収益をあげる投資です。
具体的に収益を上げるには2つの方法があります。

1.安く買って高く売り、売却益を得る方法(キャピタルゲインを得る方法)
2.賃貸に出して定期的に家賃収入を得る方法(インカムゲインを得る方法)

2通りの方法がありますが、長期的に安定した家賃収入の収益確保を目指す不動産投資が一般的です。

不動産は株式やFXなどの金融商品と比較すると価格変動が頻繁に起こらない為、ミドルリスクミドルリターンの手堅い手法として注目されており、サラリーマンが副業として取り組むケースも増えています。また不動産投資は長期的に安定して家賃収入を得ながら、節税効果も期待できるという特長特徴があります。

不動産投資のと収入のと支出の仕組み

それでは不動の家賃収入で収益を生む仕組みとお金の流れについて説明しましょう。
まず賃貸マンションやアパートを購入し、それを第三者に賃貸します。その対価として毎月家賃をもらいます。

しかし、毎月得た家賃がそのまま収入になる訳ではありません。賃貸物件を管理運営する為の費用を支払う必要があるからです。
収入として得られるのは、家賃収入、更新料、礼金など。
支出はローン利息、管理費、修繕費、原状回復費、設備の更新費など。
収入から支出を差し引いた残りが不動産投資で得られる収益になります。

不動産投資ローンと住宅ローンとの違い

不動産投資ローンと住宅ローンの違いは、①ローンの目的②返済原資③審査基準という3つの視点で比較すると分かりやすいです。

①ローンの目的での違いは、マイホーム購入を目的とした住宅ローンに対し、不動産投資ローンは賃貸物件を事業として経営することを融資目的とした事業用のローンになります。
②返済原資は、住宅ローンの場合だと毎月の給料になります。そのため給与の不安定な自営業者や社長などに対し、サラリーマンの給料の場合は毎月安定した収入であるという点が金融機関から評価されており、金融事故等が無ければ住宅ローンを借りやすくなります。

これに対して不動産投資ローンの返済原資は、賃貸物件から得られる家賃収入です。空室が目立つ、空室期間が長くて賃料収入が安定しないという物件には融資がおりません。立地がよくて賃貸需要が高く、年間を通して家賃収入が安定している物件の場合はより有利な融資条件で借りることが出来ます。

③審査基準においては、住宅ローンでは個人の属性・信用力が審査されます。審査項目は、勤務先と勤務年数、年収など属性、過去にかけての金融事故(自己破産、債務整理、延滞)などを起こしていないかなどです。
一方、不動産投資ローンでは個人の属性や信用力の調査に加えて、各部屋の現在の入居状況や間取り、家賃・共益費、契約日などが記載されたレントロール、そして物件の資産価値をもとに審査されます。金融機関はレントロールをもとに物件の将来的な賃貸事業の収支を判断するのです。

不動産投資とREIT(リート)の違い

REIT(リート)はファンドを通じて、出資者が間接的に不動産投資をします。
現物へ投資する不動産投資は会社経営に近い知識と感覚を持つ必要があります。一方、REITへの投資は株や投資信託投資などの金融商品へ投資しているのと同様です。

現物不動産は管理に手間とコストが掛かり、様々なリスクに遭う可能性がある上、現金化するのにも時間が掛かります。一方、REITならプロが目利きした沢山の優良不動産へ小口で投資する事ができ、いつでも現金化できます。

このように書くと現物不動産投資に対してREITにはメリットしかないように感じますが、1つ見落としてはいけない事実があります。それは「REITでは銀行融資が使えない」ということです

つまり銀行融資を使った不動産投資に対して、現金のみのREITは利回りという点で大きく見劣りします。よって少ない自己資金で大きなレバレッジを効かせられる現物不動産への投資に対し、手持ちの現金でしか投資できないREITは資産を増大させるスピードという点で大きく劣るのです。

不動産投資の種類

不動産投資は大きく3つの手法に分ける事ができます。

・マンション(区分所有)投資
・アパート投資(一棟まるごと)
・戸建投資

3つの投資手法それぞれについてこれから解説します。

マンション(区分所有)投資

区分所有マンション投資は一部屋もしくは数部屋の分譲マンションを購入して賃貸に出し、家賃収入を得る方法です。区分マンションには一人暮らし用のワンルームと、家族向けのファミリータイプの2種類あります。

