相続した土地を有効活用したい、老後、年金だけでは不安があるためアパート経営をやりたいなど、不動産投資をする動機や目的は人それぞれ違いますが、税制改正や金融政策の変化によって不動産投資に興味を持つ人が増えているといわれています。不動産投資には、株式投資など他の投資にはない魅力があります。不動産投資というと、賃貸アパートを建てて長期間にわたって家賃収入を得ることを指すのが一般的です。しかし、不動産投資は賃貸だけでなく売買によって利益を狙う方法もあります。そこで、売却を目的とした不動産投資についてご紹介します。

☆不動産の所有はリスクがつきもの

不動産投資は土地や建物を所有することになります。不動産を所有しているとさまざまなリスクにさらされることになりますが、代表的なリスクは2つあります。1つは災害リスクです。水害などでは建物が流されたり浸水したりで使えなくなることがありますし、地震が発生すると液状化や地割れなど土地ですら損害を受ける可能性があります。

もう1つのリスクは価格下落リスクです。建物は古くなるとほとんど売却価値がなくなってしまう傾向がありますが、土地は価値がゼロになることはほとんどありません。そのため、不動産の価格を考える場合は土地の価格動向が重要になります。地価は経済状況などによって変化する需要と供給によって決まります。需要が減少すれば地価が下がることがあります。

☆売却なら短期間で利益を出せる可能性あり

賃貸アパート経営のような不動産投資は、投資資金を回収するまで比較的長期間かけて取り組むのが一般的です。そのため、安定的な現金収入を長期間にわたって受け取りたいと考えて投資する人には向いていますが、短期間で大きな利益を上げたいと考えている人にとっては満足できない投資スタイルといえるでしょう。

では、短期間で利益を上げたい人は、不動産投資をあきらめ株式投資などをしなければいけないのでしょうか?そんなことはありません。不動産投資でも短期感で利益を出せる可能性があります。その方法は、売却益狙いの不動産投資です。賃貸目的ではなく売買目的で不動産を購入し、目標価格まで価格が上昇したらためらうことなく売却するのです。地価の上昇スピードが早ければ短期間で大きな利益を手にすることも可能でしょう。

☆売却時にかかる所得税の注意点!5年で税率が変化する!

不動産の売却による利益を手にした場合は、所得税などの課税対象になります。税額は、売却益に税率をかけて求めますが、不動産の売却益に対する税率は長期譲渡所得用短期譲渡所得用の2種類あり、不動産の所有期間が短いと高い税率が適用されることになりますので注意が必要です。

短期譲渡か長期譲渡かについては、売却を行った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていたら長期譲渡、5年以内であれば短期譲渡と判定することになっています。実質的な所有期間でなく、暦年まるまる5年間所有していないと長期譲渡になりませんので注意が必要です。税率は、短期譲渡で約40%、長期譲渡で約20%です。短期譲渡になると税負担は倍近くなりますので、売買目的投資の場合は、短期譲渡にならないようにすることがポイントです。

☆いずれ物件を売却するなら購入時の見極めが重要!

利は元にありという言葉があるように、売買によって利益を上げるためには上手に仕入れをすることが大切です。これは売買目的の不動産投資にも当てはまります。将来的な売却を見据えて土地や建物を購入する場合は、購入地域の地価の動向や周辺の開発などによる立地条件の変化を予測して、慎重に購入対象物件を見極める必要があります。

将来のことを正確に知ることはできませんが、情報収集が上手くなれば予測の精度を上げることができます。売却益の大きさは購入時に決まるくらいの気持ちで購入物件の選択をした方がよいでしょう。不動産投資を成功させるためには、出口戦略が大切ですので、売却を想定して投資することをおすすめします。