面積が広いほど購入価格と退去時のリフォーム費用は高くなります。また必ずしも面積に応じて貰える賃料が高くなる訳ではなく、購入時に費用対効果を吟味する必要があります。

アパート投資(一棟まるごと)

アパート投資は土地と建物を一棟まるごと購入し、その家賃収入でローン返済をしながら収益を上げます。
マンションの区分所有投資とは違い、部屋数が多いので1室が空室になっても収入がゼロにならず収支を安定させやすいというメリットがあります。また減価償却の結果、建物価値が無くなっても土地の価値が残るという点もメリットです。

ただ区分所有投資と比べて初期投資が大きくなるというデメリットがあります。そのため物件購入には多額のローンを組む必要があり、ローンの返済リスクや金利上昇リスクを抱えることになります。

ただし資産形成の拡大を目指す上で銀行ローンを活用できることから、アパート投資(一棟物件投資)ならではのメリットでもあります。物件の管理、資金計画について経営者目線の知識と経験が特に必要になります。

戸建て投資

戸建て投資はその名の通り、一戸建てを賃貸する方法です。戸建ては新築と中古がありますが、より高利回りが期待できる中古戸建て投資が人気です。

中古戸建て投資の具体的なイメージは「築20年1,500万円の一戸建てを500万円でリフォームする。リフォーム後は毎月家賃12万円で貸す」です。

新築の方が家賃は高く設定出来ますが、その分購入金額が高くなるので中古戸建てと比較すると利回りは低くなります。ただし中古戸建てはリフォームの手間がかかかり、リフォーム中は貸し出せないという点は考慮する必要があります。

築古の一戸建てを1,000万円~1,500万円で購入というと、年収500万円~700万台のサラリーマンが無理なく融資を受けて投資できる価格帯でもあります。高額のローンを組む必要もなく、現金購入の可能性もあり、敷居が低い点も見逃せないポイントです。

~不動産投資のメリット~

 

不動産投資には以下の6つのメリットがあります。

・金融機関から融資を受けられる
・団体生命保険に加入でき、本人が万が一の時に生命保険がわりになる
・年金対策にもなる
・税金が高い人には、節税効果がある
・相続税対策にもなる
・インフレ対策になる

金融機関から融資を受けられる

他の投資と比較した不動産投資の最大のメリットは、金融機関の融資を利用して投資にレバレッジを掛けられることです。

「レバレッジを掛ける」とは、小さい力で大きな物を動かすテコの原理のように、少ない資金でより大きな金額を動かすこと言います。不動産投資では銀行融資を利用して、少ない自己資金でもより大きな収益物件に投資をして資産形成の拡大スピードを上げることができるのです。

そうして購入した収益物件を担保にして更に銀行からの借入れをして、より大きな物件を買うことができる。これを繰り返す事でより大きな資産を築くことが出来ます。

銀行からの借入が大きくなれば返済額も大きくなりますが、返済原資は購入した物件から得られる家賃収入です。購入時に物件の収益性をしっかり吟味する事で、ローン返済を行いながら安定してキャッシュフローを得ることが出来ます。

万が一という時に生命保険がわりになる

なぜ不動産投資が生命保険がわりになるのか。それは銀行融資を利用する際に団体信用生命保険へ加入することが出来るからです。

団体信用生命保険はマイホームをローンで購入する際に加入できることは良く知られています。実は住宅ローンだけでなく不動産投資ローンでも利用する事が出来るのです。

団体信用生命保険に加入する事ができれば、もし契約者本人が死亡したり高度障害状態になったりしても、収益物件のローン残債を保険で相殺することが出来ます。
ローン残債が無くなれば、残された家族は無借金の収益物件を手にすることができ、家賃収入を得られ、契約者の死後も安心して生活をおくることが出来ます.

また団体信用生命保険に加入出来るのであれば、現在加入している生命保険の見直しを行う事で保険料の節約にも繋がります。

年金対策にもなる

「平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると年金の平均受給額は、国民年金54,414円厚生年金144,886円。合計すると20万円弱前後です。

出典:厚生労働省年金局、平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
URL:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12509000-Nenkinkyoku-Chousashitsu/H26gaikyou.pdf

夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫は国民年金と厚生年金、妻は国民年金を受給できます。つまり夫婦で約25万円の年金を受給できることになります。
ただし、今後はこの受給額が減少していく見込みです。

また、生命保険文化センターが発表した2010年度「生活保障に関する調査」によると、老後にゆとりある生活を送る為に必要な金額は夫婦合わせて34万8000円とのことです。つまり国からの年金だけではゆとりある生活を送れないことになります。そこで公的年金が不足する事態に備えて、民間の保険会社が提供する個人年金が注目されています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター、平成28年度「生活保障に関する調査」
URL:http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h28hosho.pdf

保険会社が提供する個人年金と不動産投資による年金効果を比較してみましょう。

・不動産投資は個人年金のように給付期間に制限がない。物件を保有し、入居者が居れば安定して家賃収入が得られる
・物件購入時のローンの支払いは家賃収入から支払う。一方で個人年金は自分で掛け金を支払わなければならない
保険料に相当する住宅ローンの月々の返済は、家賃収入から支払うことができる
・物件を売却して現金化し、まとまったお金を手にする事が出来る

以上の3つのポイントを見ると、不動産投資が計画どおり適切に運営された場合は、年金対策にも有効だと分かります

税金が高い方には喜ばれる節税効果

サラリーマンの場合、毎月の給与から所得税と住民税を源泉徴収されます。そして副業で不動産経営をしている場合、不動産所得にも所得税と住民税が掛かる。
この給与所得と不動産所得は合算する事ができます(損益通算)

例えば給与所得500万円で不動産所得が100万円だった場合、損益通算すると

課税所得=500万円+100万円 = 600万円

つまり合算後の600万円に所得税と住民税が掛かる事になるのです。ここでもし不動産所得が赤字となってしまった場合は、損益通算後の課税所得を減らす事が出来ます。
「不動産が赤字になるならそもそも投資をする意味がないのでは・・・」と思われたかもしれません。ですがここでいう不動産所得は家賃収入のことではありません。得られた家賃収入から必要経費を差し引いた税務上の所得のことです。

そして不動産の場合、税制により減価償却費を費用計上する事が出来ます。減価償却費は建物価値を法定耐用年数で割り、毎年その額を費用として差し引いて行きます。

不動産所得=年間総収入-必要経費-減価償却費

この中で実際にお金が動くのは年間総収入と必要経費だけです。減価償却費は帳簿上で数字を操作するだけで、実際には支払う費用ではありません。つまり減価償却費は現金の持ち出しはないのに帳簿上では費用計上でき、不動産所得を引き下げることができます。

この減価償却費を大きく取れる物件に投資すれば不動産所得を抑える事ができ、場合によって赤字にして損益通算後の課税所得を引き下げることが出来るのです。

相続税対策にもなる

不動産投資は相続税対策にも有効です。相続税は相続する物に対して評価額を算出して課税します。
現金の場合、そのまま金額が課税の評価額です。ところが不動産は実際の売買価格よりも評価額が安くなります。
不動産の相続税評価額は、土地と建物に分けて計算します。

土地の相続税評価額の計算には「路線価」が用いられます。「路線価」、売買価格(時価)の80%程度の価格で算出されます。つまり相続税評価額が現金の80%程度になるということです。

建物の評価額算出には「固定資産税評価額」がそのまま適用されます。「固定資産税評価額」は建物の建築費用の50~60%程度になることが一般的です。さらに不動産投資で建物を賃貸している場合、固定資産税評価額から30%控除する事ができます。
このように現金で相続するよりも不動産で相続した方が、相続税評価額を引き下げることが出来るのです。

インフレ対策になる

インフレは物やサービスの物価が上昇して、反対にお金の価値が下がる経済現象です。つまり現金で貯蓄しているだけでは、インフレが進行するにつれて、現金貯蓄の価値が下がってしまいます。
バブル崩壊以降、長らく日本はデフレ一辺倒でした。しかし安倍政権になってからは積極的なデフレ脱却を図りインフレ率が上昇しています。

仮にこのままインフレが進むと紙幣の価値はどんどん下がる一方ですが、金やプラチナなどいわゆる実物の価値はインフレ率ともに上昇します。また現物の価値がタダ同然になることも考えられません。

数ある現物資産の中でも不動産の保有がインフレ対策として有効なのは、現物資産としてインフレに強いということだけでなく、保有している間は家賃収入を得ることが出来るからです。
対インフレのディフェンスだけでなく、資産拡大というオフェンスが出来るという両側面を持つのが収益不動産の強みです。

不動産投資のデメリット

 

デメリットは大きく4つあげることが出来ます。

・不動産投資はローンを組むことで、利息の負担がある
・他の投資に比べ、流動性が低い
・資産価値が下がってしまうリスクがある
・維持管理のコストがかかってしまう

不動産投資はローンを組むことで、利息の負担がある

不動産投資でローンを組むことは大きなメリットでもあるのですが、デメリットになる側面も理解しておく必要があります。当初の返済計画通りに進まず、何らかの事情で返済が滞るリスクを抱えることになるからです。

都市銀行や地方銀行、信用金庫などの各金融機関は、「アパートローン」「不動産担保ローン」という形で不動産投資用のローンを商品化しています。

不動産投資ローンは住宅ローンと比較すると融資の審査が厳しくて金利も高いという特徴があります。個人の信用と属性で審査する住宅ローンに対して、不動産投資ローンはその物件で不動産賃貸業が成り立つかどうかという事業性の可否を審査するからです。

メリットの所でも述べましたが、不動産投資ローンは資産を拡大するには有効なものと言えます。

しかし、賃貸物件の入居率が想定よりも低くかった場合、家賃収入だけでは返済出来なくなり賃貸経営が破たんするリスクがあります。そのため物件の購入時には念入りに賃貸需要のリサーチを行う事が重要です。

 

他の投資に比べ、流動性が低い

不動産投資は流動性のリスクを伴います。
まとまったお金が必要な時に不動産を売って現金化しようと思っても、すぐには物件が売れません。不動産の売却期間は一般的には数カ月から半年以上は掛かります。

ここが株式や為替(FX)取引などとは違うところです。株式や為替は整備された取引の仕組みがあり、取引する人が多数存在してすぐに売却することができます。
これらの金融商品と比較すると、不動産市場は間違いなく流動性が低いです。
流動性が低いのには理由があります。それは不動産の適正価格が簡単に把握できないからです。

不動産には同じものが存在しないので、過去の取引データを元にすぐに価格を決めることが出来ません物件ごとに詳細に査定を行い、過去のデータを参照しながら最適な答えを探るというような作業になります。その値付けが適正価格であったかどうかは物件が売れるまで誰にも分からないのです。
そのため物件の売り出しから売却までに時間を要し、流動性が下がるのです。

資産価値が下がってしまうリスクがある

不動産は保有しているだけでは価値が落ちていきます。建物は劣化していくからです。そのため物件価値を維持するためには管理をしっかり行うことが必要不可欠です。
また不動産は流動性が低いために売却には時間が掛かります。その間に市場の需給関係が変わってしまい、価格をどんどん下げざるを得ない状況になるリスクがあります。そのため不動産を購入する際は、売却時に資産価値が下がらない物件選びを心がけることが大切です。

資産価値の下がらない物件選びには主に2つのポイントを重視します。

・立地が良い(最寄り駅から徒歩10分以内)
・管理が行き届いている物件

維持管理のコストがかかってしまう

不動産の資産価値を維持するためには、物件の維持管理が必要不可欠だと先ほど述べました。ですが物件価値の維持と管理にはコストが掛かります。

管理を任せる管理会社には管理料を支払う必要があります。退去者が出れば原状回復費用が掛かりますし、エアコンや給湯器が壊れれば交換、水回りなどの設備が古くなればリフォームをする必要があります。

株やFX、金などの資産は保有していれば良いだけで、維持管理に多額のお金を払う必要はありません。
この手間とコストが掛かることはデメリットではあります。ですが手間とコストを掛ければ、安定して収益をもたらしてくれる資産であると、ここは前向きにとらえるべきでしょう。

最後に

不動産投資は、株やFXなどのように分単位や日単位の短期間で価格が乱高下することはありません。しかも賃貸経営を軌道に乗せれば、長く安定して家賃収入を得ることが出来ます。ハイリスクハイリターンの投資は避けたいという人にぴったりの投資手法でしょう。

さらに銀行ローンにてレバレッジ効果を使えば、現金のみを使うよりも短期間に資産形成を拡大させることも可能です。今回説明した知識をぜひ不動産投資に生かして、さらに深く不動産経営の知識を深めて、無理をせずに最初の一歩を踏み出して下さい。そして、不動産投資を開始した後も、勉強を継続して、成功を掴んでもらえればと思います。

監修:大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)